怪人ジャガーマン 決死のオートバイ戦(『仮面ライダー』第53話)

あらすじ

ショッカー東南アジア支部より日本支部に新たに着任した大幹部、地獄大使が計画した「アニマルパニック作戦」。それは、あらゆる動物たちを支配下に置き命令どおりに動かすことのできる改造人間ジャガーマンを使い、動物園やペットの動物たちを暴れさせて、大混乱を引き起こす作戦だった。

そのジャガーマンは、藤兵衛とともに久しぶりにオートバイの練習に精を出す猛を戦闘員達とともに襲う。猛はライダーに変身し、ジャガーマンの一団と戦うが、ジャガーマンはそこそこ戦った後、さっさと引き上げてしまう。猛と滝は手分けしてジャガーマンを追うが、墓地の近くでお互いショッカーを見失ってしまう。

実際はこの襲撃は、猛達の目を引きつけるためのカモフラージュだった。墓地近辺にアジトがあるはずと探し回る猛達を尻目に、地獄大使は「アニマルパニック作戦」の開始を指示した。

アニマルパニック作戦の発動により、都内ではペットの犬猫や動物園の動物たちが突然凶暴化する事件が続発。

五郎、ユリ、エミの三人はたまたま動物園を訪れていたが、動物の凶暴化により退園を指示された。退園中に三人は女性の悲鳴を聞き、かけつけると、「怪物を見た」という女性とともに、ジャガーマンの一団と遭遇。猛と滝がその場に駆けつけるが、またしてもジャガーマンは逃走。

猛は滝に五郎達を任せてジャガーマンを追うが、見失ってしまう。そこに、地獄大使がホログラムで猛の前に姿を現した。猛に自己紹介し、改めて宣戦布告するとともに、既に滝達が手中に落ちたことを告げる地獄大使。慌てて猛が戻ってみると、地獄大使の言うとおり、既に滝達の姿は無かった。その場に現れたジャガーマンにおとなしく連行される猛。

滝達はライオンの檻に拘束され、ジャガーマンの命令次第でいつでもライオンに食い殺される状態に置かれていた。人質を取られ、抵抗することもできず処刑場に連行される猛。しかし、彼は密かにライオンの檻にライターを落としていった。

処刑台に固定され、火あぶりにされる猛だったが、ライターでロープを焼き切って脱出した滝により助け出される。脱出してライダーに変身した猛は、激闘の末ジャガーマンを新技「ライダーヘッドクラッシャー」にて撃破した。

動物園は元通り平和な姿に戻り、猛は五郎達とともに動物園を楽しむのだった。

解説

キャスト交代色々

今回から「新1号編」。主役代理の一文字隼人は主役を退き、正式に本郷猛が主役へと復帰を果たします。今後、一文字隼人はピンポイントのゲスト出演のみとなります。

そして密かに、ライダーガールズにも入れ替わりがあります。ミカが退場し、代わりに中島真智子演じるミツコが登場します。もっとも、今回はミツコは名前すら呼ばれてませんが…。本当はエミもミカとともに退場する予定だったそうですが、ミツコのペアになるガールズが最後まで決まらず、急遽続投することになったのだとか。

あ、ユリは引き続き続投です。

ショッカーの方でも、新しい大幹部地獄大使が登場します。もっとも、死神博士も倒されたわけではなく、今後も時々再登場します。前回、猛の前から逃走したまま、何の予兆も無く地獄大使に交代していますが、これは死神博士役の天本英世のスケジュールの都合らしいです。

設定後付け

その死神博士が、前回の件で南米支部に逃走し、一文字隼人が彼を追って南米へ飛んだのだ、という設定が語られていますが、明らかに後付けの設定ですね。

後付けの設定と言えば1号ライダーです。ルックスがこれまでの、全身黒づくめのいわゆる「旧1号ライダー」から、袖と脚にシルバーの二本線が走り、ブーツとグローブが銀色の「新1号ライダー」にガラッと変わっています。

公式設定では、わざとショッカーに捕まって再改造手術を受けて新1号ライダーになったとされていますが、この経緯は本編中では全く語られていません。暗い配色による様々な弊害の解決策として2号ライダーがあのような姿になったのを引き継ぎ、1号ライダーについても明るめの色を配した姿に一新したというのが真相で、再改造云々という設定は後付けされたものでしょう。

そして新たに導入された1号の変身ポーズ。2号の変身が一大「変身ブーム」を巻き起こした流れから、1号も従来の変身システムから、変身ポーズを使用した変身に変更されています。

実は、1号の変身ポーズは劇場版の「仮面ライダー対ショッカー」で先駆けて公開されており、その時はまだ旧1号の見た目でした。なので、一般的に言われている「新1号」になって変身ポーズで変身するようになったというのは、厳密には間違いだったりします。

脚本:伊上勝
監督:山田稔

第52話「おれの名は怪鳥人ギルガラスだ!」第54話「ユウレイ村の海蛇男」
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