人喰い植物 バショウガンの恐怖(『仮面ライダーV3』第39話)

あらすじ

デストロンは戦力の増強のため、改造人間の素体となる人間を集めていた。そのため、怪人バショウガンを使い、人間達を拉致しては、バショウガンの毒素を使って、縮小して瓶詰めにして生きたまま保存し、素体として蓄積していた。

そして、熱帯植物園を散策していた姉弟の姉、マサ子が次なるターゲットとなった。マサ子は展示のカエンバショウが変化したバショウガンに教われ、そのまま姿を消してしまう。弟・秀一の悲鳴を聞きつけて、シゲルと純子が彼を保護する。秀一の証言と、既にその植物園の周囲で6人の人間が蒸発している事実を照らし合わせ、志郎は事件の背後にデストロンの関与を疑い始める。

植物園を足がかりに捜索を開始した志郎は、不意に現れて毒ガス攻撃してきたデストロンの車両を追跡。戦闘員1人を拘束し、立花邸へと連れ帰った。マサ子達の失踪にデストロンが関わっていると確信した志郎は、戦闘員を尋問し、アジトの場所を吐かせて現場へと向かう。一方、ツバサ大僧正はバショウガンに、捕らわれた戦闘員を掟に従って始末するよう指示。バショウガンは立花邸へと向かっていた。

今まさに、マサ子の保存手術が行われようとしているアジトに乱入したV3。ツバサ大僧正は早々に撤退し、志郎はマサ子と瓶詰め保存されていた人々を救出。一方、立花邸ではバショウガンが捕虜となっていた戦闘員の始末を終え、さらに藤兵衛達をも同時に処分しようとしていた。しかし、ツバサ大僧正の指示を間近で聞いていたマサ子から、バショウガンが立花邸へ向かっていることを聞いてトンボ返りしたV3がギリギリで間に合い、藤兵衛達の危機を救った。

立花邸の外へ飛び出し、激闘を繰り広げるV3とバショウガンであったが、最後はV3スカイキックが炸裂し、バショウガンは斃れた。

無事に再会を果たすマサ子と秀一の姉弟。再会を喜び合う姉弟の愛情に、志郎は思わず失った家族のことを思い起こし、改めて、一つでも多くの愛をその手で守っていこうと、決意を新たにするのだった。

解説

ツバサ軍団に植物系怪人とな…

人喰い植物バショウガンです。植物ですよ、植物。こいつのいったいどこがツバサ軍団なのか、というツッコミが方々から聞こえてきそうですよ。

これには、一応理由らしきものがありまして…

この第39話からしばらくの間、番組は「原点を見つめ直す」ために、前作『仮面ライダー』のエピソードをリメイクした脚本が続くのです。で、今回の第39話の元となったのは、『仮面ライダー』第4話「人喰いサラセニアン」

つまり、元のエピソードの怪人が植物怪人だったため、今回も植物系怪人が投入された、ということなのですが…

もうね、アホかと、バカかと

というのが正直な感想だったりしますね。

そもそもシナリオを見ても、植物系怪人である必然性がそれほどないと思うのですよ。敢えて挙げるなら、姉が襲われる場所が植物園だということくらいですか。それだって、植物園で活動するのが植物系怪人でなくても別に問題ないですし、なんなら植物園じゃなくて別の場所に書き換えてしまえばいい。それ以外で、怪人が植物系でなければならない理由は、このシナリオには見当たらないです。ツバサ軍団編という重要な舞台設定を踏まえ、翼を持った怪人に合わせた脚本に書き換えることにそれほど手間がかかるとは思えません。

「原点を見つめ直す」というのは建前で、身も蓋もない言い方をすれば、スケジュールが逼迫するなどの事情から、脚本を流用して手抜きしたのだろうと私は推測しています。主人公の台詞すらほとんど書き換えずにパクってるくらいですから、そういった些細な変更の手間すら惜しまれる状況であったのでしょう。

ちなみに、このリメイクシリーズは第42話まで4話続くのですが、脚本は全て海堂肇名義です。この海堂肇というのはプロデューサーである平山亨および阿部征二の別名義です。この脚本リメイクシリーズが終わった直後にライダーマンの登場となりますので、それに絡んで色々と準備に追われていたのかも知れませんね。

松田洋治登場

弟・秀一を演じているのは、松田洋治です。そう、後に『仮面ライダーアマゾン』でまさひこを演じることになる子役ですね。既にこの時点で子役としてはかなりの演技力を見せてくれてますが、後にまさひこになった時と比べると、まだ多少の拙さも感じられます。逆に言えば、後にまさひこを演じるまでの一年少々で、随分と演技力に磨きをかけてきたようですね。

脚本:海堂肇
監督:内田一作

第38話「子連れV3 死のスカイダイビング!.」第40話「必殺!V3マッハキック!!
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