怪人ナマズギラーの電気地獄(『仮面ライダー』第61話)

あらすじ

房総半島沖で、航空自衛隊の偵察機が何者かに撃墜される事件が発生。犯人は、南米支部から潜水艦で日本に舞い戻っていた死神博士だった。死神博士は宿敵仮面ライダーを打倒するために、アンデスの電気ナマズから作り上げた改造人間・ナマズギラーを、地獄大使への手土産として持参していた。

偵察機撃墜事件に不審な空気を感じた猛と滝は、房総半島へ調査に赴くが、そこへ行川アイランドに遊びに来ていた藤兵衛から緊急通信があり、五郎が洞窟で行方不明となっていることを知らされた。

五郎は、エミ&トッコとふざけ合って洞窟内で追いかけっこをしているうちに迷子になってしまい、行川アイランドの地下にアジトを構えていたショッカーに人質として捕らわれてしまっていた。

五郎が行方不明との知らせに、ショッカーの関与を疑う猛の目の前に、死神博士が姿を現した。五郎を人質として拘束したことを宣告し、ナマズギラーを呼び出し猛を襲わせる。ナマズギラーは髭に蓄えた10万ボルトの電流を駆使して、ライダー相手に互角以上の戦いを繰り広げるが、「次の作戦のため」という死神博士の命令により、決着をつけること無く撤退。

死神博士はナマズギラーを地獄大使に託すと、「ナマズギラーの電流は無限ではない、太陽の光を塔に反射して充電する必要がある」という注意を残し、自分の任務は終わったと、再び日本を後にした。

一方で地獄大使は、五郎の身体に細工を施し、意識を乗っ取った上にその身体に5万ボルトの電流を充電し、藤兵衛らの元に送り返した。戻ってきた五郎に触れ、電気ショックで気絶する藤兵衛らを戦闘員が運び出そうとしたところに、猛達が戻ってきた。

戦闘員達を放逐した猛達は、正気を取り戻した五郎から聞き出した洞窟に潜入して捜索。二手に分かれて洞窟内を探るが、滝はナマズギラーに襲われ捕らわれ、猛の捜索も成果無く空振りに終わった。

行方が知れなくなった滝を案ずる猛の元に、五郎同様、電気人間とされた滝が襲撃。しかし、改造された猛の肉体に5万ボルトの電気は致命傷を与えるに至らない。ナマズギラーも現れ、猛は変身して応戦。

前回同様、高圧電流を駆使してライダーを苦しめるナマズギラーだったが、コントロールルームの地獄大使が、ライダー打倒を焦ってナマズギラーの電圧を一気に引き上げてしまったため、ナマズギラーの電流が枯渇。しかも充電のための太陽光反射塔は、五郎がアジトで聞いた情報を元に藤兵衛らとともに占拠して反射板を固定。充電機能を封じてしまった。

完全に電気エネルギーを失ったナマズギラーは著しく戦闘力を落とし、最後はライダー反転キックを食らって爆死した。

平和が戻った行川アイランドで、藤兵衛達はつかの間の休息を楽しむのだった。

解説

珍しく、脚本が二人分クレジットされてますね。しかも、一人は山田稔監督が兼任。だからというわけでもないでしょうが、ショッカーの大幹部も死神博士と地獄大使の共演が実現しています。

一般に、大幹部のそろい踏みというと、やはり『仮面ライダーストロンガー』における、ブラックサタンのタイタンとジェネラルシャドウが思い起こされますが、ブラックサタンの二人が基本的にはお互い反目して時には妨害も辞さない敵対関係だったのとは対照的に、地獄大使と死神博士の二人はわりと友好的な雰囲気です。冒頭で死神博士も「さすがは地獄大使、いいところに目を付けた」と地獄大使を評価している風な言葉を残していますし、一応は地獄大使のテリトリーに踏み込むにあたり、ナマズギラーを手土産として連れてくるなど仁義を切っています。

今回の舞台となった行川アイランドですが、2001年まで千葉県勝浦市に存在したレジャー施設ですね。『仮面ライダー』の放映期間は1971~1973年。本エピソードは1972年に放送されていますが、それから4年後の1976年に一度経営破綻していますね。園内で飼育していた外来種動物が一部脱走して野生化・繁殖し、農作物を荒らす害獣と化して、今なお問題となっている負の側面も残していたりしますね。

脚本:平山公夫、山田稔
監督:山田稔

第60話「怪奇フクロウ男の殺人レントゲン」第62話「怪人ハリネズラス殺人どくろ作戦」
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