デストロン最後の日(『仮面ライダーV3』第52話)

あらすじ

ライダーマンが自らの命と引き替えにした活躍により、プロトンロケットによる東京破壊作戦が失敗し、デストロン首領は「D作戦」の決行を指示。デストロンはダムやコンビナートなど各地で一斉に破壊行為を開始。さらに、ザリガーナや再生怪人達がライダー隊員とライダー隊本部を襲撃、純子と隊員達を誘拐した。

既に放棄されたアジトでスピーカーから首領のD作戦決行の指令を耳にした志郎は、スピーカーに発信されていた電波に発信源を辿り、郊外の廃寺に隠されたアジトにたどり着いた。そこで志郎を待ち構えていたのは、ヨロイ元帥と、死人コウモリ、オニビセイウチ、バショウガンらの再生怪人。V3に変身して対峙する志郎だったが、落とし穴の罠にはまり、さらにはV3の身体を溶解させる特殊金属の粉末に生き埋めにされかけた。

しかし、V3は自らの全てのエネルギーを放出して生き埋めを脱出。志郎を救出するためにアジトに踏み込んできた藤兵衛と合流し、純子達の処刑現場へと急行、彼らを無事に救出した。

V3が生きていたことに歯ぎしりして悔しがるヨロイ元帥はザリガーナに変身、V3と一騎打ちに挑むも、左腕をもがれた上にV3フル回転キックを食らって致命傷を負った。V3に追われながらアジトに逃げ帰り、首領に命乞いをするも首領は冷たく突き放し、ヨロイ元帥は爆死。

爆発によって開いた穴からアジトの奥に踏み込んだV3は、ついにデストロン首領と相対する。そのフードを剥ぎ取ると、中から出てきたのは骸骨だった。「人類に死をもたらす死神」を名乗る骸骨の心臓部をむき出しにしてトドメを刺すと、「これで私は死ぬ。だが、貴様も一緒に死ぬのだ!」首領の最後の声と共に、アジトは首領もろとも跡形も無く爆散した。

デストロンは首領もろとも滅び、仮面ライダーV3とデストロンの長い戦いは終わった。世界の平和を守った仮面ライダーV3こと風見志郎は、誰にも告げること無く、いずこへと旅立っていった。藤兵衛は語る。

「人類に危機が訪れるとき、あいつは必ずやってくる」

解説

最終回ですね。前回、ライダーマンが散って、中途半端になっていたV3とザリガーナのドンパチから始まります。

デストロンの最後のアジトがあった場所、なんとなくうらぶれた墓地に見えて、あらすじではなんとなく「廃寺」と書きましたけど、あれ、どういう施設なんですかね。正直よくわかりません。

今回のツッコミどころとしては、落とし穴の罠にはまって特殊金属の粉末に埋められたV3が、そこから脱出するために、「V3の全てのエネルギーを解放」してその強引に脱出を果たすところですね。まあ、全エネルギーを放出して脱出するところまでは良いとしても、その後何食わぬ顔で普通に動き回っているのがツッコミどころ。全エネルギーを放出したのに変身が解けることすら無く普通にピンピンしていてその後もバリバリ戦っている元気なV3。おいおい、逆ダブルタイフーンだって3時間変身不能という制約がかかるっていうのに、全エネルギーを解放して何らペナルティなし? とんでもないチートっすね。

あと、ザリガーナが背中の甲羅を足で踏み砕いて、砕いた甲羅をV3に投げつけるという有名な脱力シーン。「甲羅砕き」というご大層な技名がついてますが、子供の喧嘩ですかって…。そのザリガーナことヨロイ元帥、最後は首領にみっともなく命乞いして、あっさり見捨てられるという情けない最後。だいたい、大幹部は堂々とライダーと戦って雄々しく散っていくのがほとんどなんですが、彼とネオショッカーの魔神提督が数少ない例外ですね。彼らはどちらも命乞いを無視して首領に殺されています。このような散り際のみっともなさも、ヨロイ元帥がファンのヘイトを集めている要因でしょうね。魔神提督はまだコミカルなオッサンみたいな雰囲気もありましたが、ヨロイ元帥は本当の意味で悪辣な奴でしたから。

かくして、シリーズ最高視聴率をたたき出した『仮面ライダー 中興の祖』とも言うべき「仮面ライダーV3」は無事終了。次回作「仮面ライダーX」へのバトンタッチとなります。

脚本:鈴木生朗
監督:内田一作

第51話「ライダー4号は君だ!!」
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