仮面ライダーは二度死ぬ!!(『仮面ライダー』第81話)

あらすじ

仮面ライダーはガニコウモルと相打ちとなって、海の藻屑と消えた。

悲しみに暮れる少年仮面ライダー隊の面々。一方で、仮面ライダー打倒という上々な滑り出しを果たしたゲルショッカーは、怪人サソリトカゲスの放出する、空気中の酸素を消し去る特殊ガスを使い、大東京の都民を皆殺しにする作戦を計画。その実験台として、処刑もかねて旧ショッカーの科学者陣が使われた。

機転を利かせてサソリトカゲスの実験を生き残って逃走した医師・峰慎太郎は、南米でショッカーに拉致されて以来連絡が取れていない妻の良子に会うべく、自身が経営していた病院へ戻ったが、そこで謎の白覆面に後ろから捕らえられ、物陰に引き込まれてしまった。

峰病院には既にゲルショッカーの手が回っていた。良子の身柄を先に抑え、慎太郎が戻ってくるのを待ち受けていたサソリトカゲスの前に現れたのは、白覆面の男。その正体は、ガニコウモルとの相打ちで瀕死の重傷を負ったところを、良子に救われていた本郷猛だった。

峰夫妻を助け出し、追うゲルショッカー一味を仮面ライダーに変身して迎え撃つ猛。しかし、重傷を負った身体の回復は完全では無く、サソリトカゲス相手にまともに戦える状態ではなかった。峰夫妻が逃走する時間を稼いだあと、サイクロンでその場を離脱するライダー。

ライダー無事の一報に歓喜するライダー隊一同の元に、ブラック将軍から通信が入った。

「30分後に東京上空の酸素を消す毒ガス作戦を決行する。東京都民の命を助けたければ、仮面ライダーにゲルショッカーの手による再手術を受けるよう伝えよ。」

交渉場所として指定された仮面ライダーのトレーニング場では、まだライダーの無事を知らない藤兵衛が悲しみに暮れていた。その藤兵衛を人質とし、ライダーの登場を待っていると、現れたのはライダーでは無く滝和也だった。藤兵衛同様人質としようとしたところ、その姿を見失ったと思ったら、代わりに現れたのは仮面ライダーだった。

藤兵衛を救出し、酸欠ガスの放出を防ぐべくサソリトカゲスに挑むライダー。ライダーの目の前で酸欠ガスを放出して都民を虐殺しようとするサソリトカゲスと、それを阻止したいライダーの激闘。強靱なサソリトカゲスに、やはり苦戦を強いられるライダーだったが、慎太郎の助言を受け、弱点の背中にライダー反転キックを叩き込み、勝利。酸欠ガス作戦は未然に阻止されたのだった。

解説

大王登場

今回から、エンディングの映像がゲルショッカー仕様に変わってますね。といっても戦闘員だけで、怪人が登場するシーンは変わってませんでしたが。

エピソードタイトルは『007は二度死ぬ』のパロディですかね。007の公開が1967年なので時系列的にはつじつまは合います。

今回主要な役割を果たす元ショッカー科学者の峰慎太郎。なんか見覚えのある顔だと思ったら、ささきいさおですね。オープニングにもちゃんとクレジットされてました。

もしかすると平成・令和世代の方にはささきいさおの名前は馴染みがないかもしれませんが、我々の世代のアニメ・特撮を語る上では避けて通ることのできない俳優兼歌手なのです。歌手としては「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」などが代表的な曲でしょうか。特撮だと、秘密戦隊ゴレンジャーやジャッカー電撃隊、超人機メタルダーの主題歌あたりが有名です。『アニソンの大王』の異名を持つほど、昭和のアニメ・特撮ソングに偉大な足跡を残している歌手なのです。

ただ、不思議と歌手としては仮面ライダーシリーズとの縁は薄く、『仮面ライダー[新]』で劇場版の主題歌等を担当したのが、挿入歌なども含めてもおそらく唯一です。俳優としては1993年の『仮面ライダーZO』に出演していたのは覚えてましたが、『仮面ライダー』に出演していたのは今回初めて知りましたね。

たまには隼人を思い出してあげてください…

さて、仮面ライダーがやられたと思い込んで落ち込む少年ライダー隊の面々。

「これからは俺たちだけの力で、恐ろしいゲルショッカーと戦うんだ!」と滝が力強くハッパをかけてますがが…

一文字隼人の存在が完全に忘れ去られてますよねこれ…(汗

彼はまだ南米で頑張ってるんですよ?たまには思い出してあげて…

おや、そういえば、慎太郎は南米でショッカーに攫われたという話でしたね…仕事しなさいよ隼人…

やっぱり首領の正体は藤兵衛だってば…

いつもは、仮面ライダーが倒されたように見えても、必ずと言っていいほど実は無事であることを看破してきた首領の千里眼。この事から、私は「首領の正体は立花藤兵衛」という仮説を提示していたのですが…

今回、その首領の千里眼は働きませんでした。ガニコウモルと相打ちになったライダーが無事とは知らず、「ゲルショッカーの順調なスタートは非常に喜ばしい」などとのんきに言っているのです。やはり、「首領=藤兵衛」はただの珍説だった?

いやいや、むしろ逆なのですよ。

少なくとも、この時点で藤兵衛はライダーが死んだと思い込んでいるわけですから、首領の正体が藤兵衛なら、ライダーの無事を認識していないのはむしろ当然なのです。逆に今回に限って千里眼が発動しなかったことこそが、「首領=藤兵衛」仮説の正しさを証明しているのです!!

…一応断っておきますが、この仮説はあくまでジョークですからね?

脚本:伊上勝
監督:山田稔

第80話「ゲルショッカー出現!仮面ライダー最後の日!!」第82話「怪人クラゲウルフ恐怖のラッシュアワー」
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