キノコジン 悪魔の手は冷たい(『仮面ライダー[新]』第6話)

あらすじ

ゼネラルモンスターは、人が迷い込むと生還できないとされる魔境・悪魔峠に300年以上にもわたっていき続けるキノコの生命力と魔力を植え付けた最強の改造人間・キノコジンを生み出した。ゼネラルモンスターより筑波洋抹殺の指令を受けたキノコジンは、山中で遭遇した洋の知り合いの看護婦・雪江に変装して洋に接近する。

雪江に化けたキノコジンは、怪我を負って入院中の少女・久美子を洋が見舞いに来た際、洋と共に久美子を散歩に連れ出した中庭で突然洋を襲う。不意を突かれた洋は斜面を転がり落ち、車椅子の久美子はそのまま怪談から転げ落ちて意識を失ってしまう。

雪江は自身の不注意で久美子と洋が怪我を負ったと病院関係者に責められるが、本物の雪江には当然そのような記憶は無い。泣きながら無実を訴える雪江を信じる者はいなかったが、唯一、目を覚ました久美子だけは今まで献身的に世話をしてくれた雪江を信じると断言した。

志度会長と共に状況を整理する洋は、久美子と雪江の以前の会話をひもとき、病院に雪江の偽物が紛れ込んでいる可能性に思い至る。久美子を使って自身に毒薬を飲ませようとした偽雪江の罠にあえてかかったフリをして誘い出した洋は、関係者達の目の前で偽雪江の正体を暴いた。

正体を現したキノコジンは、洋に胞子を浴びせて催眠幻覚を見せ、海へ入水させようとするが、身体が水に沈んだ瞬間に胞子が流され催眠が解け、スカイライダーに変身して脱出。アジトに問うすするキノコジンをライダーブレイクで追撃し、最後はスカイキックでトドメを刺した。

階段から転げ落ちた久美子の容態も無事回復し、洋達はほっと胸をなで下ろすのだった。

解説

300年生きたキノコの生命力と魔力を備えた改造人間・キノコジン。改造人間は一応科学の産物なので、魔力とは世界観的に相性が良くないのか、あまり本シリーズには登場したことの無い概念ではあります。デルザー軍団のドクター・ケイトが魔女を自称していたくらいでしょうか。

雪江の姿を模写したり、決戦前には洋に幻覚を見せて入水自殺寸前に追い込むなど、その魔力を遺憾なく発揮しているキノコジンではありますが、スカイライダーが水中でも変身できるとは思っていなかったらしく、入水した途端に胞子が流れ落ちて、変身・脱出されるという手落ちを見せます。

…言われて見ると、確かに今まで水中で変身していたライダーっていなかったかもしれない。そもそもベルトの風車から風力をエネルギーとして取り込んで変身するというのがライダーの基本スタイルなので、その基本を受け継いでいる1号2号V3あたりは水中で変身できたらそもそもおかしいですしね。スカイライダーもベルトの形状からその基本を受け継いでいるのかと思えば、どうやらそうではないもようです。

脚本:平山公夫
監督:山田稔

第5話「翔べ 少女の夢をのせて」第7話「カマキリジン 恐怖の儀式」
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