トカゲロンと怪人大軍団(『仮面ライダー』第13話)

あらすじ

日本での世界征服計画の遅れが著しいと判断したショッカー首領は、東洋原子力研究所を襲撃・破壊して、東京一帯に放射能をまき散らし壊滅させようとしていた。そのために、仮面ライダーに敗れた怪人達を修復・復活させ、蝙蝠男とさそり男を向かわせた。

しかし、研究所は強力な電磁バリヤで守られており、ショッカーの改造人間といえども突破することができなかった。

ショッカーの科学陣は、電磁バリヤを破壊するバリヤ破壊ボールを既に開発済みであったが、これを使用するためには、5kgのボールを20mの距離から投擲する必要があり、それができるのは既存の改造人間にも存在しなかった。

そこで、その能力を有した改造人間として、ショッカーはサッカー選手の野本健を誘拐し、毒トカゲの改造人間・トカゲロンを生み出した。

トカゲロンはショッカーの動きを探っていた滝とルリ子を襲撃するが、そこに現れた仮面ライダーと交戦。殺人シュートで圧倒し、ライダーを退けた。

敗れたライダーは、トカゲロンの殺人シュートを打ち破る技を編み出すために、藤兵衛とともに特訓を開始。血のにじむようなトレーニングの末、新技「電光ライダーキック」を編み出した。

新技を引っ提げたライダーが、東洋原子力研究所を襲撃しようとしていたトカゲロンに再び挑む!

解説

旧1号編最後のエピソード。

今回も、ショッカーの動きを探るのは滝とルリ子がやっていて、猛はあくまで単独行動。二人のピンチの場にライダーとなって現れるという演出。

それにしても、研究所周辺に巡らされた電磁バリヤ。当時の人類にこんな技術があったとは…いや、現代でも多分無いですよね、こんなの。ショッカーもビックリのオーバーテクノロジーです。

トカゲロンはトカゲというよりは恐竜を想起させる風体ですね。足音も重量感のある効果音が当てられていて、他の再生怪人達とは格の違いを感じさせます。

特訓!

さて今回のエピソードでは、「仮面ライダー」という番組を語る上で欠かせないエッセンスが2つ見られます。それが、「特訓」「再生怪人」

時々、ライダーの能力を上回る強力な改造人間が登場し、一度は敗れ去ったライダーが、特訓を経て新しい力を身につけ、リベンジを果たす。これは、これから何度も登場するシチュエーションです。今回、1号ライダーは特訓の末に「電光ライダーキック」を編み出し、見事トカゲロンにリベンジを果たします。

しかし、特訓の最中に見いだした結論が、「ライダーキックのエネルギーを二倍にすれば!」とは…それができるなら最初からやれよ!と思わず突っ込みたくなりますね(笑)。このあたりも昭和のユルさでしょうか。

再生怪人

そして「再生怪人」。今回、再びよみがえった10人の改造人間達。ですが、彼らはには以前のような戦闘力は見られず、10人で寄ってたかっても仮面ライダーに次々となぎ倒されていきます。それは、まるで戦闘員のようなやられっぷり。あんなに強かったゲバコンドルも、見る影もありません。

今後もショッカーは時折、過去の怪人達をよみがえらせ、物量で仮面ライダーに挑もうとしますが、やはりこれらの再生怪人達も、戦闘員並みの斬られ役に終始するのが常です。「再生怪人はザコ」という、昭和仮面ライダーを騙る上で欠かせないエッセンスは、今話にそのルーツがあると言えましょう。

そして新章へ

今回、滝和也が単なる猛の知り合いでは無く、FBIの特命捜査官であり、その職務としてショッカーを追っていることが明らかになります。…もっとも、FBI – アメリカ連邦捜査局は、あくまでアメリカ国内の警察組織であり、日本国内での捜査権は本来ありません。なので、後にFBIからインターポール – 国際刑事警察機構へ出向しているという設定が後付けされます。(もっとも、インターポールにも本来そんな捜査権はありませんけども…)

さて、今回で本郷猛が主人公の旧1号編はおしまい。次回予告では、「新章スタート!」と銘打ち、新しい主人公の登場が告知されています。

次回から、2号ライダーの登場です。

脚本:伊上勝
監督:北村秀敏

第12話「殺人ヤモゲラス」第14話「魔人サボテグロンの襲来」
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