死神博士恐怖の正体?(『仮面ライダー』第68話)

あらすじ

藤兵衛ら立花レーシングクラブの面々は、従来のサイクロン号に代わる新しいサイクロン号を完成させた。猛によるテスト走行で上々の性能を発揮したが、ブレーキテストで停止したところに、突如隕石の雨が落下。もちろんショッカーの仕業だったが、猛は仮面ライダーに変身して難を逃れていた。しかし、その場に現れた新手の怪人・イカデビルに大苦戦。ライダーキックも通用せず、命からがら新サイクロンでその場を離脱した。

宇宙から降り注ぐ隕石をコントロールして日本に隕石の雨を降らせるショッカーの「流れ星作戦」。現場に隕石を降らせたのも、イカデビルの能力によるものだった。

悪夢にうなされるほどの一方的な敗北に、猛は能力を鍛えなおす必要性を実感し、滝とともに特訓を敢行した。

一方、死神博士は「流れ星作戦」をより万全な物にするべく、イカデビルの強化を画策。藤兵衛を拉致して、イカデビルのトレーナーとしてスカウトする。もちろん、首を縦には振らない藤兵衛。しかし、自分が引き受けない限り、ショッカーはライダーに挑戦することはなく、ライダーが助けに来ることもできないと知った藤兵衛は、苦渋の決断でイカデビルのトレーナーを引き受けた。

その頃、藤兵衛宅に戻ってきた藤兵衛のクルマに、藤兵衛本人がいないというトッコとエミの報告でかけつけた猛は、クルマに仕組まれた通信機から死神博士の声を聴く。曰く、ライダーとイカデビルを戦わせるために、藤兵衛を誘拐した。助けたければクルマに乗れ、と。

要求されるまま現地へ向かうと、そこに待っていたのは死神博士だった。
「死神博士、イカデビルはどこだ!」
「…お前の目の前にいる」
不気味な笑みを浮かべながら死神博士がマントを被ると、その姿はイカデビルに変身していた。猛は仮面ライダーに変身して、イカデビルを迎え撃つ。

イカデビルを倒すべく特訓したとはいえ、それはイカデビルもまた同じ。前回同様、ライダーはイカデビルの高い戦闘力に苦戦する。崖から首つり状態にされ、そこから崖下にたたき落とされるなど、イカデビルに終始押され気味だが、そこにアジトを脱出した藤兵衛が現れた。

「ライダー、立て!!奴の弱点は頭だ!!」

助言を受けたライダーは、イカデビルの脳天にライダーチョップを浴びせて、当部に埋め込まれたコントロール装置を破壊。怯んだイカデビルを、立て続けにライダー錐揉みシュートで投げ飛ばした。

必殺技の直撃を食らったイカデビルは爆死。ショッカーの「流れ星作戦」は潰え、また、最高幹部の一人、死神博士も最期を迎えた…

解説

よい子は真似しちゃダメ

冒頭で、夏の夜を楽しむ若いアベック。はい、おなじみの死亡フラグすw。今回は男はキッチリ殺されましたが、女は死神博士に捕らえられたままその後の行方は不明のまま。うん、相も変わらず「リア充爆発しろ!」なスタッフの怨念を感じますな(違

失踪していた藤岡弘は今回から無事に復帰。で、今回から、新サイクロン号が登場します。冒頭で、シャンパンで祝杯を挙げてから新サイクロンのテスト走行をする猛。おーい、それ飲酒運転じゃ無いのかい?

…ご安心ください。飲酒運転はいわゆる公道を走らない限りは道交法違反にはなりません。今回はマシンレース用の練習コースなのでセーフでしょう。とはいえ、あまり褒められた行為でないのは確かなので、よい子は真似しないように!

真似しないように、と言えば、ライダーキックの真似をして高いところから飛び降りて遊ぶナオキとミツルを、猛が叱り飛ばすシーンがあります。

「仮面ライダーのライダーキックはな、仮面ライダーだからできるんだ。子供のお前達には無理だ。真似をすれば怪我をする。いいな」

私が子供の頃リアルタイムで放映されていたのは、1979年度の、スカイライダーが主人公の『仮面ライダー』ですが、その当時も、スカイキックのまねごとをして怪我をする子供の話はちらほらあったと記憶しています。番組の予告編でも筑波洋役の村上弘明が「危険なキックはやめて」と視聴者の子供を諭す一幕がありました。

きっと、この1972年当時も、同様なことがあったのでしょう。なので、本郷猛を通じて、仮面ライダーの危険な真似事はやめるようにと、視聴者に言い含めたのでしょうね。

死神博士退場

さて、不本意ながらも引き受けたからには全力投球が信条の藤兵衛さん。イカデビル相手にも鞭を片手に本気の特訓。だらしないとみるや容赦なく鞭を入れます。死神博士に鞭を入れた人間なんて、後にも先にも藤兵衛さんだけでしょうね…(藤兵衛はイカデビル=死神博士であることを知らなかったとはいえ…)

そして次第にヒートアップする中、あの有名な迷台詞が飛び出します。
「何やってるんだ!そんなことで仮面ライダーに勝てると思ったら大間違いだ!」
熱い…熱いよ、藤兵衛さん…

あ、あとイカデビルの特訓現場には、どさくさに紛れて再生怪人がいますねww。サイギャングとカブトロング。

さて、強烈な個性を振りまいてテレビの前の子供達を恐怖に陥れた死神博士も、今回で退場となりました。第53話で日本に地獄大使が着任して以降、結局登場したのは今回も含めて3回に留まりました。しかも、地獄大使との共演が実現したのはわずかに1回。登場が少なかったのは、演じる天本のスケジュール的都合によるものなので仕方ないですが、地獄大使との共演が避けられたのはどうしてなんでしょうね。

まあ、どちらも存在感強すぎるので、同時に登場しても色々持て余しそうではありますが…

脚本:伊上勝
監督:山田稔

第67話「ショッカー首領出現!!ライダー危し」第69話「怪人ギラーコオロギ せまる死のツメ」
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