怪人アブゴメス六甲山大ついせき!(『仮面ライダー』第71話)

あらすじ

ショッカーの手がかりが神戸にあるとのFBI本部の指令により、密かに関西入りした猛と滝の二人は、ショッカーの動向をうかがっていた。

そんな中、メキシコからショッカーの連絡員を追って神戸入りしたFBIの捜査官・ジョージが、改造人間アブゴメスに逆襲され殺された。その殺害現場を目的していた少女・キャシーは現場に駆けつけた滝が保護。猛はキャシーの安全確保を滝に任せてアブゴメスに対するが、変身する間もなく一方的に押し込まれる。今回は小手調べ、そう吐き捨ててアブゴメスは撤退した。

アブゴメスがジョージにペラペラと口走った、木原道利博士誘拐計画が目撃者のキャシーを通じて猛に露見することを懸念した地獄大使は、キャシーの狙撃を試みるも失敗。早々に木原博士誘拐の実行に切り替え、アブゴメスを博士が投宿する有馬温泉ホテルへ向かわせ、散歩中の木原博士を拉致した。山中のアジトへ向かうため、六甲山のゴンドラに博士とともに乗り込むアブゴメス。

これはホテルマンに変装した滝と猛が仕組んだ芝居で、アブゴメスが拉致した博士は猛が変装した替え玉だったのだが、地獄大使はその芝居を読んでいた。本物の木原博士を連れて避難する滝の前に戦闘員を引き連れて現れ、二人まとめて拉致した。

変装が露見した猛は、ゴンドラ内でアブゴメスともみ合いになる。が、ゴンドラの外に宙づりにされた挙げ句、結局奈落の底に落とされてしまった。

ショッカーへの協力を拒む木原博士に、予め捕らえていた藤兵衛らレーシングクラブの面々と滝の処刑を宣言して協力を強要しようとするアブゴメス。しかし、そこに仮面ライダーが現れた。改造人間の彼は、ロープウェーから転落してなお、無事だったのだ。

アブゴメスとの計四度目の戦いは、アブゴメスが指先から放つ弾丸をものともせず、空中でライダーが「ライダーニーブロック」をぶち当て、アブゴメスが敗北。

アブゴメスが倒れたことで、ショッカーの計画は潰え、木原博士は無事に保護された。

解説

関西ロケですね。

北海道民の私は、有馬温泉という地名には聞き覚えがあっても、どのあたりにあるのは実は詳しく知らなかったのですが、関西だったんですね。というか、神戸市内なのですか。

今回のショッカーの計画は、電子工学の権威である木原博士を誘拐し、ショッカーが制作している電波妨害装置を完成させること。あらゆる通信をショッカーの意のままにし、日本を混乱に陥れる作戦。

この番組放映当時で言えば、まさしくショッカーでしか実現できないようなオーバーテクノロジーな感じでしたが、現在はこれに近いような技術が実際に実用化を目指して研究されているようですね。電磁波爆弾と言って、広範囲に電磁波を発生させることで、通信機器や電子機器を機能的に麻痺させるというもの。北朝鮮では既に実用化されていて、日本に落とされたらたちまち日本全土が麻痺する、なんて一時期盛んに煽られてましたけど、どこまで本当なのかはわかりません。

猛がロープウェーに宙づりになるシーン。あれは特撮無し、命綱無しの文字通りガチの撮影なのだとか。こういう撮影を「迫力のある画になっている」などと賞賛する向きもあるでしょうが、スタントが本職でも無い俳優に、こんな一歩間違えれば確実に命を落とすような危険なことをさせるのが正しいとは正直思えないんですよね、私には。文字通り、藤岡弘が命を賭けたにふさわしいだけの見返りは、ちゃんとあったのでしょうか。あるいは、予めちゃんとそれを見越していたのでしょうか。それが示せないなら、ただの蛮勇、監督の暴走だと思いますよ、正直。

さて次回、久々にあの男が帰ってきます。

脚本:伊上勝
監督:塚田正煕

第70話「怪人エレキボタル 火の玉攻撃!!」第72話「吸血モスキラス対二人ライダー」
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