カタツムリ人間の人体実験!(『仮面ライダーV3』第42話)

あらすじ

街中へ買い出しに出ていたライダー隊本部の面々。その帰途、志郎の目の前で一人の女性が突然倒れた。慌てて路脇へ運んで介抱する志郎だったが、女性は突然立ち上がって凶暴化し、志郎を襲撃。志郎は反射的に応戦し、女性は昏倒、そのまま絶命した。その女性のあまりにも異様な変貌ぶりに、デストロンの関与を確信する志郎達だったが、その場に居合わせた女性の妹、美沙子は志郎が姉を殺したと誤解してしまう。

ことの真相を確かめるため、美沙子姉妹が住んでいるマンションに潜入した志郎は、その場でデストロンの怪人・カタツブラーに遭遇する。マンションは、人間に卵を産み付けて意のままに操るカタツブラーの能力の人体実験場となっており、既に全住人が実験の犠牲となっていた。立ち塞がる住人達を避け、窓から飛び降りてV3に変身した志郎。V3キックを甲羅ではじき返すなど、V3を苦しめたカタツブラーだが、マンションの屋上から投げ落とされると、自己催眠能力を発動し、昏睡状態となった。

志郎はマンションに藤兵衛を残し、知り合いの科学者に犠牲者の血液を分析させていた。が、その間に志郎が姉を殺害した証拠を掴もうと藤兵衛の後をつけていた美沙子が、藤兵衛を花瓶で殴打して昏倒させ、さらには口車に乗せられて拘束されていたカタツブラーを解放してしまう。志郎が戻ってきたときには、既に美沙子は卵を植え付けられた後だった。その場に響くデストロン首領の声で、姉を殺したのがデストロンだったと知る美沙子。

首領とカタツブラーは、美沙子の命と引き替えに、志郎にデストロンの脳改造手術を受けろと迫る。カタツブラーによる支配状態が治るという証拠を見せれば要求を呑むと答える志郎に、カタツブラーは自分のツノを被験者に突き刺し、元の状態に戻ることを実演した。カタツブラーの体内に治療薬があると知った志郎はカタツブラーに襲いかかる。マンションの外に飛び出して、V3に変身。苦戦しつつも、最後は甲羅を引き剥がしてV3キックを浴びせ、カタツブラーを斃した。

カタツブラーの体内の薬を注射し、美沙子をはじめ、マンションの住人達も元の状態へと戻った。姉を殺したという美沙子の誤解は解けたが、志郎の孤独な戦いは終わらない。

解説

4回続いた前作の脚本リメイクシリーズの最後にあたりますね。今回の元ネタは、『仮面ライダー』第2話「恐怖蝙蝠男」です。

「恐怖蝙蝠男」では、まだ本郷猛が緑川ルリ子に、父親である緑川博士を殺した犯人であると疑われていた状況。今回、志郎の事を姉を殺害した犯人と誤解する美沙子は、そのルリ子の立ち位置ですね。藤兵衛を襲って昏倒させるのも一緒ですし、その台詞回しもほとんどがルリ子と同じものでした。

志郎と初遭遇したカタツブラーは、自身のことを「人間カタツムリ、カタツブラーだ」と名乗ってますが、これは蝙蝠男が首領や戦闘員に「人間蝙蝠」と呼ばれていた事へのオマージュですかね。

今回、細部の修正まで手が回らなかったのか、リメイクにあたって『V3』の設定・背景とうまく整合が取れてないなと思われるところが2つほど。

1つは、カタツブラーの拘束された美沙子に、デストロン首領が御自ら、姉はデストロンの使命を果たせなかった失格者として処刑したと告げるシーン。ここは普通、首領が出張るところではなくヨロイ元帥の役割だと思います。「恐怖蝙蝠男」では、まだショッカーに大幹部がいない時代だったので、ルリ子に真実を宣告したのは首領だったのですが、そこをそのまま使ってしまったんでしょうね。

ただ、それも「そんなの、あら探しだろ」と言われれば「そうかもしれない」なんですが、もう1つの方はさすがに手落ちと言われても仕方ないと思います。あらすじには敢えて書かなかったのですが、カタツブラーが美沙子を解放する条件を志郎に告げる際に、「デストロンの脳改造を『改めて』受けること」と言ってるんですよ。「改めて」ってなんですか。そもそも志郎はデストロンに改造されたわけではないのですよ。ショッカーに改造され、脳改造を免れて脱出した本郷猛と違い、志郎を改造したのはダブルライダーだという事が、すっかり忘れられているんですよね。もっとも「恐怖蝙蝠男」の方に実はこれの元となった台詞はなかったりします。わざわざ、後から間違いを追加してしまってるってことになりますね。いったい、どうしてこうなったのか…

さて、次回はいよいよ、みんな大好きライダーマンの登場です。

脚本:海堂肇
監督:折田至

第41話「あッ!人間が溶ける!ヨロイ元帥登場」第43話「敵か味方か?謎のライダーマン」
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