恐怖ウニドグマ+ゆうれい怪人(『仮面ライダー』第78話)

あらすじ

ショッカーは改造人間ウニドグマを差し向けて大竹村を制圧。外部から遮断し、ここを拠点に、ウニドグマの量産を計画していた。そのためにショッカーが運び込んだウニドグマの幼生を目撃したクニオ少年の両親もショッカーの犠牲となってしまった。

しかし、この村は偶然にも立花藤兵衛の故郷でもあった。たまたまヨッコを連れて墓参に訪れた藤兵衛に、クニオ少年が助けを求める。殺されたと主張する両親が生きているなど、一見クニオが嘘をついているようにも思えたが、藤兵衛はショッカーの影を疑い、一度は大竹村を離れるフリをしてライダー隊本部に暗号文を飛ばしたうえで、Uターンした。
「どこの世界に自分の両親が殺されたなんて嘘をつく子供がいるんだ!」

暗号通信を受けた猛と滝は大竹村へ急行するが、その途中で怪人の襲撃を受ける。
「怪人がここにいると言うことは、大竹村には戦闘員だけだ」
「ということは俺一人で十分、任せろ!」
滝を先に大竹村へ向かわせ、自身は変身して怪人と対峙するが、その怪人は大竹村を襲った怪人はウニドグマであり自分ではないと猛にほのめかすだけで、自分の素性を明かすこと無くその場を撤退してしまう。

大竹村入りしようとする滝を地獄大使が妨害しようとするが、首領がそれを制する。
「滝の小僧が来たとなれば、間違いなく仮面ライダーが来る!」
「仮面ライダーは来ぬ」
「それはどういう意味なのです!?」
「私の命令のみを聞け。仮面ライダーは来ぬ!」
滝は大竹村入りし、クニオおよび藤兵衛らと合流。両親を亡くしたクニオを東京に連れ帰ることにして、村を出ようとする。しかし、ショッカーは街道を封鎖して滝達を墓場方面へ誘導し、そこにウニドグマが出撃して、全員を拘束してしまった。

墓場でクニオとヨッコを幼生の生け贄に使用とするウニドグマであったが、そこに猛が乱入。猛は滝達を逃がした上で変身し、ウニドグマと対峙する。炎を吐き出す特殊能力でライダーを追い詰めようとするも、最後はライダーがライダー錐揉みシュートを放ちウニドグマを葬り去った。

首領の言葉に反して仮面ライダーが現れたことに不信感を募らせ、問いただす地獄大使に首領が見せたのは、地獄大使も知らない謎の改造人間の姿だった。追求する地獄大使を、首領は冷たく突き放す。
「お前が知る必要はない」
不服そうに言葉を飲み込む地獄大使。ショッカーの組織に、ほころびが生じ始めていた。

解説

物語が大きく動く転換点にさしかかっています。

道中で猛を襲った怪人の正体はガニコウモル。ショッカーの次の組織であるゲルショッカーの怪人が一足先に姿を見せています。つまり、この時点で首領はショッカーを見限り、ゲルショッカーへの移行を準備していたということになりますね。地獄大使への対応が塩なのも、既に見限っているからでしょう。最後にわざわざガニコウモルの姿を見せるなど、明らかに地獄大使を煽ってますね。

地獄大使もそれをなんとなく察したのか、最後には、自ら出撃することをほのめかすような呟きを残して、次回へと続きます。

話は変わりますが、これまでの作劇の傾向として、エピソードのキーパーソンとなる子供については、子供本人やその直接の家族がショッカーによって殺されるというケースは割と少ないというかほぼ無いのですが、今回はトオルの両親が犠牲になるという珍しいケースが見られます。これも、新展開へのあおりなんですかね。結局トオルは、藤兵衛らと東京へ戻り、少年ライダー隊に加入しますが、形としては藤兵衛が引き取ったのかな?

「どこの世界に自分の両親が殺されたなんて嘘をつく子供がいるんだ!」

この藤兵衛の台詞、地味に好きです。

そういえば、タイトルに「ゆうれい怪人」なんてあるから、再生怪人でも出てくるのかと思いきや、出てきませんね。タイトルの「ゆうれい怪人」が何を指しているのかイマイチわかりません。まさかガニコウモル?

脚本:伊上勝
監督:塚田正煕

第77話「怪人イモリゲス じごく牧場の決斗!」第79話「地獄大使!!恐怖の正体?」
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