あらすじ
ショッカーの改造人間セミミンガ。その能力は、殺傷能力のある殺人音波を発するというもの。その殺人音波の実験台として、林の中で男を殺人電波で殺害したセミミンガだったが、たまたまそこに居合わせたナオキもまた殺人音波の影響を受け、倒れてしまう。
ナオキの連れの子供達が苦労してナオキを抱えて帰ろうとしていたところに、猛が現れた。猛は、「蝉の化け物が…」とうなされるナオキの様子に不審を感じ、万一ショッカーが関わっていてはと、自分の部屋にナオキを連れ帰る。
殺人音波の実験が成功し、次なる計画である、電波塔から殺人音波を拡散し、東京都民を皆殺しにする計画を実行しようとしたものの、実験現場にナオキらがいたことに気づいた地獄大使は、ナオキの始末をセミミンガに命ずる。しかし、ナオキは既に猛に連れられた後だった。猛の部屋へ向け、トラックから殺人音波を放つセミミンガ。しかし、改造人間の猛に、殺人音波は通用しない。
逃走するトラックを滝とともに追跡して強引に止め、ライダーに変身してセミミンガと戦うが、セミミンガのもう一つの特殊能力で羽交い締めの状態からエネルギーを吸い取られてしまう。大ダメージを受けたライダーは、滝の助けもあって、辛うじてその場を逃れる。
さすがに無事では済まなかったが、改造人間の猛は回復も早かった。猛はショッカーが殺人音波を効果的に遣うために、電波塔を占拠することを先読みし、一計を案じた。自分が依然重傷で動けず入院中だということにし、藤兵衛らが電波探知機を使ってショッカーが抑えている電波塔を捜索。
藤兵衛らは無事にショッカーの電波塔を発見したが、セミミンガに露見し捕まってしまう。猛が藤兵衛達を追って現れると確信したセミミンガは、藤兵衛達を人質にして猛をあぶり出そうとするが、現れたのは仮面ライダーだった。セミミンガが猛をあぶり出そうと時間をかけている間に、滝が電波塔の周囲に妨害電流を流しすことで、妨害電波の拡散を防ぐ仕掛けを施していた。
ライダーはセミミンガの殺人音波攻撃を上手くかわしながら、ライダー返しからのライダーキックを浴びせ、無事勝利した。
解説
セミミンガの放つ殺人音波とやらは冷静に考えると、とんでもない特殊能力です。とくに補助的な仕掛けを必要とせず、セミミンガ単体で音波を放つことができる。しかも音波ですから、その影響は全方位に拡散し、基本的には防御するすべもありません。まさに無差別大量殺戮兵器。凶悪さという点ではカメストーンの殺人オーロラに匹敵するヤバさです。それを電波塔で東京中にブーストしてばら撒かれたら、たまったものではありません。ショッカーの計画には、本当に効力あるのか?と首をかしげたくなるものや、世界征服にしてはずいぶんと気の長い、やけにチマチマしたものだったりするものが多いですが、今回の作戦は単純明快な大量殺戮が可能です。しかもセミミンガはライダーのエネルギーを吸収するという特殊能力もあるようです。とんでもない高スペックな怪人と言えます。
まあ、戦闘力は十人並みですが…。大量殺戮能力に秀でていても、1vs1の戦いには使い勝手が良くないようです。
自身に対する自惚れもあったのでしょう。猛と滝が病院から姿を消したという連絡を受けたセミミンガ。地獄大使の指示は、「すぐに殺人電波を流せ」だったのですが、藤兵衛らを人質にして猛をあぶり出しにかかってしまいます。その間に滝に妨害電流の仕掛けを施され、作戦遂行が不可能になってしまったのですからマヌケな話です。もしも、地獄大使の指示通り、即座に殺人電波の拡散に動いていれば、東京はタダでは済まなかったでしょう。
今回、猛が走るトラックの天井で戦闘員と戦うという結構無茶なアクションをしています。実際戦闘員が天井からたたき落とされたりもしているわけで、かなり危険なスタントですね。今だとこういうアクションはCGなどでお茶を濁すんですかね。昭和の時代は、今じゃ考えられないような危険なアクションを平然とやってましたね。迫力のある映像は撮れますが、それなりに事故もあったことでしょう。他ならぬ藤岡弘のように。
脚本:伊上勝
監督:塚田正煕