あらすじ
毒水作戦。ガラガラヘビの改造人間・ガラガランダを貯水湖に派遣し、毒を投入して大量虐殺する作戦だったが、猛たちにショッカー内部の何者かが、作戦情報をリークしていた。半信半疑で現地を訪れてみると、情報通りガラガランダが現れた。猛は仮面ライダーとしてこれを撃退する。
その後、ライダー隊本部に所属不明の伝書鳩が到着する。そこにくくりつけられていた通信筒に入っていたのは、ショッカー首領からの猛への伝言だった。
「裏切り者・地獄大使の死刑を執行する。立会人となってもらいたい」
地獄大使がショッカーを裏切り、作戦情報をリークしたのか? 半信半疑ながらも、猛と滝は現場へ赴き、処刑寸前の地獄大使を助け出した。
助けた地獄大使を滝に任せ、戦闘員を振り切ってから別行動で帰途についていた猛を、再び正体不明の怪人が襲う。サイクロンの飛行能力も駆使して戦うが仕留めるには至らず、謎の怪人は再び空の彼方へ撤収した。
地獄大使をライダー隊本部に連れ帰った猛と滝は、ガラガランダが浜松の砂丘で毒素を補充しているはずという地獄大使の証言に基づき、浜松へ急行した。しかし、猛達が浜松へ向かった後、藤兵衛とガールズしかいなくなった本部で、地獄大使はその本性を現した。ガラガランダこそ、地獄大使の真の姿だったのだ。
正体を現した地獄大使は藤兵衛達を拘束して、浜松の砂丘に連行。ガラガランダを探しに訪れた猛達の前に姿を現した。
「ショッカーに裏切り者などおりはせんのだ!」
地獄大使はガラガランダに、猛は仮面ライダーに変身し、長きにわたり矛を交えた宿敵同士が激突した。ライダー返しに耐え、砂の中を移動する能力でライダーを幻惑したが、ついにライダーキックの直撃を食らう。
「きっと甦って、必ず貴様を倒してやる!…ショッカー軍団….バンザーーイ!!」
ショッカー最高幹部地獄大使は倒れた。そして、首領はショッカー日本支部の放棄と、新たな組織の結成をライダーに宣言した。
謎に包まれた新組織が、ついにそのヴェールを脱ごうとしていた。
解説
地獄大使の最期
地獄大使最期のエピソードとなります。
地獄大使による裏切りの芝居が、首領と共謀しての物なのか、首領に見限られた地獄大使のスタンドプレーなのか、意見が分かれそうなところですが、多分、首領と共謀したと考える方が、矛盾が無さそうです。
首領はガラガランダからの報告で作戦の漏洩を知ったと言ってます。そして、地獄大使を漏洩の犯人と決めつけるのですが、そもそもガラガランダ=地獄大使であるわけです。首領がその事実を知らないとはちょっと考えにくい。なので、地獄大使の処刑は首領と地獄大使が共謀した狂言であると考えるのが自然でしょう。
地獄大使が「敵を欺くには味方から」と口にしていますが、そこで言ってる「味方」とは首領ではなく、戦闘員のことを指していると思われます。末端の構成員に、地獄大使が本当に裏切ったと思わせることで、処刑の芝居にリアリティを持たせ、猛達を信用させることができたのでしょう。
猛との最後の決戦で、戦闘員が登場していることもこの説を裏付けます。地獄大使がスタンドプレーで裏切りを装ったのであれば、首領には裏切り者と認識されているはずですから、組織の構成員である戦闘員を使えるはずがありません。
何はともあれ、猛の宿敵・地獄大使の最期です。実はショッカーの大幹部では唯一、最初から最後まで1号ライダーと戦い抜いた存在なんですね。ゾル大佐は終始2号ライダーが相手でしたし、死神博士も2号を相手している回数の方が多い。地獄大使と猛がどこかで通じ合う物を感じていたとしたら、そういう事情が影響しているのかも。
やっぱり首領=藤兵衛だろ!
ところで、私は何度か冗談半分で、「首領の正体は立花藤兵衛ではないのか?」と言及してましたが、実は今回、それをさらに裏付けるような事象が密かに起こっています(笑)。処刑から救出され、ライダー隊本部に逃げてきた地獄大使に藤兵衛はこう言ってます。
「大幹部のアンタが、ガニコウモルの正体を知らんのはどういうわけだ!?」
劇中で、「ガニコウモル」の名前が出てきたのは藤兵衛のこの台詞が実は初めてなのです。地獄大使ですら、滝に対して「謎の怪人」としか言ってません。この時点で、ガニコウモルの名前は首領と本人しか知り得ない情報のはずなのですが….口を滑らせたね藤兵衛。もうこれ、完全にダウトだろ(笑)。
まあ、実際はただの脚本のミスでしょうけど。
その他もろもろ
ガラガランダが毒素を補充するため、浜松の砂漠にいるという話がありましたが、これは「中田島砂丘」のことでしょうかね。
冒頭で、ライダーの目が赤く発光する姿が見られますが、これって大変珍しい。劇中でライダーの目が発光する姿って、実に旧1号編以来な気がします。
さて、次回からいよいよ、ショッカーに代わってゲルショッカーが登場します。
脚本:伊上勝
監督:塚田正煕