キングダーク!悪魔の発明!!(『仮面ライダーX』第23話)

あらすじ

敬介はある日、公園で気落ちしていた少女・リエに声をかけた。父親が家に居ないことを嘆くリエに、父親がどこにいるかを尋ねてもリエは答をはぐらかし、敬介の前から走り去った。その様子に、敬介は何かの異変を嗅ぎ取る。

リエの父親は、世界的科学者・南原宗一郎であった。南原宗一郎は「RS装置(極分子復元装置)」の開発のためGODに拉致され、リエもGODの監視下に置かれていたのだった。

RS装置は、あらゆる物質をエネルギーに変換することができる装置であり、これをキングダークの動力とすることでその巨大な身体を自在に動かせるようになり、暴れ回って世界を破滅させようという計画だった。

南原博士は既にRS装置の設計図を完成させていたが、その事実をGODに伏せていた。しかし、盗聴器によってその事実は、キングダークの知るところとなる。

リエの様子を影からうかがっていた敬介は、戦闘工作員がリエを脅している現場を抑える。キングダークが遣わした怪人・ガマゴエモンも現れ、リエを拉致しようとするが、Xライダーにセットアップした敬介は隙を突いてリエを救出し、クルーザーでその場を離脱、COLへと連れ帰った。

一方で、南原は助手である渡真利の命がけの手引きで、設計図を持ってGODを脱走した。設計図を守るため、南原は設計図を9枚に破り、うち8枚を仲間の科学者の元へ郵送した。

娘が居るはずの自宅に戻った南原だったが、そこに現れたのは渡真利に化けたガマゴエモン。南原が持っていた小型版のRS装置を奪ったガマゴエモンは南原を用済みとして抹殺しようとするが、Xライダーに阻止される。小型RS装置も、既に南原自身によって発火装置を解体されており、使用不可になっていた。

XライダーはリエがCOLにいることを南原に教え、ガマゴエモンと相対する。忍術を駆使してXライダーを翻弄しようとするも通じず、ガマ油をかぶることでXライダー攻撃をスリップさせるまでは良かったが、噴射した火炎をライドルで逆流されると、かぶったガマ油に引火。全身火だるまとなったところにXキックを食らって爆死した。

南原親子はCOLで再会を果たすが、喜びもつかの間、GODの刺客、サソリジェロニモの手によって南原博士は暗殺されてしまった。死の間際に、南原は敬介に、8人の仲間に送った設計図の存在を託す。

南原が所持していた最初の1枚を確保した敬介。RS装置をGODに奪われるわけにはいかない。キングダークと敬介の、RS装置設計図をめぐる争奪戦の始まりであった。

解説

RS装置

番組後半のキーとなる「RS装置」の登場です。RS装置は「物質をエネルギーに変換する装置」。

やや専門的な言い方をするなら、質量をエネルギーに変換する装置、ということになりますかね。私はその手の専門家ではないので詳しいことはわかりませんが、質量を100%の効率でエネルギーに変換できるとするならば、そのエネルギー量はとんでもないレベルになります。

いわゆる原子力爆弾でもこの理論は使われているらしく、広島型原爆では0.7gの質量が消失してエネルギー化したと言われています。僅か0.7gで、あの破壊力になるわけですから、むしろキングダーク程度を動かすにはオーバースペックな装置である気がしますね。キングダークなんかの動力に使うより、素直に破壊兵器に転用した方がよほど効率よく世界を破滅に追い込めると思います。

今後、この9分割されたRS装置をめぐるGODと敬介の争奪戦が、メインストーリーとなっていきます。

南原博士

その開発者である南原博士は、かなりの用心深い性格の持ち主です。設計図がGODの手に渡らぬよう9分割して8人の仲間に託す、自身の身を守るために小型のRS装置を銃器代わりに所持する、その装置の存在がGODに知れるや発火装置を破壊して使えないようにする、などなど。

博士は残念ながら、娘との再会を果たした直後にサソリジェロニモの手にかかって殺されてしまいます。子供を人質に協力を強要されている科学者というのは、昭和ライダーシリーズでは定番のシチュエーションなのですが、だいたい最後は助かるんですよね。でも南原博士は娘の目の前で殺され、幼い娘が亡骸にすがりついて泣き崩れる。

本作では割とこういう居たたまれない展開も躊躇しませんね。

ガマゴエモン

悪人軍団2人目の刺客は、本邦の伝説の大泥棒・石川五右衛門の流れを汲むというガマゴエモン。彼の台詞の中で石川五右衛門が伊賀忍術の使い手と説明されているのですが、はて、そんな話あったかいな?と思って調べてみたら、彼に関する諸説の中に、伊賀の抜忍であるというものがあるらしいですね。

自身が備えているという石川五右衛門の頭脳を誇らしげにキングダークに語るガマゴエモンですが、その自慢の頭脳は意外とお粗末。ガマの油を身体に浴びることで、ライダーのパンチがスリップしてダメージを受けなくなるという建て付けは面白かったのですが、その状態で火炎放射などやったら、どういう結末になるかは想像がつくというものです。

伊賀流忍術もライダーには通用しませんでしたし、ちょっと冴えない感の残る怪人ではありました。

脚本:伊上勝
監督:田口勝彦

第22話「恐怖の大巨人!キングダーク出現!!」第24話「復しゅう鬼ジェロニモ!音もなく襲う!!」
『仮面ライダーX』エピソードリスト・解説へ