あらすじ
目の前で、突然空から振ってきた男を、猛が変身して間一髪救助した。ライダー隊本部に保護された彼はうなされるばかりだったが、彼を取り巻く状況は謎だらけだった。そもそも、何故空から降ってきたのか。当該時刻帯に近辺を飛行していた航空機は無く、また、彼は当日の検札済みの有料道路チケットを持っていたことから、自動車に乗っていたはずだった。
その時、別の場所で乗用車が墜落する事件が発生。猛と滝が調べると、現場に落ちていた免許証は、猛が助けた男のもの。どうやら、男はこの車に乗っていて空から落ちたと考えるしか無さそうだった。
これは、ゲルショッカーの新たな怪人、ガラオックスの仕業だった。ガラオックスが操る、地上で最も軽い気体である水素ガスの50倍の威力を持つという「悪魔の霧」を操り、日本中の乗り物を空中に持ち上げ、墜落させるという計画。墜落した車はその実験台とされたのだが、墜落死したはずの男がライダー隊本部で保護されていることが判明し、ガラオックスとブラック将軍は男と猛をまとめて始末する計画を企てた。
ゲルショッカーの一味が救急隊に偽装し、男をライダー隊本部から搬送。事態を知った猛と滝が急ぎ救急車を追走し、ガラオックス率いるゲルショッカー一団との戦いとなるが、ライダーに変身した猛は予め仕組まれた罠にはまり、宙に高く浮いた救急車ごと地上に墜落した。墜落現場に残っていたライダーのマフラーの残骸に、滝はライダーの死を認めるしかなかった。悲嘆に暮れるライダー隊本部。
しかし、ゲルショッカーの作戦は待ってはくれない。滝は藤兵衛らにハッパをかけ、ゲルショッカーを迎撃する作戦を立てる。ゲルショッカーに、猛が重症ながら生きているという偽情報を流し、さらに猛のフリをした滝を藤兵衛が病院へ搬送する芝居を敢行。目論見通り、郊外でガラオックスらに襲われた二人は、予めしかけていたダイナマイトの罠に誘導し、見事ゲルショッカーの一団を葬り去った…かに見えたが、ガラオックスを仕留めるには至っていなかった。ガラオックスに拘束された滝が叫ぶ。
「俺はどうなってもいい、起爆装置を押すんだ!!オヤジ、やれーーっ!!」
滝の決死の呼びかけに、苦渋の決断で起爆装置に手をかける藤兵衛。そこに…
「待て!おやっさん!!」
ライダーだった。サイクロンに乗って現れたライダーは、そのまま滝を救出し、ガラオックスとの戦いに挑む。ツメから発するミサイル、鋭利な2本のツノでの突進攻撃など多彩な攻撃手段を見せたが、両のツノをチョップで叩き折られると戦意喪失。ライダー月面キックの直撃を食らって爆死した。
心配をかけたことをわびる猛に、藤兵衛は怒鳴る。
「馬鹿野郎!死んだら死んだで、電話くらいよこせ!」
解説
ガラオックスと悪魔の霧
(↑なんかハリーポッターみたいなテイストになってしまった…)
ガラオックス。ゲルショッカーの怪人ですから、牛ともう一つ何かの合成モチーフであるはずですが、名前聞いただけではすぐにはわかりませんでした。スタッフもそう思っていたのか、劇中でブラック将軍がご丁寧に説明してくれます。「人喰いガラス」なんだそうです。人喰いガラスなんて物が実在するかはよくわからんので、まあカラスと牛だと思っておけば良いでしょう。
そのガラオックスが操る「悪魔の霧」。本人が言うところによると、「地上で最も軽いと言われる水素ガスの50倍の威力」だそうです。
…ごめん、ちょっと意味がわからない。
軽さが50倍ってことかな?それとも水素ガスの50倍の爆発力?劇中で悪魔の霧が爆発する描写は無いので、おそらく前者の意味なのでしょう。実際、悪魔の霧自体に殺傷力や破壊力は無く、それを使って公共の乗り物を次々と空から墜落させるというのがブラック将軍の作戦なのですが…意味の無いことするなぁ、としか。どう考えても大規模な爆薬などを使った直接的な破壊活動の方が効率がいいですし。最初は、「相変わらずブラック将軍は示威的な作戦が好きだよなあ」としか思ってなかったのですが、実はちょっと違うのかもとも思い始めてます。
ショッカーにせよゲルショッカーにせよ、一見無意味に思えるような回りくどい作戦や気の長い作戦を立案することがしばしばあります。これは、もしかして「資金難」が常につきまとっていたのではないかと。実際、それらの作戦って効率は悪くてもコスト的には安上がりに見えるものが多かったりします。初期のショッカーは資金集めのための作戦も多かったですしね。今回の作戦も、とりあえずガラオックスが居れば爆薬などの破壊兵器はいらないので、コスト的には安上がりと言えます。
ライダーとマフラー
ところで、ライダーが救急車ごと墜落した現場。そこに落ちていたマフラーの残骸。…まあ、ライダーのマフラーは単なる衣装だって事はもう既に判明しているんですが、その残骸は滝が本部に持ち帰ったはずなのに、最後に藤兵衛の前に現れたライダーはしっかりマフラーを身につけています。
…ほんと、何なんですかね、あのマフラー。ある意味、仮面ライダー最大の謎かもしれません。
脚本:島田真之
監督:奥中惇夫