あらすじ
アルプスのFBI捜査員アンドレイから、真鶴海岸にショッカーの最高機密作戦計画書が送られるという情報を受け取った滝は、藤兵衛とともに真鶴海岸でショッカーの動きを待ち受けていた。時間通り10:00に、上空の飛行する飛行機からパラシュートで透過された通信筒を、滝達は奪い去った。改造人間ギリザメスらが奪い返しに来るが、ライダーの登場もあってなんとか通信筒の持ち出しに成功する。
通信筒に仕込まれていた暗号をFBIニューヨーク支部が解読した結果は、ショッカーの世界会議が東京湾上の要塞島で開催されるというものだった。世界各地の幹部に加え、首領も出席するという。
ショッカー首領の正体に迫るチャンスとばかりに、滝は海から要塞島に潜入する。会議の場に忍び込もうとするが、警戒中の戦闘員に見つかってしまう。次から次へと襲ってくる戦闘員達に滝が追い込まれようとしていたところに、ライダーが現れた。滝が戦闘員を引きつけている間に、ライダーは首領らしき人物の存在を確認し、世界会議の場に乱入。しかし、首領がいたはずの席に座っていたのはただの人形だった。
全ては罠だった。FBIを通じてアルプスから作戦計画書が送られることが滝に漏れたのも、その暗号文が解読されることも、全ては島に仮面ライダーをおびき出し、島ごとライダーを海に沈めて抹殺するという、その名も「V作戦」の計画通りだったのだ。
人形が吐き出すアンドロガスに苦悶するライダーに襲いかかるギリザメス。島は5分後に爆発して海に沈む。ライダーを足止めして島もろとも海に沈めようとするギリザメスと、なんとか逃れようとするライダーのせめぎ合い。ギリザメスに有利な水上戦に苦戦するライダーだったが、ライダー錐揉みシュートでギリザメスを撃破した。
結局、ショッカー首領の正体を暴くことはできなかった。仮面ライダーの戦いはまだまだ続く。
解説
死神博士はギリザメスだった?
藤岡弘失踪事件の影響で、今回も本郷猛の登場はありません。仮面ライダーの声も前回と同じく市川治です。実はこの藤岡弘の失踪は、ストーリー上の重要な設定にも影響を与えていたりします。
死神博士の正体がイカデビルであるということは、ファンならば誰でも知っていると思います。しかし、本来は今回登場するギリザメスが死神博士の正体として設定されていたそうです。それが、藤岡弘の失踪によって急遽予定変更せざるを得なくなり、死神博士最後の回をひとつ先延ばしにした結果、死神博士の正体はイカデビルとなってしまったのです。
他にも、前回登場のカミキリキッドは、本来は劇場版『仮面ライダー対じごく大使』用に準備されていた怪人であるにもかかわらず、失踪事件によって急遽テレビに登場することになり、劇場版では再生怪人になってしまったという笑えない影響も出ていたりします。
V作戦
さて、今回のショッカーの計画は、ライダーを抹殺することに特化した、非常に手の込んだ大がかりな計画です。
偽の計画書を滝に掴ませて、偽の世界会議情報を流す。しかも、信憑性を持たせるために高度な暗号をかけてFBI本部にわざわざ解読させるという徹底ぶりです。今回ばかりは滝もライダーも完全に騙され、罠が張り巡らされた要塞島に、まんまとおびき出されています。
途中、「V作戦計画はどうなっている?」という首領の問いに、地獄大使が「ご安心ください、全て順調に進んでおります」と答えたのには違和感を感じた視聴者もいたでしょうが、確かに地獄大使の言うとおり、全てが順調だったのです。ここまでは完全にショッカーの勝ちで、まさに「ライダー危うし」。
ここで、おびき出したライダーを5分間島に足止めできればショッカーの完全勝利だったのですが、最後の最後でギリザメスはそれができなかった。残念。
ライダー抹殺に非常に惜しいところまで迫っていた今回のショッカー。ライダーも苦悶する、改造人間の肉体組織を破壊するアンドロガスが漂う部屋で、ギリザメスが平然としていたのは不問にしておきましょうか…
脚本:伊上勝
監督:塚田正煕