あらすじ
シゲルの友人・キヨシの兄が、新聞配達の途中に突然行方をくらませた。が、団地の住民らが心配する中、兄は不意に戻ってくる。「非常階段を駆け下りている最中に滑り落ちた」と説明する兄の様子に、微妙な違和感を感じたキヨシはシゲルに相談する。真夜中に抜け出して何かを食べているようだというキヨシの言葉を確かめるべく、キヨシと共に夜中に起き出した彼の後を追跡するシゲルは、団地の屋外で彼が蛾を捕食している姿を目撃した。
ツバサ大僧正による新たな計画、それは、都内の団地の住民を怪人・死人コウモリが持つ新型ビールス「ヒマラヤの悪魔」により、感染力のある「有毒戦闘員」に仕立て、都内で一斉に暴動を起こすというものだった。シゲルの友人であるキヨシの兄もその魔手にかかり、有毒戦闘員に変わり果ててしまったのだった。
秘密を見たシゲルとキヨシに、デストロンの戦闘員と死人コウモリが襲いかかるが、そこに志郎が乱入。シゲル達を逃がした上で、V3に変身して死人コウモリに挑みかかる。しかし、V3は死人コウモリに宙高く持ち上げられ、大回転で放り投げられキヨシと激突してしまう。
どうにかシゲル達を連れてハリケーンでその場を離脱したV3だったが、キヨシはV3と激突し重傷を負ったのに加え、死人コウモリにV3が敗れる様を目の当たりにした精神的ショックも容態に悪影響を与えていた。そんなキヨシの姿に、己の不甲斐なさを嘆く志郎。弱音を吐きつつも藤兵衛にハッパをかけられ、死人コウモリを打ち破る技を練るべく、怪我を押して特訓を敢行した。
特訓で新たな技を得た志郎は、死人コウモリを打倒するべく団地へと乗り込むも、既にデストロンの姿は無かった。しかし、血を好む死人コウモリの性質から一計を案じ、自らの腕に傷をつけて血を流すことで誘き出すことに成功。死人コウモリとのリベンジマッチへと挑むV3。
前回同様、宙高く飛ばされ大回転で放り投げられるが、特訓の末編み出した「V3マッハキック」を空中で浴びせる。死人コウモリは地上へ墜落。ダメージに苦悶する中、その姿はツバサ大僧正に変わっていた。致命傷を負ったツバサ大僧正は自ら棺桶に収まり、そのまま爆死した。
志郎は元の状態に戻り気絶した状態の兄を病床のキヨシの元に送り届け、戦勝を報告しキヨシを勇気づけて去って行った。
そして、ツバサ大僧正を失ったデストロンに、あらたな大幹部の影が…
解説
前作の脚本リメイクシリーズ。今回の元ネタは、『仮面ライダー』第31話「死斗！ありくい魔人アリガバリ」ですね。リメイクシリーズはほとんど旧1号編がベースになっているのですが、なぜかこれだけは2号編からのリメイクです。
元ネタと比較という観点で見ていくと、基本的なシナリオの流れは当然ほとんど一緒。キーワードや台詞回しなどに多少の手が入っていますね。「ヒマラヤの悪魔」は元ネタでは「アマゾンの呪い」。感染者が捕食するゲテモノは、今回は蛾、元ネタではアリです。
で、怪人にボコられたライダーが、特訓で新しい技を編み出すのですが、元ネタでは滝が隼人の特訓パートナーを務めてますが、今回志郎は孤独に頑張ってます。途中で藤兵衛が合流はしますが、声がけするくらいで何もしてないです。こういう時こそ佐久間ケンの出番だろ…と言いたいところですが、彼は第37話を最後に、もう今後も登場はないんですよね。まあ仮に居たとしても彼では少々物足りなさそうですが。あ、あと何故か今回V3の特訓シーンで流れているのは前作の挿入歌「ロンリー仮面ライダー」ですね。
それにしても、志郎が団地へ乗り込んでも見当たらない死人コウモリを誘き出すのに「死人コウモリは血が好きだ。血が流れたらきっと現れるに違いない」とかいうトンデモ理論を唱えて、自傷行為で誘き出すシーンは申し訳ないけどちょっとフきました(笑)。ちなみに、ここはオリジナルとは少し違っている点で、オリジナルでは、元々のビールス実験が山奥で行われていたということで、隼人がその山奥へ向かってショッカーと遭遇するという流れですね。あと、オリジナルでは重傷を負って病床でうなされることになるのは、ビールスを注入された被害者の弟ではなく、五郎(本作のシゲルに相当する立ち位置の子供)でした。
それにしても、V3はツバサ軍団が初登場した第36話でも火焔コンドルに墜落させられる攻撃を克服するため特訓したばかり。第38話でも殺人ドクガーラに同様の攻撃をされ、この時はハリケーンの超機能に頼って危機を逃れています。…その時の経験が今回の戦いに全く活きていないように見えるのは…まあ、大人の事情ですよね、はい。
ツバサ軍団はその性質上もあるのでしょうが、V3を上空に持ち上げて墜落させる攻撃が大好きですよね。
脚本：海堂肇
監督：内田一作
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