本郷猛変身不可能!!(『仮面ライダー』第97話)

あらすじ

ゲルショッカーは、怪人ヒルカメレオンの能力で、誘拐した人間から採取した血を死んだ怪人達に移し替えることで甦らせ、日本に対して大攻勢をかける最終作戦を企図。それに先立ち、宿敵仮面ライダーを始末するべく、再生させたガニコウモルをライダーと戦わせ、その映像データを元にライダーの弱点を徹底的に分析した。

その結果、本郷猛がライダーへの変身を完了する0.5秒の間こそが、猛でもライダーでも無い、人形同然の状態であり弱点であるという結果を得た。ヒルカメレオンは科学班のD博士に指示し、この弱点を利用してライダーの打倒手段を立てるよう厳命。

一方、時を同じくしてゲルショッカーが人体実験用に拘束していた囚人達が一斉に脱走を始める。その脱走者の一人が猛に接触し保護を求めた。ライダー隊本部で手当を受け、なんとか体力を回復した脱走囚は、猛と滝をゲルショッカーのアジトへと案内する。しかし、これはヒルカメレオンが仕掛けた、猛達をアジトに誘き出す罠。脱走囚はヒルカメレオンがなりすました姿であった。

ライダー隊本部の藤兵衛達はヒルカメレオンが放ったヒルと戦闘員達によって捕らえられ、猛とアジトへ向かった滝も囚人のフリをしていたヒルカメレオンの手に落ちた。猛以外の邪魔者達を手中に収めたヒルカメレオンは、アジト内部で猛を襲撃し、密室に猛を閉じ込めることに成功した。

閉じ込められた猛が見たものは、捕らえられた藤兵衛達と、今まさに怪人再生のために、手術台の上で血を抜かれようとしているユリの姿だった。変身して脱出しようとした猛だったが、その瞬間、密室内に絶対零度の冷凍ガスが放たれ、ベルトの風車の回転を止めてしまった。変身中の0.5秒の弱点を突かれ、猛は変身不能状態に追い込まれた。変身どころか身体を動かすことすらままならない猛の目の前で、ユリの抜血手術への秒読みが迫る。

猛は仲間の危機を救うことができるか?

解説

冒頭は、峠道をドライブするアベックのシーンから始まります。はい、いつもの死亡フラグです(笑)。今回は車内で彼女が彼氏の肩にもたれかかる、いつも以上の熱々ぶり。当然、男はヒルカメレオンに惨殺されますが、女は現地のライダー隊員に保護されて助かります。これは珍しい。いつもはだいたい二人ともあの世行きなんですが(笑)。

そのライダー隊員の通報で、ゲルショッカーの前線基地を発見した猛達は、そこへ向かうためにロープウェーの天井に乗って移動するという暴挙を働きます。しかもこれ、特撮じゃなくて本当に乗ってるんですよ。藤岡弘と千葉治郎が。

いやもう、今では考えられないッスね。JAC所属のアクション俳優である千葉治郎はともかく、ただの俳優である藤岡弘にこんなことやらせてたら、今だったらコンプラ問題になりかねないですよ。後にはその天井でライダーとガニコウモルが戦うシーンまでありますし。

劇中ではそこから二人が飛び降りる描写があります。これはさすがに本当に飛び降りたわけではないでしょうが、これはこれで、改造人間の猛はともかく、生身の滝は普通に死ぬでしょ…

今回、ヒルカメレオンが罠で猛を誘き出すにあたっては、結構周到に策を巡らせてます。脱走した囚人は全員身柄拘束した上で、ヒルカメレオンが猛の自宅に現れ、「ゲルショッカー脱走者を出せ!」とわざわざ脱走囚の存在をほのめかす。当然猛は身に覚えが無いわけですが、その後に脱走者になりすまして猛に保護を求めるということをしています。当然、脱走者がいるという情報を掴んでいた猛は信用しやすい状態になっていたわけですね。

そして実際、猛は完全に罠にはまり、変身を封じられてまさに絶体絶命の危機に陥るわけですが…

次回、ついにクライマックス!

脚本:伊上勝
監督:塚田正煕

第96話「本郷猛 サボテン怪人にされる!?」第98話「ゲルショッカー全滅!首領の最後!!」
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