あらすじ
数日前から、正確無比だったアポロガイストの射撃精度に微妙な狂いが生じ始めていた。狂いは徐々に拡大し、コーヒーカップもつかみ損ねるほどの痺れを手に感じるようになるに至り、アポロガイストは自身の再生手術を行った宮本博士を訪れる。そこで聞かされたのは、再生手術による命は一ヶ月のみであり、症状の進行具合から、長くても今日明日の命という事実だった。再度の再生手術をアポロガイストは要求するが、もう一人の手術担当者である川上博士をアポロガイストが既に殺害しているため、再手術は不可能。が、Xライダーのパーフェクターを心臓に埋め込むことで命が助かる可能性があるという。
否が応でもXライダーと決着をつける必要に迫られたアポロガイストは、COLのチコとマコを拉致して、敬介に対しアポロン第二宮殿での決闘を挑む。あわてて敬介がCOLに戻ってみると、既に店は荒らされ、さらには客に化けていたアキレス、ユリシーズ、プロメテスの再生怪人3体に襲われる。Xライダーにセットアップした敬介は、ユリシーズ、プロメテスを始末すると、尻尾を巻いて逃げ出したアキレスを懐柔して味方に引き込み、アポロン第二宮殿へと案内させた。
アキレスに捕らわれたフリをして、アポロン第二宮殿へと乗り込んだ敬介だが、アキレスの懐柔は見破られており、アポロガイストに執務室に入るなりアキレスは銃殺される。宮殿内でヘラクレス、ケルベロス、ミノタウロスに襲撃されるもこれを撃退したXライダーに、ついに戦闘態勢のアポロガイストが決戦を挑む。
前回の決闘にも劣らぬ激闘を繰り広げる二人だが、アポロガイストの放ったマグナムが自身から大きく逸れるのを見たXライダーが訝る。
「どうしたアポロガイスト。百発百中の腕前のはずだが？」
「俺はまもなく死ぬ。その運命からは逃れられない。だが一人では死なん。Xライダー、貴様も道連れに地獄への旅立ちだ！」
全身火の玉と化して突進するアポロガイスト捨て身の特攻だったが、Xライダーは冷静にかわしてXキックを叩き込む。アポロガイストは苦悶の絶叫と共に爆死した。
アポロガイストの死とともに、アポロン第二宮殿も壊滅。ライバルの死を見届けたXライダーに、「キングダーク」と名乗る謎の声が宣戦を布告する。
敬介とGODの戦いは、新たな局面へと突入する。
解説
再生アポロガイスト最後の回だからでしょうか。久々にカッコいいポロガイストを堪能することができます。冒頭の射撃訓練シーンや、「GODに損害賠償を送りつけてやりたい」とボヤく藤兵衛の前に札束をたたきつけて颯爽と現れるシーンなどは、久々に「これぞアポロガイスト！」と膝を打つクールさです。
「俺はGOD総司令から、不死身の肉体として甦らせてもらったはずだ。その手術を行ったのは…早田と宮本博士…」
違います。
アポロガイストの再生手術を行ったのは「川上博士」と宮本博士です。しかし物語はこのまま間違った人名が正されることの無いまま進んでいきます。宮本博士ですら川上博士を覚えていない有様。あらすじの方では訂正してありますが、明らかに脚本のミスでしょう。なんというか改めて観ると、本作はこういう細かい不備が本当に多すぎますね。
以前、ジャンピング式のセットアップは、基本的に折田監督の担当エピソードのみだが、ひとつだけ例外があると書きましたが、その例外が今回です。担当は内田一作監督ですが、1回目のセットアップでジャンピング式が採用されていますね。2回目は普通のセットアップでした。まあ、場所が屋内でしたからね…
ただ、これまでの細かい間違いが多い本作の傾向を見るに、実は監督のクレジットも間違っていて、本当は前回が内田監督で今回が折田監督だったんじゃないかと密かに疑ってます。だって、前回は折田監督だったのにジャンピングセットアップじゃなかったしね…
ところで、神敬介は前作までの清廉潔白一色な主人公像とは異なる、清濁併せ呑むところがあるといいますが、以外とダークサイドな一面も見せたりするのが面白い。再生アポロガイストを言葉で煽って冷静さを失わせたり、今回もアキレスを言葉巧みに操ってGODを裏切らせて懐柔したりなど、意外とやることがしたたかです。
もうパーフェクターを奪っても間に合わないと覚悟を決めたのか、最後にXライダーを道連れにしようとするも失敗して散ったアポロガイスト。再生後は情けない姿をさらすばかりで、「何のために再登板させたの？」と首をかしげたくなるような扱いの雑さでしたが、最後の最後に本領を見せてくれたのは幸いでした。
ちなみにこのアポロガイストとパーフェクターの関係性については、平成シリーズになって『仮面ライダーディケイド』でオマージュ的なエピソードが作られていますね。
さて、次回からキングダークと悪人軍団の登場です。
脚本：伊上勝
監督：内田一作
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