あらすじ
志郎達が取り戻したデストロンの暗号文書が記録されたマイクロフィルム。そこに記されていたのは、国内のデストロンの改造人間製造工場だった。佐久間健ら、4人のデストロンハンター達は暗号文書が記されていた地点へ向かい、工場の爆破に成功する。しかし、その場にドクトル・ゲーが出現し、工場を爆破された怒りを4人にぶつける。V3が現れてドクトル・ゲーは撤退したが、佐久間を除く3人のデストロンハンターは、ドクトル・ゲーの犠牲となった。
四大幹部を死なせ、機密文書を奪われ、さらには改造人間工場を爆破されるという失態を重ねたドクトル・ゲーは、首領にV3と戦う最後のチャンスを懇願。精霊の儀式により自らの内に宿る悪魔の戦士の力を呼び起こし、V3との決戦へと動き出す。
ドクトル・ゲーはライダー隊本部を戦闘員と共に襲撃し、藤兵衛、純子、シゲルの三人を拉致。通信で志郎を三浦海岸に呼び出し、そこを決闘の場とした。
三浦海岸に現れた志郎に決戦を挑むドクトル・ゲー。V3へと変身する余裕も与えず、斧による激しい攻撃で志郎をいたぶるドクトル・ゲー。辛うじてV3への変身に成功すると、ドクトル・ゲーも変身。その正体は、怪人カニレーザーだった。カニレーザーが放つレーザー光線に翻弄されかけたV3。しかし、レーザー照射後の隙を突いたV3錐揉み反転キックを浴びせた。
「V3、潔くこの勝負は俺の負けを認める。しかし、偉大なるデストロンは永久に滅びまい。さらばじゃ、仮面ラァ~イダV3!」
V3に最後の別れを告げ、ドクトル・ゲーは爆死した。そして、どこからともなく聞こえるデストロン首領の声がV3に告げる。
「ドクトル・ゲーの死とともに、デストロンの第一次攻勢は終わった。デストロンは新しい組織を作った。第二次攻勢がいよいよ始まるのだ!」
V3とデストロンの戦いは、新たなステージへと突入する。
解説
内容的に前回から直接繋がっており、入手したデストロンの暗号文書を解読し、改造人間製造工場の位置を突き止めたところから始まります。
すかさず現場に急行して、工場を時限爆弾で爆破する健らデストロンハンター達の手際はなかなかのものですが、そんなのは今回に限ってはどうでもいい。
やはり今回のメインはドクトル・ゲー、この人です。今までのライダーvs大幹部の最終決戦とはレベルが違う、非常に密度の濃い描写がされています。
Aパートでは、厳かな雰囲気の中、首領に最後の決戦を志願し、さらに精霊の儀式で自らの内に眠る戦士の魂を呼び覚ます。度重なる失態の責任を取るべく、ライダーとの決闘に臨むドクトル・ゲーの覚悟が画面からビシバシ伝わります。
そしてBパートは、ほぼまるまるドクトル・ゲーとV3の決闘につぎ込むという熱の入れよう。ドクトル・ゲーは変身中を妨害するという「禁じ手」まで使って、志郎をいたぶり倒し、そしてようやく変身できた志郎の前で、自らも満を持してカニレーザーに変身する。
「ヒーローは簡単には変身せず、ここぞというところで変身する」といった内容のことを宮内洋がよく語っていますが、今回に関してはドクトル・ゲーがまさにそれ。人間体のままで志郎とギリギリまで戦い抜き、V3の変身を待って自らもカニレーザーとなる。この引きの入れ方がもう激アツでたまらないです。
人間態同士での戦いに時間をかけ、お互いにここしかないというタイミングで変身してさらに激しく戦う。過去のショッカー、ゲルショッカーの大幹部を見ても、ここまでライダーと濃密な決闘を演じたのは居ません。私の中のドクトル・ゲーの印象は「有能っぽく見えるけど実はマヌケ」なんですが、最後の活躍は文句なしにカッコ良かった。
ただ…カニレーザー…。そう、カニです。ドクトル・ゲーの正体はカニの怪人だったと。
サソリを象った兜を被り、サソリの文様を施した盾と衣装に身を包み、裏設定ではサソリ毒の研究で妻を殺したという逸話まで作られ、サソリをシンボルマークとするデストロン唯一の生え抜き大幹部。まさにサソリの申し子でしかないドクトル・ゲーの正体が、カニ。
これには当時の視聴者も相当な違和感を感じたようで、制作サイドにはクレームも相当数寄せられたそうです。ドクトル・ゲーを演じる千波丈太郎自身も疑問を抱いていたとか。
まあ、私自身はというと、指摘されるまでそのことに気づいてませんでしたけどね…(笑)
脚本:伊上勝
監督:塚田正煕