悪魔の使者 怪奇ハエ男(『仮面ライダー』第42話)

あらすじ

立花レーシングクラブの前で、不良が運転する暴走オープンカーがヒロシ少年を跳ねた。悪びれることも無く悪態をつく不良に隼人は激怒し、逃げるオープンカーを町外れまで追跡し、なおも反省の様子を見せない不良を殴り飛ばした。

その冷血ぶりが死神博士の目にとまり、不良はショッカーのアジトに引き込まれ、ハエ男として改造された。死神博士の命により、恨み骨髄の一文字隼人を抹殺へと動き出すハエ男。

ハエ男は、服用するとハエ男の命令音波によるコントロールを受けてしまう薬を、藤兵衛とユリに盛ることに成功し、隼人を殺害させようとするもこれは失敗。一見正気に戻った藤兵衛達だが、薬の効果は3日は続く。二人はまだハエ男のコントロールを逃れたわけではなかった。

ハエ男はさらに病院でヒロシの看病をしていたエミと五郎にも薬を盛り、立花レーシングクラブで隼人を襲わせようとする。そうとは知らずクラブで滝と電話で情報交換する隼人。その背後を、エミと五郎がナイフを手に静かに襲おうとしていた。

解説

今回の改造人間ハエ男は、仮面ライダーを打倒することを第一の使命として生み出されています。意外とこういう「ライダーを倒すことに目的を特化した怪人」って少ないように思います。ここまで出てきた中ではゲバコンドルくらいじゃないですかね?

ゾル大佐が大幹部だった頃は、テロ作戦のついでとしてライダーを抹殺しようとしたりして、結局どちらも中途半端で挫折するということを繰り返してましたが、死神博士は割とターゲットを絞ってリソースを一点集中で投入するタイプのようです。

子供の命を軽んじて憚らず、ひき逃げを咎める隼人を逆恨みする不良を改造し、その恨みの力も借りてライダーを打倒しようという人選。さらには、立花レーシングクラブの面々に薬を盛って隼人殺害に仕向けようとするなど、今回の作戦行動はことごとく仮面ライダー・一文字隼人の抹殺に特化しています。

…とは言ったものの、肝心のハエ男本人の戦闘力は至ってお粗末でした。これといった見せ場を作ることも無く、ライダー回転キックなり新技をくらって、無様なくらいに実にアッサリと敗退。

子供をひき逃げして悪びれることも無い、典型的な胸糞野郎がライダーに一方的にボコられるその有様は、「行いが悪いとこうなる」的な戒めの意味も込められていたのでしょうね。

脚本:島田真之
監督:山田稔

第41話「マグマ怪人ゴースター桜島大決戦」第43話「怪鳥人プラノドンの襲撃」
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