死斗!ありくい魔人アリガバリ(『仮面ライダー』第31話)

あらすじ

南アルプスの天狗岳。入山した者は二度と帰ってこない、通称「神隠し山」と呼ばれる魔境。実際は、ショッカーの改造人間アリガバリが、新型細菌「アマゾンの呪い」に耐性を持つ人間を実験で選別するべく待ちうけており、細菌の毒性に耐えられない人間が死を遂げているのだった。

仲間の山田とともに天狗岳に入った伊崎は、ショッカーのコンピューターにより細菌への耐性があると判断された。ショッカーによって細菌を植え付けられた伊崎はそのままアパートへ帰宅し、夜な夜な、住人を襲っては感染者を広げていった。

伊崎の弟・タケオは、山から帰ってからの兄に違和感を覚え、五郎に相談。五郎はタケオとともに、夜中に出歩く伊崎の後を付け、伊崎がアリの巣からアリを捕食する現場を目撃してしまう。アリガバリらショッカー一味に襲われる五郎とタケオ。そこに隼人が現れて、変身して戦うが、アリガバリにはライダーキックも通用せず、ライダーは一方的に叩きのめされてしまった。

瀕死の重傷を負った上、ライダーの敗北を目の当たりにしてしまった精神的ショックも災いして生死の境をさまよう五郎。

隼人は五郎のために、滝の協力のもと、アリガバリを打倒する技を編み出す特訓を敢行する。

解説

タイトルにある「斗」の字は「闘」の略字体ですね。この頃の特撮番組ではよく使われている気がします。

変身ポーズの美しさ

個人的に、昭和ライダーの変身ポーズでは一文字隼人のそれが一番美しいと思ってます。ポーズ自体は極めてシンプルなんですが、隼人のモーションは体に全く力みが無く、スムーズに両腕が流れて、最後は腰も入ってビシッと決まる。今回のAパートで見せた変身ポーズはまさにその美しさが際立っていると思いましたね。この文章書き起こすに当たって、思わず何度も見直してしまいましたもの。

他の昭和ライダー達の変身ポーズって、やっぱ体のどこかに力みがあって、動作の美しさというか優雅さという点ではどうしても一文字隼人に1歩譲るんですよね。

ライダースーツを着たスーツアクターが時折変身ポーズと同じモーションを見せますが、同じポーズでもあれは全く駄目です。へんな力みが入ってぎこちない。

「仮面ライダーBLACK」および「仮面ライダーBLACK RX」で主人公・南光太郎を演じた倉田てつをが、後に「仮面ライダーディケイド」で約20年ぶりに披露した変身ポーズは、さすがに役者としての年期が刻み込まれた、落ち着つきのある変身ポーズになってました。あれを見て、「ようやく一文字隼人に追いついたな」とか失礼なことを思っていたものです。

特訓だ!

アリガバリ相手に一敗地にまみれた仮面ライダー。強敵を打ち破るべく定番の「特訓」が始まります。こういうとき、だいたい特訓のパートナーは藤兵衛なのですが、今回は滝が勤めることに。

藤兵衛と1号ライダーの特訓では、藤兵衛が色々考えつつライダーに負荷をかけて覚醒を促すようなやりかたでしたが、隼人と滝、二人の特訓は端から見ると単に喧嘩しているようにしか見えません。

そんなもみ合いの中で生じた偶然の動きから生まれた必殺技、その名も「ライダー卍キック」なんて、マジ卍~って感じぃ~!?(ぉぃ

ライダー卍キックとはひと言で言えば横方向のひねりを加えたライダーキックですね。

ところで、「南アルプスの天狗岳」は、どうやら長野県に実在する山らしいですね。登山の名所として知られているようです。

脚本:伊上勝
監督:田口勝彦

第30話「よみがえる化石 吸血三葉虫 」第32話「人喰い花ドクダリアン」
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