溶けるなライダー!とどめの電キック!!(『仮面ライダーストロンガー』第8話)

あらすじ

街中で突然人々が凶暴化して暴れ回った末に気を失うという奇っ怪な事件が続発。事件の影にブラックサタンの存在を疑った茂が現地へ急行すると、狂乱した父親が息子(タツオ)に襲いかかる現場に遭遇。慌ててタツオを庇いに入る茂だったが、父親は力任せに暴れた後、唐突に気を失ってしまう。

茂の睨んだとおり、事件の背後に居たのはブラックサタンだった。奇械人モーセンゴケが生み出す毒素は、人間が飲むと狂ったように暴れ出し、3回暴れると暴れ疲れて死に至る。タイタンとモーセンゴケはこの毒素を水源に流し、町中の人間を狂い死にさせようとしていた。

街中を捜索していた茂とユリ子は、藤兵衛の運転する車が街中の狂った人間に追い回されるところに出くわした。狂った人間達に紛れていたブラックサタン戦闘員が襲ってきたり、モーセンゴケが一般人に乗り移って茂の不意を突いて襲いかかったり、後にはモトクロスレース会場で再び戦闘員の襲撃があったりと、次々と襲いかかるブラックサタンだったが、茂達はこれを撃退。

目の前で水道の水を口にした藤兵衛が狂乱するのを目にし、ブラックサタンが水源に毒を混入したことに思い至り、貯水池でさらに毒を流し込むモーセンゴケを襲撃。モーセンゴケはタツオを人質にとることで、ストロンガーを降伏させ、拘束。狂乱させた人々にストロンガーをなぶり殺しにさせようとするが、ストロンガーとモーセンゴケの会話を秘密通信で盗み聞きしていたユリ子が、その会話内容から解毒剤を作成。狂った人々を元に戻し、ストロンガーを解放する。

自由となったストロンガーはモーセンゴケを電キックで一蹴し、ブラックサタンの計画は潰えた。タツオの父も正常に戻り、茂達は親子に別れを告げ、次なるブラックサタンの影を求めて旅立つのだった。

解説

今回の脚本担当の阿井文瓶。ライダー界隈ではあまり見かけない名前だったので調べてみたのですが、元々ウルトラシリーズに参加していた脚本家だったようです。ライダーシリーズでは今回のみの参加ですね。彼は1980年代には小説家に転身し、「阿井渉介」の名義でミステリーなどを執筆していたそうです。後に小説家となる彼の実力なのかどうかは定かではありませんが、今回のシナリオには目立ったツッコミどころはありません。あえて言うなら、「そんな会話で解毒剤の作り方がわかるか!」「そんな短時間で解毒剤が作れるか!」ってくらいですかね。

冒頭で狂乱した人々が暴れ回るシーン。車を一台たたき壊すと、次の標的を探しに行くのですが、その際にわざわざカメラ目線でアピールしてくるのがちょっと笑える。

いい加減、茂達と藤兵衛も顔なじみくらいには昇格したようです。茂は藤兵衛を「おやじさん」、ユリ子は「藤兵衛さん」と呼びますが、茂は当初「オッサン」よわばりしていたんですよね。これではあまりにも礼儀知らずではないか、という茂役の荒木しげるの苦言によって、この呼び方に変わったのだとか。私としては、風来坊的な雰囲気ある茂には、「オッサン」呼びの方がそれっぽい気がしますけどね。

モーセンゴケはやっぱり弱いです。頭脳派を自称するだけあって、一般人に乗り移って不意打ちをかましたり、人質を盾に降伏させたりと、そこそこストロンガーを困らせてはいますが、正面からのたたき合いになるとやはり全然ストロンガーに歯が立ちませんでしたね…。

脚本:阿井文瓶
監督:折田至

第7話「ライダー大逆転!!」第9話「悪魔の音楽隊がやってきた!!」
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