Xライダー必殺大特訓(『仮面ライダーX』第9話)

あらすじ

GODは、感染した人間をGODの意のままに操ることのできる「ドリームビールス」を日本中にばら撒く「日本人ロボット化作戦」を計画。怪人アキレスにより山村を部隊に人体実験が行われ、実験は成功するも、実験現場を目撃した少女・ミキが母親の手により村を脱出していた。

ミキの行方を捜索するアキレスと戦闘工作員達の前に、謎の白スーツの男が現れた。男は戦闘工作員を子供扱いし、アキレスをもあしらって見せ、そのままバイクで離脱した。

実験成功を受け、ドリームビールスの量産が完了する3日後に作戦決行が決定。アキレスは、それまでに秘密を守るため、ミキを捜索して始末することをもくろむ。

そのミキは、オートレースの訓練中の敬介の前に忽然と現れたが、事件のショックで記憶を失った状態だった。ミキを保護してCOLに連れ帰ろうとする敬介と藤兵衛を、アキレスと戦闘工作員が襲撃。アキレスは高い戦闘力でXライダーとも互角以上の戦いを繰り広げるが、その最中に謎の爆発が発生し、戦いは中断。Xライダーはアキレスを見失い、撤収。一方、戦いを邪魔されて苛立つアキレスの前に、もう一人、別の怪人が現れた。
「自分の任務を忘れるなアキレス、お前の第一目的は何だ!?」
アポロガイストと名乗るその怪人は、Xライダーを相手にせず、早々にミキを始末するようアキレスを窘め、その場を立ち去った。

アキレスは、ミキの父親になりすまし、COLからミキを連れ出すことに成功する。車の中で、偽の父親にアキレスの影を見たミキは、記憶を取り戻した。アキレスがミキにビールスを打ち込もうとしたところに、車の天井からXライダーが登場。敬介は父親が偽物であることを見抜き、敢えてミキを攫わせて、記憶が戻る可能性に賭けていたのだった。

しかし、アポロガイストも現れる中で、Xライダーはアキレス相手に一敗地にまみれる。ミキも連れ去られてしまい、敬介は満身創痍の状態で命からがらCOLへ戻ってきた。
「何がXライダーだ!俺は自分が恥ずかしい!」
藤兵衛は自分の非力を嘆く敬介に、先達の仮面ライダー達が、倒れても倒れても立ち上がり、己を鍛えて困難を乗り越えていった姿を語る。そして、Xライダーにも大特訓をするときが来たのだと、発破をかけた。

アキレス打倒のため、藤兵衛とのマンツーマンによる、Xライダーの大特訓が始まった。そして、その特訓の様を、遠くから白スーツの男が静かに見つめていた。

解説

いくらなんでも緩みすぎでは…

涼子・霧子の退場を受けて、OP最後の中江慎司のナレーションの内容が変わっていますが、微妙に日本語が変です。

「(略)その使命は、世界の平和と正義を守るため、敢然と謎のGOD機関を相手に戦うのである」

修飾語をバッサリ省いてみれば、違和感の正体がわかります。「その使命は、戦うのである」。明らかにおかしいですよね。

「その使命は、戦うことである」が正しい主語・述語でしょうから、上の文も「その使命は、世界の平和と正義を守るため、謎のGOD機関を相手に戦うことである」あたりが正しい言い回しでしょう。

結局このナレーションは最終回まで使われるのですが、校正する人は誰もいなかったんでしょうか。誰もこれを指摘しなかったんでしょうか。いくら昭和の緩さとはいえ、少々子供を侮りすぎではと思わずにはいられません。

昭和仮面ライダーの第一期シリーズは、「V3」を頂点に視聴率は徐々に低迷し、結局「ストロンガー」で一端終了を迎えるのですが、その原因の一つに、こういった基本を疎かにする驕りがあったんじゃないですかね?

アポロガイスト登場

さて、アポロガイストがいよいよ本格的に登場を果たします。アポロガイストは悪の幹部としては初めて、普段活動するための人間態を持っています。そのアポロガイスト人間態を演じるのは打田康比古。白スーツがメチャクチャ映えるいい男です。並大抵のイケメンじゃああの白スーツは着こなせませんよ。戦闘工作員を子供のようにあしらうその佇まいも実にカッコイイ。

今回はまだ、アポロガイストのGODにおける職務(秘密警察第一室長)も明かされていませんし、白スーツの男とアポロガイストが同一人物であることも明示されていません。それは次回に明かされることになるでしょう。

怪人達の上に立って指揮命令をすると言うよりは、怪人達の作戦遂行を監視するという立ち位置であり、上司と部下に近かったこれまでの大幹部と怪人の関係とは若干異なっています。

さて、アキレスに惨敗したXライダー。打倒アキレスを目指して、おなじみの藤兵衛による特訓が始まったところで、話は次回へと続きます。

脚本:伊上勝
監督:内田一作

第8話「怪!? 小地球・中地球・大地球」第10話「GOD秘密警察!アポロガイスト!!」
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