デストロン地獄部隊とは何か!?(『仮面ライダーV3』第9話)

あらすじ

日本全国から一流のオートレーサー達が集う、「全日本モトクロスチャンピオンレース」。昨年に引き続いての優勝を狙う志郎、そしてその座を虎視眈々と狙うライバル達がしのぎを削る。

しかし、一部のレーサー達が、コースに仕掛けられた閃光を浴びる。すると彼らのマシンは制御不能となり、強制的にコース外へと連れ出される。マシンがたどり着いた先に洞窟があるのを見付けたレーサー達が踏み込むと、そこにはデストロンの改造人間・レンズアリと戦闘員達が待ち構えていて、彼らは捕らえられてしまった。

デストロンは彼らを改造液を注入することで改造し、『デストロン・レーサー地獄部隊』と名付けた。首領の命令により、その最初の任務として、後続のレーサー達が自分を追ってこないことに不審を抱いて洞窟に踏み込んだ志郎を迎撃する。

しかし、志郎はV3に変身してレーサー部隊をあっさり撃退。代わってレンズアリが姿を現し、V3を迎撃する。目のレンズから放つ光線爆発、そしてそのすさまじい腕力に追い詰められるV3。しかし、一瞬の隙で放ったV3キックを食らったレンズアリは、地中を逃走しアジトへ逃げ帰る。

アジトへ逃げ帰ったレンズアリを待っていたのは首領の叱責だった。今度こそはV3を抹殺すると、レーサー部隊の改造を完全にして挑もうしていたところに、Oシグナルの追跡能力でレンズアリを追ってきたV3がアジトに突入する。

汚名をそそぐべく、今度こそはと意気込んで出撃するレンズアリ。首領はもう一人の改造人間・カミソリヒトデにレンズアリの援護を命じた。

レンズアリ達は、別途捕らえていた純子とシゲルを人質として晒し、V3の動きを封じた。抵抗できないV3に、レンズアリの光線爆発が炸裂。

V3は無事か? そして、『デストロン・レーサー地獄部隊』結成の真の目的とは何なのか?

解説

脚本の二氏

今回の脚本は二名の連名でクレジットされています。どちらも、シリーズでは馴染みの薄いお名前なので、少し調べてみると…

内藤まこと氏は、主に2本立て邦画の「B面映画」の監督として、当時既にそれなりの実績を積んでいる方でした(監督としての名義は「内藤誠」)。脚本家としての経歴は調べた限り、「V3」以前には映画が一本あるくらいですが、それ以降はやはり脚本家としても監督としても華々しいご活躍をされているようです。仮面ライダーシリーズでは『仮面ライダーBLACK』でも一部脚本に参加されているとのこと。

一方の佐伯俊道氏の方は、こちらは生粋の脚本家ですが、仮面ライダーシリーズへの参加はこの『V3』だけのようで、馴染みが薄いのも道理ですね。ただ、仮面ライダーシリーズ以外では数々のテレビドラマの脚本を手がけられており、その中には結構著名なシリーズもありますね。

レースの映像は流用?

冒頭の全日本モトクロスチャンピオンレース。…昨年の優勝は志郎だったようですが、本郷猛や滝和也は出てなかったんですかね? 

レースの映像はかなり本格的で迫力満点です。前作でたまに登場していたオートレースのシーンとは全然違う。が、多分、これ一部は実際のレースの映像を流用してますね。ここだけ若干色味が違ってるんですよね。ただ、かなり自然な編集になっていて、私も二度見直すまで気づきませんでした。これが監督の技術といったところなのでしょうか。

宮内洋が頑張りすぎるから…

前半の方で純子とシゲルがレンズアリに捕まるシーンでは、二人の周りでレンズアリによる光線爆発が起こっていますが、これ18歳の女子と小学生の子供にさせるには結構苛酷な撮影だよなぁ…。『V3』では宮内洋が頑張りすぎて撮影がどんどん過激になり、後続作品の主演俳優達が宮内洋と同じレベルを求められて困り果てていたというエピソードがよく語られますが、未成年のヒロイン役にすらこのハードル…。宮内洋効果、恐るべしといったところでしょうか(汗

さて、エピソードタイトルにもありますが、「デストロン地獄部隊とは何か!?」。答は、「レーサーを改造した戦闘員」。いや、このエピソードを見る限りそれだけのこととしか…(汗。志郎が戦っている地獄部隊のレーサー達はいつの間にか戦闘員の姿に変わってましたしね…

脚本:内藤まこと、佐伯俊道
監督:田口勝彦

第8話「危しV3!迫る電気ノコギリの恐怖」第10話「ダブルタイフーンの秘密」
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