恐怖の武器が三人ライダーを狙う!!(『仮面ライダーX』第34話)

あらすじ

COLの藤兵衛と敬介の元に一文字隼人から暗号電報が入った。RS装置設計図の最後の一枚を持つ雨宮博士が本日、香港から羽田に到着するという。敬介は雨宮博士と合流したが、その帰りの道中で戦闘工作員と悪人軍団・タイガーネロの襲撃を受ける。既に香港滞在中にタイガーネロに襲撃され自我と設計図を奪われていた雨宮博士はその場でタイガーネロに処刑される。敬介はアタッシュケースを確保してその場から撤収しようとするが、アタッシュケースは偽物で、中から噴出した毒ガスに冒されて敬介はGODに囚われの身となってしまった。

しかし、捕らえた敬介の身体を調べても設計図は出てこない。タイガーネロは藤兵衛が設計図を預かっていると睨み、COLのテレビを介して、敬介の身柄を引き替えに設計図の譲渡を迫った。藤兵衛は苦渋の思いで、これまで集めてきた7枚の設計図をタイガーネロに渡すが、タイガーネロは身柄引き替えの約束を守らず敬介の処刑を強行。しそこに間一髪現れた風見志郎が処刑を阻止。V3に変身して敬介を救出した。

しかし、タイガーネロは藤兵衛より奪った設計図を手にその場を離脱。かくして、元々GODが持っていた1枚、雨宮博士から奪った1枚、さらに藤兵衛から奪った7枚を合わせ、ついに全ての設計図を手中に収めたキングダークは、早速タイガーネロにRS装置の製造を指示した。

V3とXライダーは、予め戦闘工作員につけておいた小型発信機の電波を頼りに、GODのアジトへ向かう。その前に現れたのはタイガーネロと、既に完成していたRS装置だった。二人のライダーを最初の犠牲者にしようと、タイガーネロが戦闘工作員に装置の起動を指示する。しかし、戦闘工作員がスイッチを入れるとRS装置は爆発。困惑するタイガーネロを前に高笑いする戦闘工作員は、マスクを脱ぎ捨てて一文字隼人の正体を現した。奪われたRS装置の設計図も、1枚を隼人が取り返していた。すかさずライダー2号に変身する隼人。3人ライダーが相手では「悪人軍団の切り札」タイガーネロも相手にならず、真空地獄車の前にアッサリと沈んだ。

設計図1枚を奪い返し、当面の危機は去った。怒りのキングダークはその巨体な姿を3人ライダーの前に晒し、設計図の奪還を宣言した。

設計図争奪戦も最終局面を迎え、GODとの最後の攻防が始まろうとしていた。

解説

暴君ネロ

GOD悪人軍団のエースことタイガーネロ。ネロとはローマ帝国の第五代皇帝。日本では「暴君ハバネロ」という呼ばれ方が比較的定着しており、文字通りの暴虐な独裁者として認知している人が多いと思います。悪人軍団のモチーフとして採用されたのも、その認知からでしょう。

しかし実際のネロは、為政者としては概ね有能で、ローマ市民の評判も悪くは無かったと言われています。問題行動もありはしたものの、客観的に見て後世に「暴君」と蔑称されるほどのものとは言えません。「暴君」の汚名を着せられたのは、彼がキリスト教迫害政策をとったからであり、キリスト教世界からの評価と言っていいでしょう。

タイガーネロとRS装置

そのタイガーネロは、キングダークによると「悪人軍団の切り札」なのだそう。確かに、敬介を出し抜いて雨宮博士の設計図を奪って見せたり、最終的には藤兵衛を脅迫して全ての設計図を入手するというGODの悲願を達成したという事実は、「切り札」の名に恥じない働きと言っていいでしょう。そのタイガーネロにキングダークは、RS装置を完成させることを条件にGODの最高幹部に推薦しよう」と約束します。

…推薦?

誰に推薦するので?GODの首領は他ならぬアンタでしょう?

そしてついに完成したRS装置。第23話で、南原博士が護身用に小型化したRS装置を使ってましたが、確かにその装置を大型化したような形状をしていますね。

しかし、悲願のRS装置は一文字隼人のおイタで破壊され、折角集めた設計図も1枚を奪い返され、設計図争奪戦は再び1歩後退。

最後の争奪戦を匂わせながら、いよいよ最終回へとなだれ込みます。

脚本:鈴木生朗
監督:内田一作

第33話「恐怖!キングダークの復しゅう!!」第35話「さらばXライダー」
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