ストロンガーとタックルの秘密!(『仮面ライダーストロンガー』第2話)

あらすじ

ブラックサタンは伊良湖岬灯台を占拠して、通過するタンカーをレーダー妨害装置で爆破し、海を原油まみれにする計画を企て、奇械人オオカミンに灯台監視員の山根の身体を乗っ取らせた。

一方、大幹部タイタンは茂が邪魔することを見越し、彼が自分を怪しんでいるのを利用して、茂の周囲でわざと思わせぶりな行動を取り、茂の目を作戦から反らせていた。

その一方で、タイタンはブラックサタンのコンピューターで城茂の素性調査を指示していた。その結果判明したのは、城茂はかつてブラックサタンの奇械人として自ら志願し改造手術を受けたものの、脳改造を回避して脱出した脱走者という事実だった。その目的は、ブラックサタンに殺された親友の仇を討つこと。タックルこと岬ユリ子も、その時に茂に助け出されていた。以後茂は、自由と平和の戦士「仮面ライダーストロンガー」を名乗ってブラックサタンとの戦いに臨んでいた。

タイタンの計画は事も無く進むかと思われたが、弁当を届けに来た山根の娘・マイが奇械人に乗っ取られた父親の異変に気づき、茂の指示で灯台を監視していたユリ子に正体が露見する。ユリ子はタックルに変身するも、オオカミンからマイを守るのがやっとの状況。そこに、口笛と共に現れた茂。ストロンガーに変身し、オオカミンを電キックで撃破した。

山根の意識は正常に戻り、親子の再会を確認した茂とユリ子は、黙って灯台を立ち去るのだった。

解説

前回に続き伊良湖ロケです。番組の開始直後からロケ撮影という思い切ったことがされているわけですが、これは一応、茂達がブラックサタンの姿を求めて各地をさすらっているという設定によるもので、しばらくはロケ撮影が続きます。ちなみに、前回と今回の舞台となった「伊良湖ビューホテル」は現在も営業しています。

今回は、城茂と岬ユリ子の正体が視聴者に語られる回で、茂がストロンガーとなる経緯が描かれていますが、自己催眠装置を身につけることで脳改造を免れたという理屈はうまく解釈できないですね。脳改造といいつつ、実際は洗脳のようなものだったのでしょうか。ならば自己催眠で回避できるというのも納得できますが。

ちなみに茂は唐突に「仮面ライダーストロンガー」を名乗っていますが、「仮面ライダー」という単語をどこから仕入れてきたのかは不明です。まあこの後に立花藤兵衛が登場することからも解るとおり、かつて1号からアマゾンまでの歴代ライダー達が活躍したのと、茂は同じ世界線にいることになっているので、どこかで「仮面ライダー」の噂や都市伝説のようなものが流れていて、茂はそれに乗っかったということなのかもしれません。何しろ、後にデルザー軍団編で明らかになりますが、1号&2号ライダーは「伝説」扱いにされている世界線ですしwww。

ヒーロー番組としての原点に立ち返り、とにもかくにも痛快さと明朗さを追求している本作では、ことブラックサタン編に関しては、奇械人相手にライダーが苦戦する場面はほとんど無く、時には理不尽とも言えるくらい一方的に圧勝する展開が多いです。それこそ、時代劇で主人公が悪役をバッタバッタと斬り倒していくかの如きです。今回のオオカミンも、多少銃撃で翻弄したくらいで、あっという間に電キックを食らって果てています。その分、ピンチに陥って視聴者の緊張感を煽る役割をタックルが担っているということかも知れません。

タックル役の岡田京子さんについて少し。彼女は、本作の前年にデビューしたばかりほやほやの新人で、当時16歳だったそう。ただ、容姿は年齢より大人びており、18歳くらいに見られることが多かったらしいです。確かに、本作での佇まいを見ていると16歳というには少しアダルティな雰囲気が出ています。

基本、タックルのスーツも本人が着て演じていたそうです。ただ、彼女は技闘に関してはまるで素人であり、それを補うアイデアとして生まれたのが、手を触れずに戦闘員を投げ飛ばす「電波投げ」だったのです。これなら、戦闘員に扮した殺陣師がとんぼを切るだけで、見せ場を作ることができるというわけです。

が、さすがに激しいアクションシーンでは、大野剣友会の女性殺陣師が代理で演じることもあったそうです。(例えばエンディングで戦闘員相手に立ち回っているタックルは女性殺陣師でしょうね。あの動きは明らかに素人ではない)

もともと芸能活動に執着の薄かった岡田さんは本作の後、さほど経たずに芸能界を引退。結婚もされてご長女も出産されたのですが、残念ながら27歳という若さで鬼籍に入られています。

脚本:伊上勝
監督:塚田正煕

第1話「おれは電気人間ストロンガー!!」第3話「スリラーハウスが子供を呼ぶ!!」
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