恐怖コブラ男(『仮面ライダー』第9話)

あらすじ

ショッカーの新たな改造人間コブラ男。着脱式の牙を装着することであらゆる物質を溶解させる特殊ガスを噴射する彼の任務は、世界各国の金保管所を襲い、金塊を強奪すること。

手始めとして大蔵省の金保管所を襲ったコブラ男。警備員を密かに始末しながら順調に金の保管庫に侵入するも、警備員宅の飼い犬に吠えられ撤退。金塊を強奪し損ねた上、虎の子の牙をその場に落としたまま逃走するという大失態を犯す。

牙を取り返すべく、犬の飼い主の少年を誘拐して、牙のありかを聞き出そうと拷問するコブラ男。誘拐現場を目撃した猛が後を追うも、少年の命を人質に取ったコブラ男に降伏せざるを得ず。

猛は再びショッカーの改造手術台に乗せられ、脳改造を施し完全なるショッカーのサイボーグにされようとしていた。

絶体絶命の猛。起死回生はあるのか!?

解説

「大蔵省」とは昔の財務省のことです。2001年に現在の財務省という名前に変わっています。既に仮面ライダーも平成シリーズが始まっていた頃で、そう考えると結構最近なんですね。管理人は当然大蔵省だった頃を生きてますが、感覚的にはもっと前だと思ってました。

無能!コブラ男

今回のコブラ男ですが、とにかく情けないのひと言です。いくら何でも犬に襲われてケツまくるとか…お前は何のための改造人間なのかと。しかも任務に欠かすことのできないキーアイテムを紛失するというオマケ付き。結局彼の主武器でもある牙を失った状態ではライダー相手にまともに戦えるわけも無く、あっという間にライダーキックを食らい最後を迎えます。

次回、コブラ男は復活して再び活動しますが、果たして今回の汚名をそそぐことはできるのでしょうか。

藤岡弘のアクシデントとアテレコ

ところで、既にご紹介の通り、本郷猛役の藤岡弘は、撮影中の事故で重傷を負い、出演継続が不可能になるのですが、その事故発生がちょうど8話~10話の撮影時期と言われています。

番組の方針として新しい主演俳優と主人公の投入が決定するまでの間、藤岡が出演できない急場の凌ぎとして、本郷猛の登場シーンは過去の撮影シーンを使い回したり、仮面ライダーとしての活動シーンを増やすという処置で乗り切ってますが、台詞などは当然過去の使い回しは利きません。オープニングやエンディングでクレジットこそされてませんが、この時期の本郷猛/仮面ライダーの台詞は、声優の納谷六朗がアテレコしたそうです。

今回、冒頭から本郷猛の声に違和感があるので、今回から納谷六朗によるアテレコが始まっていたのでしょう。納谷六朗が起用された理由は、藤岡弘と声質が似ているから…ということらしいですが、確かに声音は近いかなとも思いますが、やはりしゃべり方の抑揚や節回しが全然違うので違和感はバリバリに感じます。

ちなみに納谷六朗は、ショッカー首領の声を当てている納谷悟朗の実弟。奇しくも声で兄弟対決を演じていたことになりますね(笑)

本郷猛がアクションシーンで活躍できない分、脇役がいつも以上に頑張っているようです。今回で言うと立花藤兵衛。猛が捕らわれているショッカーアジトに単身乗り込んで、戦闘員相手に大立ち回りを演じています。ショッカー戦闘員はライダー相手にこそ雑魚役ですが、実際は常人の4倍以上の身体能力を持つちょっとした超人です。並の人間では太刀打ちできるはずもないのですが…

脚本:山崎久
監督:山田稔

第8話「怪異!蜂女」第10話「よみがえるコブラ男」
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