怪人ハリネズラス殺人どくろ作戦(『仮面ライダー』第62話)

あらすじ

ショッカーは人間を一瞬にして白骨化する殺人ビールスを開発。その実験として改造人間ハリネズラスに夜道のアベックと警官を襲わせる。実験は期待通りの成果を上げ、アマゾンから本格的に殺人ビールスを日本へ運び込む手はずになっていたが、その輸送機がエンジン故障を起こし、三浦海岸に不時着してしまう。

地獄大使は殺人ビールスを回収するべくハリネズラスを三浦海岸へ向かわせる。しかし、その車両は猛と滝に追跡されていた。彼らはショッカー輸送機の通信を傍受し、同じく三浦海岸へと向かっていた。ハリネズラスは煙幕を張って、いったんは猛達の追跡を逃れる。

しかし、現場で積み荷が見つからない。積み荷は海岸で少年に拾われ、彼が小舟の船倉に隠したのだが、ハリネズラスは漁村の誰かが盗んだものと思い込んだ。漁村を襲って村人を脅迫するが、彼らは何も知らないので、情報が出てこない。焦りを募らせるハリネズラス。

一方で、猛と滝はハリネズラスらから遅れて漁村に到着。不時着機の目撃情報を探すが、ハリネズラスに脅迫されている村人からは有益な情報がなかなか得られない。そんな中、海岸で出会った漁師から目撃情報を聞かされた猛達は、荷物を置いたという海岸の船小屋に入るが、漁師はハリネズラスの変装であった。小屋に閉じ込められ、爆弾針で小屋ごと吹っ飛ばされる猛と滝。

二人は死んではいなかった。二人の死体を探すハリネズラスの前に、サイクロンに乗ってライダーと滝が現れる。しかし、ハリネズラスは漁村へ逃げ、子供らを人質に取ることでライダーを再び屈服させた。断崖にライダーと滝の二人を立たせ、殺人針を浴びせて断崖の下にたたき落とす。

今度こそライダーを始末したと確信したハリネズラスが、再び子供の命を盾に村人を脅迫。そこに、箱を拾った少年が見かねて飛び出し、自分が拾って隠したと白状する。ハリネズラスは少年の案内に従い、積み荷のビールスを回収するが、そこに猛が割り込んだ。死んではいなかったのだ。滝も人質になっていた子供達を救出した。

猛はライダーに変身し、ハリネズラスとの戦いへ。ハリネズラスはビールスの回収を優先し、荷物を持って逃げ回るが、ライダーの攻撃で荷物は吹っ飛ばされ爆散。怒りのハリネズラスは、ライダーキックをかわしてみせるなど、大いに善戦するが、最後は「ライダー稲妻キック」を食らって爆死した。

ショッカーの野望は阻止され、漁村にも平和が戻った。猛と滝は村人達に見送られ、去って行くのだった。

解説

冒頭で、夜道を歩くアベック(「カップル」の古い呼び方)。はい、これは毎度おなじみの死亡フラグですね。今回も例外に漏れず、キッチリ二人ともハリネズラスに殺されました。南無。リア充爆発しろ!というスタッフの強い怨念を感じます(違

ナオキとミツルが初登場します。この二人は近々五郎と入れ替わりでレギュラーとなります。後に結成される少年仮面ライダー隊のリーダー格にもなる二人ですが、今回は五郎に紹介される形で藤兵衛に顔見せするだけですね。

それにしても、一度目は船小屋ごと爆殺、二度目は断崖から突き落とすと、二度も猛達の死を確信できるような戦果を挙げながら、結局はどちらも空振りのハリネズラス、哀れです。猛はどちらのケースでも、滝に対して自分の身体に捕まるよう指示しています。助かる方法がわかっているかのように。そして実際に助かる。猛にしてみれば、何が起こるかわかっていれば、滝の安全も含めて危機回避は難しくないということなのでしょう。さすがIQ600。

脚本:伊上勝
監督:山田稔

第61話「怪人ナマズギラーの電気地獄」第63話「怪人サイギャング死のオートレース」
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