あらすじ
人工心臓学の権威である河合三郎博士は、自身の開発した人工心臓を移植することで、二日前に死んだ人間を生き返らせることに成功した。しかし、手術の成功直後に、デストロンが手術室を襲撃。研究所は火事となり爆発。
河合博士と息子の正、そして手術で生き返った患者が行方不明となったまま、二ヶ月が過ぎた。
河合博士は正を妹に預け、デストロンから身を隠していたが、博士の手術で生き返った男が、改造人間・ナイフアルマジロとなって博士の前に現れた。必死に抵抗してナイフアルマジロから逃れる河合博士だったが、正の写真をその場に落としてしまった。
博士の妹の元に預けられた正は、研究所の事故で怪我を負い、車椅子生活だった。なんとか自力で歩こうと試みるも、なかなかうまく行かずにいるところに志郎が通りかかる。正を励ましつつ、リハビリの補助を行う志郎。そこで志郎は、正が行方不明になっていた河合博士の息子であることを知った。
正を迎えに来た博士の妹も一緒に志郎が家へ送り届けると、そこに当の河合博士から電話が入る。正の写真を落としてしまった、正が狙われるかもしれない、と。志郎は電話を替わって状況を聞き出そうとするが、博士はデストロン戦闘員に捕獲された後だった。
その場を怪しげな男が様子をうかがっているのを見つけた志郎は、捕まえて問いただそうとするが、男は振りほどいてクルマで立ち去る。志郎はバイクで追うが、途中でデストロン戦闘員の妨害を受けた。ナイフアルマジロも現れ、志郎はV3も変身。しかし、ナイフアルマジロの必殺技「弾丸鋼鉄球」の前に手も足も出ず、一敗地にまみれて、満身創痍の身体で少年ライダー隊本部に逃げ帰った。
「弾丸鋼鉄球」を攻略しないことには勝ち目はない。志郎は藤兵衛に頼み込み、「弾丸鋼鉄球」を攻略するための特訓を敢行した。工事用の重機で巨大な鉄球をぶつけるという苛酷なトレーニングを繰り返すうちに、V3は偶然、肩の筋肉で受ければほとんどダメージがないことに気づいた。肩の特殊スプリング筋肉。V3の26の秘密の一つだった。
一方でデストロンも動く。拷問にかけてもデストロンに手を貸すことを拒み続ける河合博士を屈服させるため、正の元にもう一人の改造人間・ノコギリトカゲが向かい、これを誘拐する。
そしてナイフアルマジロは特訓中の藤兵衛とV3を襲う。戦闘員3人がV3の不意を突いて地面に拘束し、そこにナイフアルマジロが重機を操作して鉄球をV3めがけて落とす。
危うし、V3!!
解説
画期的な研究を完成させた科学者を悪の組織が誘拐して、その研究を悪用しようとするのは昭和ライダーシリーズの定番ネタではありますが、今回の河合博士の研究は、死んだ人間を生き返らせると言うもの。うーん、悪の組織が狙いそうな発明という意味ではインパクトがあるのでしょうが、さすがに死人を甦らせるというその研究には、一抹の嫌悪感を感じずにはいられません。しかも博士はデストロンの襲撃を受けた際に、手術で生き返らせた男を置き去りにして逃げている。仕方ない面もありますが、あんまりだと思わずにはいられません。結局、その男はナイフアルマジロとなって博士に復讐?するわけですけども。ちなみにこの博士、後でナイフアルマジロに迫られたときも、通りかかったトレーニング中のボクサーを盾にして逃げています。悪人ではないにせよ、好感度は低いですね、この人。
そのナイフアルマジロは、ショッカーのアルマジロングを彷彿とさせる怪人です。同じアルマジロモチーフの怪人なので当然と言えば当然ですが、必殺の「弾丸鋼鉄球」なんて、アルマジロングの「弾丸スクリューボール」そのまんまですし、一度はその技でライダーを圧倒してみせるのも同じで。
志郎が、車椅子から歩こうと頑張る正に向かって
「人間ってのはね、負けると思ったら、本当に負けちゃうんだ」
と諭すシーンがありますが、大人になった今振り返っても、この言葉って割と真を突いていると思うんですよね。病は気から、なんて言葉もありますが、心の持ちようが人のあり方を変えるというのは、割と真実だと思ってます。
昔ならどうということなくスルーしたシーンだと思いますが、この年になるとこのシーンに深い含蓄を感じてしまうのは私だけですかね?
脚本:島田真之
監督:山田稔
