怪人サイギャング死のオートレース(『仮面ライダー』第63話)

あらすじ

猛と滝の二人は、来る全日本オートレース選手権へ向けて、猛練習を重ねていた。全日本オートレー種選手権には、二人のレーサーとしてのライバルである勝丸功も出場する。功は、脚の病気を患う弟の正にアメリカで治療を受けさせるため、なんとしても優勝して賞金を手中にすると燃えていた。

一方、再び日本に舞い戻っていた死神博士は、本郷猛打倒の切り札として、アフリカ支部から改造人間サイギャングを呼び寄せた。死神博士は万全を期するべく、さらなる策を巡らす。新聞の取材を装って勝丸を誘拐し、催眠術を施して猛抹殺の刺客に仕立て上げてしまった。

勝丸は猛を練習走に誘い、サイギャングが待つ地点までおびき出す。サイギャングの目潰し爆弾をまともに食らい、目が見えない状態での戦いを余儀なくされた猛は、変身することもままならず、サイギャングに崖下にたたき落とされてしまう。

意気揚々とアジトに引き上げたサイギャングを待っていたのは、激怒する死神博士だった。

「なぜ本郷にトドメを刺さなかったのだ!!」

猛は崖下の木に捕まって生き残っていた。今度こそは命を賭けて猛を倒せと厳命する死神博士。

翌日、全日本オートレース選手権がスタートした。レースは勝丸と猛が先頭で激しい競い合いとなる。二人が独走状態で後続を大きく引き離したところで、勝丸が突然、執拗な猛の進路妨害に転じた。散々猛の走行を邪魔し、脇道に追い込むとそこで刃物を手に猛に襲いかかる。そこにオートバイに乗った戦闘員達も現れ、猛はようやく勝丸にショッカーの魔の手が伸びていたことを知る。

ショッカーを相手にする猛を尻目にレースに戻る勝丸。一方、サイギャングはレースを先回りし、猛の補給用ガソリンに混ぜ物を仕込んだ。しかし、そのガソリンは誤って勝丸のマシンに補給されてしまう。戦闘員を蹴散らしてレースに復帰し、ピットインした猛はその異変に気づき、急いで勝丸の後を追うも、勝丸のマシンは黒煙を上げ、やがて爆発。幸い、勝丸はショックで正気に戻り軽傷で済んだものの、レースの続行は不可能となった。

猛はその場に現れたサイギャングに対し、変身して応戦。激しいバイク戦から地上戦へと移行し、火を噴くサイギャングに手を焼きながらも、角が弱点と突き止めたライダーは、ライダーパンチを浴びせて怯んだサイギャングをライダー錐揉みシュートで投げ捨て、撃破した。

猛と滝はそのままレースに復帰。トップと5分の差をひっくり返して、猛と滝でワンツーフィニッシュを飾った。

優勝した猛は、密かに入院中の正の病室を訪れ、アメリカ行きのチケットが入った封筒をそっと置いて、立ち去っていくのだった。

解説

死神博士が再び日本に舞い戻ってきました。前回は、地獄大使と協力して事に当たっていましたが、今回、地獄大使は完全にお休みで、登場すらしません。死神博士が単独で本郷猛抹殺作戦を遂行しています。割と淡々としていて感情を高ぶらせることが少ない死神博士ですが、今回は珍しく激怒してサイギャンクをどつき倒す貴重なシーンが見られます。

サイギャングに目を潰されて、盲目状態での戦いを余儀なくされる猛。盲目状態での戦闘は実はかつて一文字隼人もやっています。隼人はその時は聴力を視力の代わりとして駆使し、目が見えない状態でカメストーンと戦い、苦戦しつつもこれを敗っています。猛は、まだそこまでの領域には達してないようです。

ところで、『仮面ライダー』という番組は、主人公が未来的オートバイを駆るのが重要な要素のひとつなのですが、オートバイアクションっていうのはやっぱりなかなか難しいものがありますよね。地上戦みたくバイク運転しながら殴り合うわけにはいきませんし、バイク走らせながら車体をガツンガツンぶつけるようなことも危険すぎてできません。せいぜい、進路を邪魔してハンドルミスによる転倒を誘うのが関の山。アクションとしてはどうしても大味になりがちです。

平成・令和ライダー達があまりオートバイアクションをしなくなったのも、こういった理由なのかもしれません。クウガだけは凄かったですけどね…

そういう意味では、『仮面ライダー(1979年版)』のスカイライダーが使う、ライダーブレイクはいいアイデアだったと思うんですよね。スカイターボもろとも壁をぶち破って強引にアジトへ突入するというアクションは、見た目の派手さもありますし、ストーリー的な必然性も作りやすい。使い勝手のいい技だったと思うのですが、何故か後半ではまったく使われなくなったんですよね…

サイギャングとの激闘を終えたその身体で、5分差をまくって逆転優勝するとか、やっぱり本郷猛は常軌を逸してますよねぇ。それにきちんと着いていって2位でフィニッシュする滝も相当ですが。

それにしても、勝丸のメカニック?である早苗さんのライダースーツ姿が、パッツンパッツンでもうたまりません(;‘Д`)

脚本:島田真之
監督:塚田正煕

第62話「怪人ハリネズラス殺人どくろ作戦」第64話「怪人セミミンガ皆殺しのうた!」
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