あらすじ
「人間化け猫作戦」。GODは感染した人間が化け猫と化す特殊なビールスを開発し、それを大量に培養して何かを企んでいた。完成したビールスの最初の実験として、GODの怪人キャッティウスが擬態した科学者の助手としてビールスの研究を手伝っていた沢田の家族が狙われた。
沢田の妻を皮切りに、沢田自身もキャッティウスに襲われ化け猫とされるなか、娘のカオリもその毒牙にかかろうとするところに、敬介と藤兵衛が現れてカオリを救出した。藤兵衛はGODに狙われているカオリを、チコ達に預けようと彼女達のアパートを訪れるが、そのアパートは既にキャッティウスによって制圧されており、チコ達を含む全住人は既に化け猫と化していた。カオリはXライダーがすんでの所で助け出したが、藤兵衛は毒牙にかかった。
カオリを奪おうと襲いかかってくるキャッティウスを撃退したXライダー。姿を消した化け猫たちの行方を追う敬介は、郊外の廃墟にたどり着く。そこにはGODのアジトが作られ、化け猫と化した人たちも閉じ込められていた。
アポロガイストが化け猫ビールスのワクチンを金庫にしまうところを見た敬介はそのワクチンを奪おうとするが、キャッティウスを待ち伏せを受けた。アジトの外でXライダーにセットアップしてキャッティンスを激闘の末Xキックで退けたXライダーが今度こそワクチンを奪おうとアジトに戻ると、今度はアポロガイストが待っていた。
「これが欲しければ俺と勝負をつけてからにしろ!」
ワクチンを持つアポロガイストとの決闘に挑むXライダー。マグナムの銃撃やカッターの投擲攻撃を受け流しつつ、アポロガイストの隙を突いてワクチンを奪ったXライダーは、そのままアジトに戻り、化け猫と化した人たちを救出した。
カオリも無事に父母と再会し、GODの化け猫作戦は阻止されたのだった。
解説
うーん…
いやね、今回のこのエピソードについてはもう、かなり悪意のある批判をせざるを得ないです。
今までも、設定の矛盾や脚本のアラにツッコミを入れてたりしましたけど、それは概ね「愛あるツッコミ」のつもりなんですよ、私的には。まあ昭和の緩い時代の作品だし、こんなこともあるよねアハハハハ、くらいな感覚だったんです。
でも今回のこのエピソードについてはもう…ガチの批判しか出せそうに無い。そのくらい酷い。
まず第1点。なんですか「キャッティウス」って。ここまで、GOD怪人はギリシャ神話の人物をモチーフとしていたわけです。そこに現れたこのキャッティウス。ネコを意味する英語の「Cat」に、なんとなく古代ギリシャ人っぽい「~ティウス」なる語尾を適当に付けただけじゃないですか。それまで継承してきた世界観を安易に台無しにするようなこんな真似を、こうも安易にやっちゃいますかね?
まあ、それもまだこの後述べる第2の問題の前には些細なことでしかないのですが…
そして第2点。こちらの方が問題ですが、明らかにストーリーが破綻してるんですよ。
自分で書いておいて何ですけど、今回のあらすじ、読んでみて違和感を感じませんか? 書いた自分もそれはわかってるんです。でも直すのも難しい。なぜなら元々のストーリーの方が破綻しているので、違和感を解消する方法が無いんです。
間違った問題からは間違った答しか生まれないのと同様、おかしなストーリーからはおかしなあらすじしかできないって感じでしょうか。
Aパートで、沢田の家にキャッティウスが現れ、妻と沢田を化け猫にした後に敬介と藤兵衛が乱入してカオリを助け出すんですけど、じゃあなんで敬介達が駆けつけることができたかというと、藤兵衛が敬介に緊急連絡したから。でも「どうしたんですか」と尋ねる敬介に藤兵衛の答は「どうもおかしいんだ」って、なんだよそれ。藤兵衛が違和感を感じる要素があったとすれば、その家に至る石階段に野良の黒猫が一匹いたくらいです。それでなんとなく敬介に連絡したら、GODの襲撃現場に遭遇するとか、ご都合主義にしても適当すぎません? もう少し違和感を演出する方法なんていくらでもあるでしょうに。
そして、化け猫となった人たちが行方をくらましたあと、敬介が訪れた廃墟にGODのアジトがあったのですが、敬介がそこにGODがいると判断した根拠は何一つ示されていないので(そもそもそこにGODがいると敬介が思っていたかすら読み取れない)、「たまたまた行った場所にたまたまGODがいた」という風にしか見えません。
まさにご都合主義の宝石箱や~♪
そして極めつけは最後。アポロガイストがXライダーとの決闘にあたって、ワクチンを階段に置いてXライダーとドンパチを始めるのですが、Xライダーは決闘の途中でこのワクチンを掠め取ったかと思うと、そのままアポロガイストをほったらかしてアジトへ戻ります。そして、なんとそのまま化け猫と化した人々は元に戻り、藤兵衛とチコたちもCOLで意識を回復し、めでたしめでたしでエンディングとなるのです。
いったいアポロガイストはその間何をしていたのですか?
ただ指をくわえて見てただけ? 決闘の最中に? とくにダメージを負って動けなくなっているわけでもないのに?
そして最後に
「くそ…この仕返しは必ずしてやる!」
の捨て台詞ですよ。何ですかこれは。もう意味がわからん。
全体的に「雑」。とにかく雑。そして、大人気故に復活して延長登板となったはずのアポロガイストすらこの扱い。
なんなのこれ。やる気あんの?
とかなりガチ気味に憤りながら観ていたのでありました…
脚本:鈴木生朗
解説:山田稔