V3の26の秘密!?(『仮面ライダーV3』第4話)

あらすじ

棺桶ごと焼却炉で燃やされようとしていた風見志郎だったが、3000度の高熱が棺の中に風を起こし、ダブルタイフーンが回転を始めた。釜の中の灰を確認して「デストロンの勝利だ!」と高笑いするイカファイアの前に、姿を表したのはV3。歯ぎしりするイカファイア。しかも、ダブルタイフーンの風車から強いエネルギー得たV3に、今度は一方的に押し込まれてしまう。戸惑うイカファイアはV3と戦闘員を戦わせている間にその場を逃走した。

一方その頃、テレビバエの催眠光線を浴びた藤兵衛は、放心状態で記憶も失い、海岸線をさまよい歩いていた。そこに通りかかったクルマに乗っていた子供がたまたま少年ライダー隊の隊員で、藤兵衛に語りかけるも藤兵衛は思い出せない。藤兵衛は自分が手にしていたホテル「伊東温泉かめや」のマッチ箱を頼りに、クルマの親子とともにホテルを訪れる。

しかし、かめやホテルは既にデストロンが制圧済みであった。ホテルマンに案内された702号室に案内された藤兵衛は再びテレビ越しの催眠光線で、「風見志郎を殺せ」と暗示をかけられてしまう。隊員の通報で、ライダー隊本部を弟のシゲルに任せてかめやを訪れた純子も、テレビバエに捕まってしまう。

テレビバエは純子も催眠光線にかけようとするが、何者かが妨害電波を発しており失敗する。妨害電波を発していたのはライダーV3だった。純子を救出して脱出するV3。

志郎は純子から、まだ藤兵衛がホテル内にいることを聞いて、屋上からホテルに再度潜入する。504号室で放心状態の藤兵衛を見つけたが、暗示をかけられていた藤兵衛に背後から襲われる。さらにテレビバエ&イカファイアも現れ、志郎はイカファイアに羽交い締めにされたまま、テレビバエの催眠光線を浴びて昏睡する。

テレビバエはアジトへ志郎を運び込み、首領の命令によりその肉体を調べ上げようとするが、志郎は催眠から目を覚ます。彼はテレビバエの催眠光線に屈する前に、自らに時限つきの自己催眠をかけていた。

アジトを飛び出し、合流した2怪人と対峙する志郎。しかし、テレビバエは催眠状態にある藤兵衛を操り、純子を人質に取ってV3を脅す。

抵抗できなくなったV3を、2怪人はあざ笑いながら一方的に嬲る。しかし、2怪人に生じた油断を狙い澄まし、一瞬の逆転技、「ライダー遠心キック」を放ち、2怪人を撃滅した。

解説

バカと昭和特撮は…

いや、3000度の高熱で棺の中に風が起こるって、さすがに無理があるでしょうよ。開放された空間ならまだしも、棺の中という密閉空間だし。

とりあえずそんなご都合主義で絶体絶命の危機を脱したV3。高い煙突の上から高笑いです。

いやー、昭和特撮はこういうシーン少なくないですが、実に危険なスタントですよね。落ちたら間違いなく命はないでしょう。確かストロンガーでもこんなシーンがあったと記憶してます。しかもそこから「トォッ!」と飛び降りるわけですよ。もちろん、実際に飛び降りるわけじゃなくて、飛び降りるフリだけして、編集で飛び降りているように見せるんですけど、あんな場所で飛び降りるフリをするだけで十分恐怖ですよ。

でもそんな命を賭けてまで録った画が、演出上効果的に機能しているかというと…どうなんだろう。そのあたりの高台に上がって演るくらいでもあまり変わらないのでは。リスクに見合うリターンが得られているとはちょっと考えにくいんですよね….

中盤、ホテルでテレビバエに催眠されかけた純子を救出するV3。番組的にはここでCMが挟まっているんですが、CM明けのシーンでは、救出された純子の側にいるのはV3ではなく志郎です。

これ、普通に考えれば「V3=志郎」の事実を純子に突きつけているとしか思えないんですが、純子は結局最後までV3の正体が志郎であることを知らない、という建て付けなんですよね(疑うことはあるみたいですが)。

あと、どうでもいいことですが、「ライダー遠心キック」を放つ際のV3の飛行音が、ハッキリ言ってハエそのものです…。もう少しマシな効果音充てましょうよ…。で、あれだけV3を苦しめていた2怪人が、そのキック1発で二人同時に沈む…というのも唐突過ぎて、ちょっとテンションが追いつかなかった。

最後のシーンで純子に抱きつかれる藤兵衛。…役得役得www。

かめやホテルの現在

余談ですが、「伊東温泉かめや」というホテルは実在するのかと調べてみたら、伊東市に「湯あみの宿 かめや楽寛」というホテルが現在も存在してます。外観を比べると、さすがに多少の改装はされているようですが、建物の形や周囲の状況も似通っているので、おそらくここで間違いないでしょう。

その旅館のマッチ箱を藤兵衛が持っている、というのも昭和ですねぇ…。昭和のこの頃は、こういった企業のロゴ入りマッチ箱とかよく見かけたものです。 今で言うと街頭で配っているポケットティッシュみたいな感覚ですよね。 平成世代の人たちは「なんでマッチ箱なんか配るの?何に使うの?」と言う人もいるかもしれません。なんでマッチなのかというと、煙草を吸うためですね。当時は今と違って、大人の男性は煙草を嗜むのが当たり前、的な空気があったのです。

脚本:伊上勝
監督:奥中惇夫

第3話「死刑台のV3」第5話「機関銃を持ったヘビ人間!」
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