あらすじ
GODの「吸血鬼作戦」。それは、悪人軍団・ヒルドラキュラの能力で吸血鬼を増殖させ、東京を壊滅に追い込むと共に、市民を人質に敬介からRS装置の設計図を奪い取ることにあった。ヒルドラキュラは作戦の起点として、足を骨折したチコが入院していた総合病院を選び、看護婦数名を吸血鬼化した。
チコを見舞いに来た敬介も吸血鬼達とヒルドラキュラに襲われるが、ヒルドラキュラは戦いもそこそこに撤退する。既にヒルドラキュラの手による吸血鬼が入り込んでいた病院は直後にパニック状態に陥り、COLにはチコからの助けを求める電話が入った。同時に、ヒルドラキュラがテレビのメッセージを通じて、市民を元に戻したければ設計図を持ってしびと沼に来いと敬介を呼び出す。
市民を人質に取られた形の敬介は、病院のチコの救出を藤兵衛に任せ、自身は設計図を手に指定通りしびと沼を訪れる。敬介はヒルドラキュラに設計図を手渡すが、ヒルドラキュラは市民を元に戻す約束を守らず、敬介をしびと沼に沈めて揚々とアジトへと戻った。
しかし、ヒルドラキュラの持ち帰った設計図はフェイクであり、いつの間にか白紙となってしまっていた。偽物を掴まされキングダークの前で大恥をかかされたヒルドラキュラはしびと沼に戻り、敬介の死体を確認しようとするが、敬介は高笑いと共に沼の底から飛び出すように現れ、そのまま大変身。病院へ向かった藤兵衛から吸血鬼の弱点が塩という情報を受け取っていたXライダーの前にヒルドラキュラの吸血ヒルも全く機能せず、真空地獄車を浴びてヒルドラキュラは爆死。GODの吸血鬼作戦は無事に阻止されたのであった。
解説
ドラキュラの孫娘
今回の怪人のモチーフは、吸血鬼伝説としてはもっともメジャーであろう、ドラキュラ伯爵。彼をベースに、やはり人の血を吸う性質を持つヒル。ある意味、ベタベタな怪人ではありますが、このヒルドラキュラ、どうも性別は女性であるようです。
吸血鬼伝説で語られているドラキュラ伯爵は当然ながら男性ですが、このヒルドラキュラはその孫娘であるという設定のようです。その人間態は、せむしの老婆。キングダークの前でも、男の怪人達には負けない、という対抗意識のようなものをちらつかせています。
エピソードタイトルからしてもそうですが、かなりホラーテイストを意識した作りになっています。キングダークが出現する少し前にも怪談を意識したシリーズがありましたが、ハッキリ言ってホラー調のエピソードとしては今回の方がずっとデキがいいと思いますね。
GOD悪人軍団って、わりと紳士というか、「悪人だけど約束は守る」というタイプが多い印象です。サソリジェロニモやカメレオンファントマは、ちゃんと設計図と人質の交換の約束を守っています。しかしヒルドラキュラはこの交換の約束を反故にしています。まあ、これに関しては敬介も設計図のフェイクを渡しているわけなのでお互い様ですが、敬介にはヒルドラキュラがこれまでの悪人軍団とは違った、嘘つきの卑怯者だと感じる直観のような者があったのでしょうか。
今回のツッコミどころ
で、今回のツッコミどころですが…
チコの見舞いに行った際に、土産として渡したラジオからヒルドラキュラの声を聞いて、実際に病院外で吸血鬼化した看護婦達とヒルドラキュラに襲われた敬介。しかし、敬介は彼女達を撃退すると、チコをそのままにしてCOLへと戻り、そこでチコからのSOSを電話で受け取るというチグハグな事をしています。普通に考えてあの状況でチコを放り出して戻ってくるのは、ちょっとあり得ない。
また、ヒルドラキュラに設計図を手渡す際、随分と無造作に設計図を束にしていまして、おいおい、大事な設計図の扱いが随分と雑だな…と思っていたのですが、実はフェイクだったということで、まあこれはいいか(笑)。
そして、病院で藤兵衛とチコは偶然、吸血鬼の弱点が塩であることを突き止め、しびと沼へ向かった敬介に伝えようとするのですが、その時の敬介は既に沼の底。…しかし、沼の底から爆発と共に飛び出して大変身したXライダーは、既にその情報を藤兵衛から得ており、ヒルドラキュラの血吸いヒルも寄せ付けなかったというナレーションによる説明があるのですが…いったいどうやってその情報を受け取ったんでしょうね。ずっと沼の中にいたというのに。そして、ヒルドラキュラが偽物を掴まされたことに気づいて戻ってくるまでの間、ずっと沼の中に潜ってたんですかね？
脚本：鈴木生朗
監督：田口勝彦
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