あらすじ
親友・早苗が、散策していた海の岸壁で事故にあったらしいと聞き、チコとマコの二人は早苗が入院している山上病院へ見舞いに訪れるが、どうにも違和感のある早苗の様子に困惑するばかりだった。早苗は兄と共にGODのアジトに通じる洞窟に入り、キングダークに遭遇。その場でジンギスカンコンドルにより吸血ビールスを注入され、その意のままに動く「血の奴隷」と化していたのだった。
早苗を通じて、二人が藤兵衛や敬介に通じていると知ったジンギスカンコンドルは、帰途に公園で休んでいた二人を襲撃するも、その場に現れたXライダーがこれを撃退する。身の安全を確保するため、敬介と藤兵衛は二人を都心のホテルの一室に匿うことにした。
しかし、ジンギスカンコンドルは早苗を使いその部屋に侵入。二人に吸血ビールスを注入して奴隷化してしまった。吸血鬼と化した人間達は、次から次へと他の人間を襲い、感染者を拡大していく。その有様は謎の奇病としてニュースにもなり、敬介はこれがジンギスカンコンドルの仕業だと確信する。
チコ達を訪れた藤兵衛も餌食となった。藤兵衛達はCOLで三人がかりで敬介を襲いビールスを注入して捕獲。山上病院のジンギスカンコンドルの元へ連れ込む。ジンギスカンコンドルが敬介の姿を確認しようとすると、そこに居たのは高笑いするXライダーだった。
「貴様の吸血ビールスが私に通じるとでも思っていたのか!」
病院外でジンギスカンコンドルとXライダーのバトル。クルーザーに乗ったXライダーとの空中戦から地上戦へと移り、口から噴射する「ジンギスカンファイヤー」でXライダーを追い込んだが、ライドルスティックでファイヤーを噴射する口を潰されると万事休す。Xキックを食らって爆死した。
それは、キングダーク率いる新しいGODの一団と、Xライダーの戦いの幕開けでもあった。
解説
キングダークと悪人軍団の登場です。GODという組織の名前はそのままですが、ほとんど別組織になったかのごとく雰囲気から何からまるで変わっています。
GOD総司令は結局その正体が明らかにならないまま、キングダークの登場以降は最後まで一切出てこなくなります。国内の拠点であったアポロン宮殿は放棄され、キングダークが横臥する洞窟がその新たな活動拠点となり、怪人もこれまでの神話をモチーフとした怪人から、悪人軍団というまったく毛色の違う集団に取って代わられています。
キングダーク登場前後で、GODという組織名以外の接点を探すことの方が難しいくらいの一新ぶりです。
本来、GODは「日本を地上から消滅させる」ことを目的として「東西両大国が水面下で手を握り」結成した、ショッカーやデストロンとは成り立ちが根本的に違う、政治色の強い組織でした。これは、番組冒頭でもナレーションで説明されている正式な設定です。
それが終わってみれば、キングダークと一体化した呪博士なる人物が「ワシがGOD」と私物化するような、ショッカーなどに近い組織になっていた。これはいったいどういうことなのか。
転換点がアポロガイストの死とキングダークの登場にあることは論を待ちませんが、この時にGODの組織に一体何があったのか。よく関連資料でも「キングダークがGODを再編成した」などと説明されますが、なんとも曖昧な言い方です。具体的にどういう再編成が行われたというのか。
私は第三者である呪博士がGODを横から乗っ取ったか、あるいは両大国が大人の事情で放棄した組織を正式に引き継いだと考えるのが自然ではないかと思ってます。まあ、旧組織の残滓が戦闘工作員以外ほとんど見当たらないところ見ると、外部からの乗っ取り説の方が有力でしょうね。
何はともあれ、新しいGODとXライダーの戦いが始まるわけですが、ここからは番組自体の方向性や、Xライダーのスタイル自体も少しずつ変わっていきます。それについては、おいおい紹介していきましょう。
脚本:伊上勝
監督:内田一作
