対決!キングダーク対Xライダー(『仮面ライダーX』第32話)

あらすじ

那須高原滞在中の敬介の元に、とある女性から電話で接触があった。彼女、野田幸子は南原博士の教え子であり、師から預かったRS装置設計図を敬介に託すと申し出た。敬介達は幸子が既にGODに狙われている可能性を考え、敬介を囮として幸子との落ち合い場所へ向かうフリをして戦闘工作員を引きつけている間に、藤兵衛が幸子を回収する策を打ったが、GOD悪人軍団・アリカポネはその策を見破っていた。

敬介は藤兵衛と連絡が取れないこと、道中に幸子が目印と指定していた赤い花が落ちていたことから異変を察知し、チコ達に指示して藤兵衛の車両の行方をレーダー探知させ、幸子がアリカポネに尋問され設計図の在処を白状しようとする直前に間に合った。敬介は幸子を逃して、Xライダーに変身しアリカポネと闘うが、アリカポネは設計図の確保を優先して早々に撤退する。

幸子はホテルのレストランシアターのイベント中に、改めて敬介らと接触。設計図を手渡そうとしたところ、ホテルマンに扮した戦闘工作員にバッグごと強奪されてしまう。敬介らが設計図を取り返そうと戦闘工作員を追う間に、アリカポネが幸子に接触。彼女の一人娘を人質に取り、茶臼岳へ一人で設計図を持ってくるよう指示した。幸子はハンドバッグを奪い返してきた敬介達に、設計図を紛失したと嘘をついて、翌朝、茶臼岳へ一人向かった。設計図を受け取ったアリカポネが、約束を反故にして幸子と娘を処刑しようとしているところに、Xライダーが登場。敬介は幸子の態度が急変したことを不審に思って後をつけていたのだった。しかも、設計図も既に偽物にすり替えていた。

偽物を掴まされて後がないアリカポネとXライダーのバトル。吹き矢攻撃でXライダーの腕にダメージを負わせるも、キックの連打に翻弄され、最後は真空地獄車を決められてアリカポネは爆死。

そして、ついに業を煮やしたキングダークが、大爆発と共にXライダーの前にその巨大な姿を現した!!

解説

前回の最後で立ち上がりかけたキングダークですが、結局思いとどまった模様(笑)。で、今回の悪人軍団の刺客、アリカポネ。うーん、当然かのアル・カポネの流れを汲む怪人ということなのでしょうが、ネーミングがアリキメデスとも共通するオヤジギャグ系ですねぇ…

ちなみにアル・カポネについて一応軽く解説すると、20世紀初頭にシカゴの暗黒街を牛耳っていたギャングの頭目ですね。密造酒の販売、売春、賭博などの犯罪を事業化し、逮捕後も刑務所内から犯罪事業を指示していたことは有名ですね。よく知られている「アル・カポネ」の名は略称で、正式な名前は「アルフォンス・ガブリエル・カポネ」だそう。

その流れを汲むアリカポネは、普段は人間態で活動しているのですが、その人間態は、アメリカギャングを真似し損なったチンピラみたいな風体になってしまっていて、ちょっとなぁ…って感じでした。

で、彼とGODの行動にもちょっと意味不明なところがちらほら。

冒頭で、幸子がCOLを訪れるシーン。COLは藤兵衛らが那須滞在中のため臨時休業中で、幸子も那須へ向かうことになりますが、その姿を戦闘工作員が捕らえていて、しかも南原の弟子であるという彼女の正体に気づいていながら、追跡を怠っていたようで、わざわざアリカポネが家族を襲撃して娘に幸子の居場所を吐かせてました。これは明らかに失態でしょう。

また、那須ビューホテルのレストランシアターで、幸子から設計図の入ったバッグをホテルマンに扮した工作員がひったくっているのに、別途幸子に接触したアリカポネが「設計図を渡せ」と彼女に迫っているのは、いったい何なのでしょうか。設計図は正真正銘ハンドバッグにはいっており、だからこそ、奪い返した敬介が設計図を偽物にすり替える余地があったわけですが、アリカポネはひったくったバッグが取り返されることを見越していた、ってことでしょうか…

そのアリカポネも、最後は真空地獄車の前に倒れるのですが、これまで散々「かっこ悪い」と罵ってきた真空地獄車、今回から随分と描写が変わって結構カッコ良くなってます。最初の地獄車の回転のもっさり感がかっこ悪さを醸し出していたのですが、その部分は空中でくるくる回転するモーションに差し替えられ、課題のスピード感が大きく改善。これなら必殺技として十分見栄えがする映像と言えるでしょう。

なお、前回と今回、ロケの舞台となった「那須ビューホテル」は、2010年に閉館・解体され、現存はしていないそうです。

脚本:伊上勝
監督:折田至

第31話「立て!キングダーク!!」第33話「恐怖!キングダークの復しゅう!!」
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