死斗!怪人スノーマン対二人のライダー(『仮面ライダー』第40話)

あらすじ

スイスとイタリアの国境、アルプス連峰では、ショッカー・スイス支部を率いる大幹部・死神博士が、火山を爆発させて噴火と雪崩を連鎖的に引き起こし、周辺国を混乱に陥れていた。

死神博士は、同様の火山爆発計画を着任する日本支部でも実施することを計画。手始めとして、霧島と桜島の間にトンネルを掘削して爆破することを企んでいた。

ヨーロッパでショッカーと戦っていた本郷猛と、その助手を務めるエミとミカは、その作戦計画書を入手。猛はエミとミカに計画書を託して、隼人と接触するよう一足先に日本へ向かわせた。

二人からもたらされた情報を元に九州・桜島へ向かう立花レーシングクラブの面々。

死神博士は計画書を奪おうと、宿泊先のホテルにスノーマンを向かわせる。ユリを拉致し、隼人をおびき出す予定だったが、スノーマンが拉致してきたのは、ユリの和服を借りて来ていたエミだった。

用無しとばかりにスノーマンに崖下に放り投げられたエミを間一髪で救助する滝。隼人も現れ、ライダーに変身して戦うが、怪力を駆使するスノーマンに苦戦を強いられる。そこに現れたのは…もう一人の仮面ライダーだった!

解説

マイナーチェンジ

ゾル大佐が退場したこの時点で、一応番組としても一区切りが付けられたらしく、あちらこちらと様変わりしています。

まずオープニング。映像自体は変わってませんが、字幕スーパーが今回からゴシック体になってます。あと、エンディングは映像が一部更新されました。狼男(青)、ドクダリアン、トリカブトが出ています。

あと、ライダーガールズの入れ替わりがあります。旧メンバーではユリのみが続投。マリ、ひろみ、そしていつの間にか出なくなっていたミチも降板です。

代わりに登板するのがエミ(高見エミリー)とミカ(杉本陽子)の二人。二人はヨーロッパでショッカーと戦う本郷猛の助手をしていたという位置づけです。

…まあ、きっと視聴者の誰もが思いましたよね。

緑川ルリ子はどうしたんだ、と。

マリ(山本リンダ)の事情はわかりませんが、ひろみ(島田陽子)が降板したのは、本郷猛の復活を見据えて、ルリ子がいないのに、その親友だったひろみだけいるのも据わりが悪いという事情もあるのかもしれません。

ただ、隼人が仮面ライダーであることをユリが知らないように、エミもミカも、猛が仮面ライダーであることは知らないという建て付けのようです。戦闘員と立ち回る際、エミは空手のような動きを見せ、ミカは占い用のトランプを投擲するという、ジェネラルシャドウ(「仮面ライダーストロンガー」に登場する悪の幹部。トランプ占いを嗜み、武器としても使う)もビックリの芸当を見せます。

「桜島1号」

そして死神博士の登場。あまりにも怖すぎると、当時保護者からクレームまで出たというその演技は、さすがの迫力。

さらに今回、本郷猛が第13話以来の登場。この時はまだ藤岡弘の怪我は完治して折らず、膝に金具を埋め込んだ状態で出演していたとか。本格復帰へ向けての試運転みたいな側面もあったようです。なので、あくまで主役は隼人で、猛はゲスト扱いです。

「諸君はこの青年を記憶しているだろうか」

という中江真司のナレーションが郷愁を誘います。

ちなみに、この時登場した1号ライダーはまだ、いわゆる「旧1号」の姿をしていますが、微妙にマスクのカラーリングが異なります。複眼は赤みが強くなり、顎部の配色も変わっています。これがいわゆる「桜島1号」と呼ばれているものです。

旧1号のマスクは色を塗り直して2号に使っていたため、新たに1号のマスクを用意したのですが、地方ロケであるためにあり合わせの塗料で塗るしか無かったため、結果として色が変わってしまったという、嘘のような本当の話が伝わっています。

脚本:伊上勝
監督:山田稔

第39話「怪人狼男の殺人大パーティー」第41話「マグマ怪人ゴースター桜島大決戦」
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