恐怖のペット作戦  ライダーを地獄へおとせ!(『仮面ライダー』第89話)

あらすじ

多摩川の河川敷で、男女四人の遺体が発見された。死因はいずれも猛毒によるもで、あたかも毒蛇に噛まれたようだったという。これは、ゲルショッカーの改造人間カナリコブラの仕業だった。カナリヤに化けて近づいた人間を、怪音波で苦しめ、右のコブラハンドでかみ殺す能力を持つ。愛玩動物を改造人間に仕立て、東京を混乱させるゲルショッカーの「ペット作戦」遂行のための怪人だった。

そのカナリヤはライダー隊本部にも現れた。何も知らないライダー隊一同は、鳥かごに収めて飼育しようとするが、餌を買いに行ったナオキとミツルは帰り道でゲルショッカーに襲われ、本部に残った藤兵衛達も、カナリヤの発する怪音波に苦悶させられる羽目になった。どちらも猛がかけつけたことで大事には至らず。カナリコブラはライダーとの戦いで右腕のコブラハンドを叩き折られて撤退する。

コブラハンドを叩き折られたカナリコブラは、鋼鉄製のコブラハンドに再改造を施した後、さらなる暗躍を始める。トラックの運転手を殺害し、さらには民家を襲って家人を誘拐するが、その家の息子がライダー隊隊員だったため、猛が出動。再びライダーとカナリコブラのバトルとなった。

一進一退の攻防を繰り広げるカナリコブラとライダーの戦いに、新たな怪人、ネズコンドルが乱入した。2vs1でライダーを責め立てるゲルショッカー。そこに滝も加勢し、ライダーはカナリコブラと一騎打ちの末、ライダー月面キックでこれを仕留めた。しかし、一方の滝はネズコンドルにまるで歯が立たず、ネズコンドルに宙高く投げ飛ばされてしまった。

滝和也の運命や、いかに。

解説

主題歌

今回からオープニング/エンディングの主題歌が変わります。

オープニングは、それまでエンディングだった「ライダーアクション」がオープニングに昇格。…個人的な好みで言えば、私、この曲好きじゃ無いんですよね。悪い意味で昭和テイストの野暮ったさ全開な感じで…。「仮面ライダー」と言えば「迫る~ショッカー♪」の歌い出しで始まる「レッツゴー!ライダーキック」の印象があまりにも強すぎるのも、きっとあるでしょうね…。

ただ、今回から新たにエンディング曲となった「ロンリー仮面ライダー」は、仮面ライダーの抱える孤独と葛藤を哀愁漂うメロディで歌い上げた名曲だと思ってます。

カナリヤ

カナリコブラ。カナリヤとコブラがモチーフの怪人ですが、カナリヤモチーフって、多分ライダー全シリーズ通じて唯一じゃないですかね?

冒頭で四人組の男女がカナリコブラに殺害されてます。アベックとは違いますが、今で言うところもいかにもリア充風な四人組の虐殺。やはりスタッフの「リア充爆発しろ」の怨念が…(もういいっちゅーの)

その四人組の男女が、たまたま目の前に現れたカナリヤを捕まえるシーンがあります。もちろん、このカナリヤがカナリコブラの化けた姿だったために、四人は殺されてしまうのですが、そもそも、愛玩動物であるカナリヤを、このように屋外で見かける事ってあるんですかね。もちろん、どこかのペットが脱走したというケースはあるんでしょうけど、野生のカナリヤっているのかなと。

調べてみると、日本にこそいませんが、カナリヤの野生種ってのは普通にいるようですね。もっとも、愛玩動物として飼われているような派手な色彩ではなく、普通の野鳥に近い地味な色彩であるようですが。

カナリコブラの被害を食らった藤兵衛達。テレビにカナリヤに関する注意喚起を流してもらおうと言いだし、実際にテレビで注意喚起が放送されます。よくこんな与太話にしか思えないような話を信じてもらえたよな…。どんな手を使ったのやら。

珍しい1vs2

話の最後では、ライダーと怪人の1vs2というシーンがあります。次番組の『仮面ライダーV3』では珍しくもないシーンですが、『仮面ライダー』では再生怪人以外ではなかったんじゃないかな? ショッカーからゲルショッカーへの移行期に、ガニコウモルを含めて二体の怪人が登場することはありましたが、あれはストーリー上の特異点ですし、怪人2対が同時に協力してライダーと戦うという展開でもありません。

むしろ、ライダー2人対怪人1人という構図の方が…(笑

脚本:石森史郎
監督:山田稔

第88話「怪奇 血を呼ぶ黒猫の絵!」第90話「恐怖のペット作戦 ライダーS・O・S!」
『仮面ライダー』エピソードリスト・解説へ