敵か味方か?謎のライダーマン(『仮面ライダーV3』第43話)

あらすじ

お台場の港湾に構えられたデストロンのアジトでは、ヨロイ元帥を筆頭とする大幹部達によるデストロンの裁判が行われ、科学者グループの筆頭・結城丈二に、度重なる裏切り行為の咎で死刑判決が下された。が、これは次期大幹部候補にも名が上がり、部下からの人望も厚い結城に、自身の地位が脅かされることを恐れたヨロイ元帥による謀略だった。

ヨロイ元帥は結城を硫酸プールで処刑しようとするも、処刑が完了する前に助手達が結城を救出して脱走。しかし、結城は右腕を硫酸プールで失い、既に瀕死の状態だった。自身を陥れたヨロイ元帥への復讐の念に駆られた結城は、助手達に頼み込み、開発中のアタッチメントアームを失った右腕の代わりに移植。手術は成功するも、結城は脱走と手術の疲労から意識を失った。

助手の片桐が、結城の看病要員として看護婦をしている妹の幸恵を呼び出すも、幸恵はデストロンにマークされていた。片桐と幸恵が合流したところを、戦闘員とカマクビカメに囲まれてしまう。片桐は海へたたき落とされ、逃げた幸恵を戦闘員が捕獲しようとしたところに志郎が現れる。志郎は幸恵を逃がし、カマクビカメと対峙するが、脱走者の始末を優先するカマクビカメはV3に変身した志郎を威嚇する程度で撤退してしまう。

カマクビカメは結城が眠る下水道の小部屋に侵入。結城を庇おう幸恵に襲いかかろうとするが、カマクビガメの前に、V3に似た格好の謎の男が立ち塞がった。自らを「復讐の鬼」と名乗るその男こそ、アタッチメント移植によりライダーマンとなった、結城丈二だった。結城はあとから現れたV3の乱入もあり、幸恵を連れて下水道を脱出する。

一度下水道を脱出した結城は、自身を陥れ、助手達の命も奪ったヨロイ元帥への復讐を果たすべく、幸恵が止めるのも聞かず、ライダーマンとなりデストロンのアジトへ単身乗り込む。しかし、ヨロイ元帥は用意周到に彼を待ち受けていた。戦闘能力で勝るカマクビカメに追い詰められ、絶体絶命のライダーマン。果たして、彼はV3の敵か、味方か?

解説

というわけで、新章突入と言ってもいいでしょう。いよいよ、ライダーマンの登場です。今回から、オープニングの映像も一新され、またエンディングテーマも「走れハリケーン」に変わっています(クレジットは「少年仮面ライダー隊のうた」のまま)。

ちなみに管理人は、リアルタイムでは『仮面ライダー(新)』『仮面ライダースーパー1』の世代なんですが、当時の幼児雑誌で歴代ライダーの紹介でライダーマンの姿を見て、『ライダーマン』って番組があったんだと思ってました(笑)。同じような勘違いをしてた人、私の世代では結構多いんじゃないかな。まあ実際、V3の後番組企画の一案にライダーマンを主役にしようというものもあったらしいんですけどね。

初登場の今回からしばらく、ライダーマンはヨロイ元帥への復讐のみを糧に戦いへ身を投じていくワケですが、ここでちょっと視点を変えて、そのヨロイ元帥について少し。

昭和シリーズの歴代大幹部を並べてランク付けをしたら、おそらく彼を最低にランク付けする人は相当数居ると思われます。管理人も多分そうします。ライダーマンの宿敵という位置づけもあるでしょうが、それ以上に、組織の人間としてはもっとも嫌われる性格の持ち主であることが、ライダーマンとの関係性の中で明らかになっているのが大きいでしょう。

他の大幹部は、悪人とはいえども、皆組織に忠実で、組織の利益を最優先として行動してきました。しかし、ヨロイ元帥にとっての最優先事項は「自身の利益」です。次期大幹部候補に挙がるほどの有能な科学者である結城丈二を、「自分の地位を脅かす」という動機で濡れ衣を着せて処刑しようとする。V3に敗れると必死に首領に命乞いする往生際の悪さ。実に視聴者の憎悪を煽る要素がダブル役満です。

なおこのヨロイ元帥、当初は前任のツバサ大僧正やキバ男爵同様、短期間での退場が予定されていたのですが、ライダーマンとの因縁ストーリーが思いのほか盛り上がり、最終回まで勤め上げることになったらしいですね。

管理人は、組織を率いる幹部としては個人的にクライシス帝国のジャーク将軍(『仮面ライダーBLACK RX』)を高評価しているのですが、いずれこうした大幹部のランク付けみたいなものをやってみても面白いかも知れませんね。

脚本:伊上勝
監督:内田一作

第42話「カタツムリ人間の人体実験!」第44話「V3対ライダーマン」
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