危しV3!迫る電気ノコギリの恐怖(『仮面ライダーV3』第8話)

あらすじ

ナイフアルマジロによって落とされた鉄球をV3はすんでの所で身をよじってかわすと、早速特訓の成果を発揮。「弾丸鋼鉄球」を肩の特殊筋肉で跳ね飛ばし、続けざまにV3キックを浴びせてナイフアルマジロを撃破した。

しかし一方で、河合博士の妹と正は既にデストロンの手に落ちてしまっていた。息子の命を盾に取られ、ナイフアルマジロの復活手術を承諾してしまう河合博士。

藤兵衛はようとして知れないデストロンのアジトを、重傷で3日は動けない志郎に変わって、少年仮面ライダー隊に捜索させる。ただ、この「重傷で3日は動けない」というのは偽の情報。実際には改造人間の驚異的な回復力で、志郎の身体は既にほぼ完治していた。デストロンのアジトへ手っ取り早く侵入するため、「志郎は重傷で動けない」という餌を撒くことで、デストロンが志郎を襲うように仕向けたのだった。

かくして、この偽情報は人間の姿で少年ライダー隊に接触したノコギリトカゲにもたらされる。ノコギリトカゲは絶好のチャンスとばかりに病院の志郎を襲撃。志郎は弱ったフリをしてわざとアジトへ連れ去られる。

志郎をアジトへ連れ込んだノコギリトカゲは、硫酸プールで志郎を処刑しようとするが、失敗。志郎はV3に変身して、アジト内を捜索して河合親子を捜索するが見つからない。アジトは既に引き払われており、ホッパーで河合博士がアジトからクルマで連れ出されたことを掴んだV3は、ハリケーンで追跡し、これに追いついた。

応戦してきたノコギリトカゲを「V3ダブルアタック」で撃破したV3を、復活したナイフアルマジロが襲撃。しかし、特訓で「弾丸鋼鉄球」を既に克服したV3の敵ではなく、「V3ドリルアタック」を食らって敗れ去った。

河合博士一家は無事に救出され、デストロンの恐ろしい野望は阻止された。

解説

あらすじにあえて書かなかったところに細かい突っ込みどころの多いエピソードです。

アジトの近くを少年ライダー隊がうろついていると報告を受けたノコギリトカゲは、「アジトを知られてはマズい」と、妨害電波を発して通信させまいとするのですが…逆効果では? とくに理由も無く通信できないとなったら、逆にここ怪しいぞと教えてるようなものだと思いますが…。まあ、相手は子供、そこまで頭は回らないというところまで見切っての処置ならば(実際回らなかった)、逆にノコギリトカゲ、なかなかの策士ではあります。

それよりも問題なのは、人間体になって接触してきたノコギリトカゲに、シゲル達隊員が志郎の容態や入院している病院までペラペラと喋っていることですね。今回に関してはむしろデストロンに嘘を教えるため、藤兵衛がシゲル達に偽の情報を与えていたわけなので、藤兵衛のもくろみ通りではあるのですが、もう少し隊員の教育って奴が必要だと思いますよ、藤兵衛さん…。ライダー隊員達もある意味、藤兵衛に信用されていないとも言えるわけで…なんか色々もやっとしますねぇ。

あと、志郎を誘拐して、硫酸プールで処刑しようとするシーン。硫酸プールと言えばどうしても結城丈二とヨロイ元帥を連想しますが、こんな早い段階からすでに登場していたんですね。デストロンで好まれている処刑法なのかもしれません。

話が逸れましたが、ノコギリトカゲ、ここで素直に志郎を硫酸プールに沈めず、「簡単に殺しては面白くない!」と処刑失敗のフラグを立て(笑)、ロープをローソクでじわじわ焼き切ることで恐怖を長引かせようとします。そして高笑いしながら志郎を処刑室に放置し、さらにフラグを強化するのですが…志郎、わざと捕まったのだから何らかの策を用意しているのだろうと思えば…まさかの無策!! 結局、機転を利かせて振り子のようにロープを揺らすことでプールの外に着地することで難を逃れるのですが…無謀すぎるでしょ志郎さん。ノコギリトカゲがフラグ立ててなかったら確実にお陀仏でしたよ…

脚本:島田真之
監督:山田稔

第7話「ライダーV3 怒りの特訓」第9話「デストロン地獄部隊とは何か!?」
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