ユウレイ村の海蛇男(『仮面ライダー』第54話)

あらすじ

ショッカーは、山奥にある奥山村を占領し、改造人間のトレーニングキャンプに作り替えた。現場を指揮する改造人間・海蛇男は、ショッカー科学陣が開発した光をゆがめる「プリズムアイ」を使い、自らの発する光線を組み合わせて、目に見える風景を自在に変える能力を持つ。この力で、村人達の脱出を防ぐとともに、日々トレーニングの実験台としていた。

必死の思いで村を逃げ出し、通りかかったトラックに助けを求めた駐在員も、トラックドライバーの二人組共々海蛇男の殺人光線の犠牲となった。

現場付近では、無人のトラックが暴走する姿が発見され、新聞のニュースにもなった。その現場は、藤兵衛が、新しいモトクロス場建設のために滝をヘリコプターで調査に派遣した付近だった。事件にショッカーの影を感じた猛は、慌ててヘリコプター運航会社へと向かった。

運航会社で状況を確認する猛。滝のヘリは予定時間を過ぎても戻っていなかった。そこへ、滝が乗っていたはずのヘリが無人の状態で戻ってきた。滝に何かあったに違いない。猛は運航会社に滝のフライトプランを確認し、奥山村へと向かったが、その途中で海蛇男らショッカーの一団に襲われる。

猛は一計を案じ、ライダーに変身して戦うも、わざと敗れたフリをして滝壺に落ちた。そして意気揚々と引き上げる海蛇男の後を付け、奥山村へとたどり着いた。そこで、衰弱した滝と村人達を発見する。

村人達を連れて村を脱出しようとする猛だったが、海蛇男の作り出す幻覚のため、村を出ることができない。突破口を作ろうと周囲を探る猛だが、海蛇男の光線を浴びてしまい、アジトに捕らわれてしまった。

椅子に縛り付けられた状態で地獄大使に真の狙いを問い詰めるが、地獄大使は相手にしない。しかし、海蛇男が使っているプリズムアイ装置が、人々の目を惑わせていると気づいた猛は、力任せに鎖を引きちぎって脱出。ライダーに変身し、装置を破壊してしまう。

さらに逃げる海蛇男を追い、水源地での激闘の末、ライダーキックで打倒した。

奥山村から恐怖は去り、猛と滝は村人達に見送られながら、藤兵衛の元へと帰っていくのだった。

解説

モヤモヤ

なんかスッキリしないエピソードです。色々と伏線が回収し切れていない気がします。

あらすじからは省きましたが、五郎が深夜放送で聴いたという「カツヨシ」の雑音。これを猛が「ショッカー」のアナグラムだと気づき、何かの指令かもしれないと疑うのですが、どんな目的でどうやってこんな雑音が流されたのか、結局この謎は最後まで明らかにされません。

さらには、トラック運転手達を殺害した後、無人のまま暴走させた意図もわからないし、滝が乗っていたヘリをわざわざ無人運転で戻らせた意図も不明。

これらの謎が最後まで解消されないので非常にモヤモヤします。

危機管理

猛がアジトに捕らわれるシーン。「改造人間トレーニングキャンプの真の目的は何だ!」と地獄大使を問い詰めるものの、地獄大使は「重要機密を貴様に言えるか」と相手にしない。これはさすがの危機管理。これがゾル大佐なら、「冥土の土産に教えてやる」とペラペラ喋っていたに違いありません。

ただ、直後に猛は鎖を力任せに引きちぎって脱出しちゃうんですよね…。そもそも最初の改造手術の時も、手術台に拘束する鎖を力任せに引きちぎってますし、こちらは2号ライダーですが、自分を隔離する鉄格子を力任せにねじ曲げてその向こうに侵入したりしてるわけですよ。ただの鎖じゃ拘束できるわけないと学習しても良さそうなものですがね…これはちょっとお粗末です。

余談

少し古いゲームですが、Playstation(初代)に『仮面ライダー』という、本作を題材にした対戦格闘ゲームがあります。ストーリーモードで、ライダー1号が怪人と対決する前に、「最後の勝負だな、来い!」と見栄を切るのですが、その音声は今回のエピソードから採取したものを使ってますね。

脚本:伊上勝
監督:田口勝彦

第53話「怪人ジャガーマン決死のオートバイ戦」第55話「ゴキブリ男!!恐怖の細菌アドバルーン」
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