ゲルショッカー恐怖学校へ入学せよ!!(『仮面ライダー』第91話)

あらすじ

少年仮面ライダー隊本部に、通信筒がカラの伝書鳩が立て続けに8羽到着した。隊員の身に何かあったのではと、ユリが伝書鳩の持ち主を調べると、該当する隊員達が丹沢市区に集中していることがわかった。猛と滝は丹沢地区へ向かうが、その途中でムカデタイガー率いるゲルショッカーの一団に襲われた。

目的を問いただす猛に、ムカデタイガーが見せたのは、ゲルショッカー戦闘員として洗脳された、丹沢地区のライダー隊員達だった。ゲルショッカーは、少年仮面ライダー隊をまるごと乗っ取り、「少年ゲルショッカー隊」として取り込む計画を企てていたのだった。

滝を急いで本部へと向かわせ、猛はライダーに変身してムカデタイガーと戦うが、高い戦闘能力を誇るムカデタイガーにライダーは苦戦。ムカデタイガーのパンチの直撃をまともに食らったライダーは、崖下に真っ逆さまに転落してしまった。

ライダーを始末し、取り込んだライダー隊員達を完全な戦闘員とするべく、訓練学校にゲルパー薬を運び込み、給食に混入して服用させようとするが、生き残っていたライダーがゲルパー薬をただの粉にすり替え、事なきを得る。しかし、子供達の洗脳が解けたわけではなく、既に本部はおろか滝までも、ゲルショッカー隊に取り込まれてしまっていた。

隊員達の命を人質に取られ、やむなく降伏するライダー。しかし、ここで死ぬわけにはいかない。ムカデタイガーの隙を突いて、隊員達に自害命令を下す余裕も与えずに一気呵成に攻撃するライダーだが、ムカデタイガーは僅かに生じた間で隊員達に投身自殺を指示。隊員達を救うべく必死のライダーは、ムカデタイガーともむ合いながら、揃って滝壺に転落。共に爆発し消息を絶った。

ムカデタイガーの死とともに、ライダー隊員達の洗脳は解けたが、仮面ライダーもまた行方不明。この機を逃すまいと、ブラック将軍は既に次の手を用意していた。彼が次の一手の刺客として呼び込んだその人物は、どう見ても仮面ライダーであった…

解説

ゲルショッカー登場時に、戦闘員は3時間ごとに薬を飲まないと死んでしまうという設定が語られていたのですが、その後、その設定はまるで無かったことにされたかのように、まったく表に出てくることはありませんでした。しかし、今回その設定に再びスポットライトが当たり、その薬の名前が「ゲルパー薬」であることも今回初めて明かされます。

少年ゲルショッカー隊。その子供達の教育を担当する怪人ムカデタイガー。おや、そういえばかつてショッカー時代にもゾル大佐が「ジュニアショッカー」なる内部組織を作ってましたが、その時の怪人も、同じムカデの怪人・ムカデラスでしたねぇ…。しかも、子供達を拉致してきた手段が催眠というのも一緒。これは偶然なのでしょうか…

今回、ゲルショッカーは作戦完遂までかなり惜しいところまで進めています。少年ライダー隊の乗っ取りはほぼ完了し、あとはムカデタイガーがライダーを始末すれば完了だったわけです。それも、隊員の命を盾にとってなぶり殺しにするチャンスを得、ほぼほぼ作戦目的達成まで来ていたと言えます。最後にライダーがムカデタイガーを道連れにしてギリギリで計画は潰えてしまいますが、まさに紙一重というところ。ゲルショッカーになってからは一番惜しいところまで来ていたんじゃないですかね。

そして、次回はいよいよ偽仮面ライダーの登場です。

脚本:伊上勝
監督:塚田正煕

第90話「恐怖のペット作戦 ライダーS・O・S!」第92話「兇悪!にせ仮面ライダー」
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