底なし沼の怪人ミミズ男(『仮面ライダー』第59話)

あらすじ

ショッカーは従来のコバルト爆弾の10倍の威力を持つ新型のコバルト爆弾を使い、日本に放射能をまき散らす放射能作戦を計画。地獄大使は、日本へ輸送中の原料コバルト120を引き取り、持ち帰る作戦を、改造人間・ミミズ男に任せた。

作戦拠点となるアジトを柿沼の底に構えていたが、秘密を守るために近づく人間を片っ端から始末するため、いつしか連続失踪事件として報道されるようになっていた。事件を不審に思った猛は、周囲の地形がショッカーの利用しそうな場所だとにらみ、滝と二人で現地へと向かう。

受け渡し場所として指定されている第51埠頭で連絡員がコバルト120を受領。しかし、アジトへの輸送中、二人組の宝石ドロのクルマとトラブルになる。一方的に宝石ドロコンビを叩きのめしてその場を立ち去ったが、コバルト120が入ったアタッシュケースは、宝石ドロのアタッシュケースと入れ替わってしまっていた。

宝石ドロの二人は、連絡員に持ち去られた宝石を取り返すべく後を追って柿沼まで至り、ケースの交換を持ちかけようとするが、仮装と思っていたミミズ男が仮装じゃない本物の怪人と知るや恐怖のあまり逃げ出してしまう。主犯格はショッカーに捕らわれてしまうが、弟分のサブローは、コバルト120を持ったまま逃走し、猛と滝に保護された。

猛はライダーに変身してミミズ男を迎え撃つ。しかし、ミミズ男の放つ殺人リングに首を捕らえられ、苦悶のまま崖下へと転落してしまった。崖下で意識を取り戻した猛は、自分が引きちぎられた殺人リングを握っていることに気づいた。

「なぜこれが外れたんだ?」

訝しがる猛。

一方、コバルト120を猛らに奪われる形となった地獄大使は、宝石ドロの主犯を人質にして、猛と滝を毒殺してでもコバルト120を持ってこいとサブローを脅迫する。しかし、元来気弱なサブローはとても他人を毒殺できるような男ではなく、二人の前で涙ながらに全てを白状してしまう。

猛は滝とともに再び柿沼へと向かう。サブローの裏切りを知ったミミズ男が、人質を処刑しようとしたところに、ライダーがサイクロンで到着。遅れて横着した滝によって人質も救出され、ライダーはミミズ男を追って海岸へと出る。

ミミズ男と激闘を繰り広げるライダー。ミミズ男が繰り出した殺人リングに再び捕らわれたが、腰のパワースイッチを入れ、力任せにリングを引きちぎると、続けざまにライダーキックを放ってミミズ男を撃破した。

アジトも爆破消失し、二人の宝石ドロは無事の再会を喜び合う。彼らがその後宝石ドロから足を洗ったのかは…定かではない。

解説

コバルト爆弾とはコバルトの放射性同位体であるコバルト60を用いた原爆や水爆の一種ですが、理論はあるものの、被災地の占領が困難などの実用上の問題で実用化はされていないものです。SFなどでは、原爆や水爆を超える途方もない威力を持つ新型爆弾的な扱いでしばしば登場しますね。今回も扱いとしてはそんなところでしょう。今回は、その爆弾の威力をさらに10倍にするというコバルト120を巡るドタバタがメインです。ちなみにコバルトに120などという同位体は、さすがに実在はしないはずです、多分…

地獄大使によると、ビキニ諸島の水爆実験を生き残った唯一の生物であるシマミミズを改造したのがミミズ男であるとのこと。念のため調べてみましたが水爆実験を生き残ったミミズがいるとかいう逸話は見当たらなかったので、これはフィクションでしょうね。もっとも、実際にミミズが生き残っていたところで、特に話題になったりもしないでしょうが。

それにしても、ミミズ男が崖下にライダーを突き落としたことでライダーは始末したと思い込んでいる地獄大使とミミズ男に対して、「仮面ライダーは死んではおらん!」と一括する首領。前回に続いて相変わらずの首領の千里眼ですが、いったいぜんたいなんでそんなことを知っているんですかね?

…実は首領の正体って、立花藤兵衛だったりするんじゃないですかね?

…それ以外にも「この地形は奴ら(ショッカー)が利用しそうな場所」ってどんなのだよとか、殺人リングがなぜ外れたか、とことん考え抜いてけ得た結論が、腰のパワースイッチを入れて力任せに引きちぎっとか何だよそれ、とか、細かい突っ込みどころに事欠かないエピソードです…

脚本:島田真之
監督:塚田正煕

第58話「怪人毒トカゲ おそれ谷の決斗!!」第60話「怪奇フクロウ男の殺人レントゲン」
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