- 放映期間
- 1987年10月~1988年10月
- 主演
- 倉田てつを
エピソードリスト
No. | タイトル | 脚本 | 監督 | 備考 |
1 | BLACK!!変身 | |||
2 | 怪人パーティー | |||
3 | 怪?怪・改造人間 | |||
4 | 悪魔の実験室 | |||
5 | 迷路を走る光太郎 | |||
6 | 秘密透視のなぞ | |||
7 | 復元する生体メカ | |||
8 | 悪魔のトリル | |||
9 | ビシュムの紅い唇 | |||
10 | 信彦はどこに? | |||
11 | 飢えた怪人たち | |||
12 | 超マシン伝説誕生 | |||
13 | ママは怪人養育係 | |||
14 | マグロが消えた日 | |||
15 | 狙われた怪奇学園 | |||
16 | 友よ!海を越えて | |||
17 | 杏子の不思議な夢 | |||
18 | 剣聖ビルゲニア!! | |||
19 | 息づまる地獄の罠 | |||
20 | ライダーの墓場 | |||
21 | 激突!二大マシン | |||
22 | パパを襲う黒い影 | |||
23 | マルモの魔法の力 | |||
24 | 女子大生の悪夢 | |||
25 | 爆走する武装メカ | |||
26 | 超能力少女を救え | |||
27 | 火を噴く危険道路 | |||
28 | 地獄へ誘う黄金虫 | |||
29 | 獲物はデスマスク | |||
30 | 暗殺者にアロハ! | |||
31 | 燃えよ!少年戦士 | |||
32 | 夢少女・ユキ | |||
33 | 父と子の愛の河 | |||
34 | 復活!?地獄王子 | |||
35 | 対決!二人の王子 | |||
36 | 愛と死の宣戦布告 | |||
37 | 想い出は夕張の空 | |||
38 | 謎!?EP党少年隊 | |||
39 | アイドルの毒牙 | |||
40 | カラテ名人の秘密 | |||
41 | あぶない時間泥棒 | |||
42 | 東京-怪人大集合 | |||
43 | 怪人牧場の決闘! | |||
44 | タンスの中は海! | |||
45 | 妖花ビシュムの死 | |||
46 | 壮絶バラオムの死 | |||
47 | ライダー死す! | |||
48 | 海に追憶の花束を | |||
49 | 激闘!ダロムの死 | |||
50 | 創世王の主体は? | |||
51 | ゴルゴム最期の日 |
解説
『仮面ライダースーパー1』の終了後、児童雑誌でのグラビア連載という異例の形で『仮面ライダーZX』が展開され、さらにはその特番として『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』がテレビで1話限りで放映されたりはしたものの、テレビドラマシリーズとしての仮面ライダーは長きにわたって途切れることとなりました。そして、『スーパー1』から6年の歳月を経て、待望の復活となったのがシリーズ第8作目『仮面ライダーBLACK』です。
(本サイトではあくまでテレビドラマシリーズとしての「仮面ライダー」を取り上げているため、『仮面ライダーZX』は番外として扱います)
それまでのシリーズ制作を一貫して手がけてきた平山亨に代わり、『秘密戦隊ゴレンジャー』などで平山と仕事を共にする一方で、『宇宙刑事ギャバン』を初めとするメタルヒーローシリーズも手がけてきた吉川進が制作の指揮を執っています。制作スタッフも一部の監督や脚本家を除いてほぼ新しい顔ぶれで固められ、技闘も大野剣友会に代わりジャパンアクションクラブ(JAC)が登用されています。
吉川は「悪の組織の脱走者」「悩める改造人間」「バッタモチーフ」などの仮面ライダーの原点に対し、原点に回帰して最新技術でリメイクするか、逆に全否定して新しいものを打ち立てるかを検討し、最終的に原点回帰の方針を選択。
しかし、ただ原点に立ち返るには留まらず、様々な新機軸も意欲的に盛り込まれています。
- マフラー/ブーツなどのスーツ的イメージを廃した生物的な造形など、伝統的なスタイルを廃して一新したライダーのデザイン
- 戦闘員の存在しない敵組織
- ライバルキャラクターとしての「悪の仮面ライダー」の投入
- 各種武道やトランポリンアクションをベースとした「魅せる」技闘の排除
これらの大胆な方策により打ち立てられた「旧くて新しい」本作は、結果として、主人公・南光太郎の抱える悲哀を最後まで描ききったハードなストーリー、最新技術に支えられた映像美、謎に満ちた敵組織ゴルゴムを中心として織りなす独特な世界観など、個性の強い魅力を放ち、放映時の視聴率も好調で終始。その好評ぶりから、本作に続いて南光太郎を主人公とした事実上の続編、『仮面ライダーBLACK RX』が制作・放映されることとなりました。
また、これまでは少年誌などに連載されていた原作コミックは、概ね石ノ森章太郎本人ではなく、すがやみつるなど弟子筋の漫画家達に任せていましたが、本作に関しては自ら原作コミックのペンを取っており、並々ならぬ入れ込みようがあったようです。
放送から30年以上経過した今もなお、本作へのファンの評価は高く、2022年にはシリーズ50周年記念企画の一環として、本作をリメイクした『仮面ライダーBLACK SUN』の制作・配信が決定しています。
筆者個人的には、平山亨時代のシリーズが、最初に据えた主人公像やテーマを視聴率等の都合で次々と路線変更させ、当初のコンセプトが消え失せてしまう事態を繰り返したのに比し、終始一貫して影のある主人公の悲哀とハードなドラマを描ききった本作を高く評価しています。昭和シリーズ最高傑作を挙げろと言われたら、迷わず本作を推します。
登場人物
南光太郎(演:倉田てつを)
東星大学人文学部2年生。19年前の皆既日食の夜に生まれた。3歳の時に両親を事故で亡くし(実際はゴルゴムによる暗殺)、父の友人だった秋月総一郎の養子となる。総一郎の実子である信彦とは兄弟同然に育った。
19歳の誕生日に、信彦と共にゴルゴムの三神官に連れ去られ、ゴルゴムの次期創世王候補の一人、「世紀王ブラックサン」に改造されるも、脳改造を前に総一郎の手引きで脱出。以後、「仮面ライダーBLACK」と名乗り、ゴルゴムとの戦いに身を投じていく。
秋月信彦(演:堀内孝人)
東星大学理工学部2年生。光太郎の養父である秋月総一郎の実子で、19年前の日蝕の夜に光太郎と同時に誕生している。光太郎同様、19歳の誕生日に三神官に連れ去られ、次期創世王候補の一人である「世紀王シャドームーン」に改造される。光太郎の脱出後も組織に取り残された上、その時の騒動で深刻なダメージを受け、ゴルゴムの神殿で眠りにつくこととなった。
後に、三神官のエネルギーを吸収してシャドームーンとして復活。その際、信彦としての記憶は持つものの人格は失われ、ゴルゴムの指揮官として光太郎の前に立ち塞がる。
なお、復活後のシャドームーンの声は堀内孝人ではなく、クレジットはされていないが声優の寺杣昌紀(現・てらそままさき)が演じている。
秋月総一郎(演:菅貫太郎)
第1話に登場(第2話にも回想シーンで登場)。考古学者であり、信彦の実父。光太郎の養父でもある。ゴルゴムに対しては研究の資金援助を受けている一方で、「悪魔の集団」と内心で嫌悪しており、ゴルゴム入りを拒否した親友の南夫妻(光太郎の実両親)が暗殺されたことによる恐怖からやむなく従っている。二人の息子をゴルゴムの世紀王として差し出すが、大神官達が「記憶は消去しない」という約束を反故にしたため、改造手術の現場を妨害し、光太郎を逃がす。
その後、脱出した光太郎をキャンプディアブロ跡地に呼び出し、ゴルゴムの秘密を伝えるが、追っ手として放たれたクモ怪人の手にかかり命を落とす。
秋月杏子(演:井上明美)
信彦の妹。朝霧女子高等学校2年生(のち中退)。ゴルゴムの暗躍が始まると、生まれ育った秋月邸から避難し、光太郎の先輩である東堂勝が経営する喫茶店「キャピトラ」に身を寄せ、住み込みで働く。光太郎がゴルゴムに対抗しようとしているのは知っていたが、第35話まで光太郎が仮面ライダーBLACKであることは知らなかった。しかし、薄々感づいてはいたもよう。
BLACKがシャドームーンに敗れ、日本に対しゴルゴムの総攻撃が始まると、失意のままアメリカへ疎開。
紀田克美(演:田口あゆみ)
信彦の恋人。東星大学人文学部2年生。光太郎、秋月兄妹とはいつも4人でつるむ間柄だった。行方不明になった恋人を案じながら、杏子と共にキャピトラに身を寄せる。信彦がシャドームーンとなって現れた際には大きく心を乱されている。
BLACKがシャドームーンに敗れゴルゴムの総攻撃が始まると、杏子と共に渡米。その後、光太郎の生存を知った杏子が日本へ帰国しようとするのを、BLACKとシャドームーンの決着の邪魔になると制止した。
ダロム(演:庄司浩和 声:飯塚庄三)
ゴルゴムの幹部である大神官の一人。「知恵の大神官」と呼ばれる。三人の大神官の中でもリーダー格であり、常に冷静沈着。光太郎と信彦の世紀王への改造も彼が行った。シャドームーン復活後は本来の姿である三葉虫の大怪人となる。第49話でBLACKに敗れ、斃れる。
バラオム(演:高橋利道)
「力の大神官」と呼ばれる大神官の一人。性格は荒々しく好戦的だが、組織内での仲間意識が強く、怪人の喧嘩を仲裁したり、BLACKとの戦いに敗れたビシュムの仇討ちのために特訓したりもしている。シャドームーン復活後はサーベルタイガーの大怪人となった。第46話で、クジラ怪人とBLACKに敗れた。
ビシュム(演:好井ひとみ)
「占いの大神官」と呼ばれる大神官の一人。右の目で未来を、左の目で過去を見ることができ、組織内で巫女の役割を果たしている。シャドームーン復活後は、翼竜の大怪人となった。第45話で、闘いの中でBLACKを拘束し、シャドームーンに自分ごと始末するよう懇願するも、杏子の乱入でシャドームーンが躊躇したことによりBLACKは軽傷で生還、自分のみが致命傷を負い、斃れることとなった。
ビルゲニア(演:吉田淳)
第18話より登場。妖剣ビルセイバーと魔盾ビルテクターを駆使する剣士スタイルの大怪人で「剣聖」の異名を持つ。過去の横暴が創世王の逆鱗に触れ封印されていたが、BLACK打倒の為に創世王の命で大神官達が復活させた。
3万年前の日蝕の夜に生まれるも、創世王の交代時期ではなかったため世紀王にはなれず、自らの運命を恨み続けている。創世王にそそのかされBLACKやシャドームーンのキングストーンを奪い次期創世王になろうととするが、それはシャドームーン復活までの創世王による時間稼ぎだった。結果、復活したシャドームーンに一刀両断され果てる。
創世王(声:渡部猛)
ゴルゴムの守護神にして支配者。普段はゴルゴムの奥殿に潜み、言葉を発さずテレパシーで大神官達に意思を伝えるが、シャドームーンが復活し己の寿命が近づくにつれ、直接言葉を発するようになる。
約5万年ごとに代替わりし、そのたびに力を増している。代替わりの時期になると、創世王は次期創世王候補である「世紀王」を誕生させ、世紀王同士を戦わせて生き残った者が次の創世王となる。光太郎と信彦は、この世紀王として改造された。