デストロンのXマスプレゼント(『仮面ライダーV3』第45話)

あらすじ

クリスマスを目前に控え、街全体が浮き立つ12月のある日。焼き芋屋の祖父を手伝い屋台を引いていたヒロシ少年は、サンタクロース扮装の男からチラシを受け取る。そこには、「とってもいいことがある」幸運の家の場所が記されていた。ヒロシは祖父に告げて幸運の家へ向かうが、そこは優秀な子供を集めて幹部候補として育成することを目論むデストロンの養成所だった。

集められた少年の一人からライダー隊本部へ緊急通信があり、志郎は電波の発信源を頼りに現地へたどり着くが、そこで志郎を出迎えたのはデストロンの怪人、サイタンクだった。圧倒的な突進力と防御力の前に為す術もないV3。V3パンチも跳ね返され、V3フルキックもはたき落とされる。挙げ句、突進でぶちのめされ、ジャイアントスイングで放り捨てられる一方的な敗北を喫した。

一方、戻らないヒロシを心配する祖父と姉の前に顔見知りの結城が現れる。姉が持っていたチラシにデストロンマークのあぶり出しを見付けた結城は、ヒロシの身に何かが起こったことを察し、捜索に向かう。その結城の前に現れたデストロンの黒サンタは、子供全員の身柄と引き替えに、V3抹殺への協力を結城に持ちかけた。結城は一度は引き下がるフリをして黒サンタを尾行し、デストロンの訓練場に乱入して子供達を逃がそうとするも、サイタンクの乱入で失敗。

策の尽きた結城は、サイタンクとの交渉に従い、セントラルスポーツを訪れて志郎を連れ出し、二人は郊外の荒野で激突した。デストロンと手を切るよう説得する志郎に耳を貸すこと無く、ライダーマンに変身して襲いかかる結城。志郎もV3に変身して応戦するが、そこに再びサイタンクが乱入した。あいも変わらずの防御力と突進力の前にV3マッハキックすら通用せず。さらには、ライダーマンのロープアームで拘束された状態でサイタンクが押すダンプによって押し潰されようとしていた。

V3絶体絶命!

解説

まだライダーマンというキャラクターのお披露目フェーズであり、彼とV3の微妙な関係は続いています。連れ出した志郎にデストロンを足抜けするよう説得されて動揺する結城。子供をさらって幹部に育成しようとするヨロイ元帥の所業を「非道」と断じる一方で、黒サンタとの交渉の様子を見るに、デストロンは「そういうこともやる」組織だということはなんとなくわかっていたような印象です。志郎の説得に対して「デストロンの悪口を言うな!」と動揺しつつも感情的になる姿からは、デストロンを信じたいが、目の前の現実を見ると…という心の揺れが表現されていますね。このあたり、結城丈二役の山口暁氏の演技が光ります。

変身前の状態で闘うとさすがに中途半端な改造人間である結城は志郎に対しかなり分が悪いようですが、さすがにライダーマンに変身すると志郎の状態では厳しいらしく、志郎はライダーマンの攻撃をかいくぐりながらどうにか変身。

ちなみにライダーマンの右腕のアタッチメントアームは6種類あるとされていますが、劇中で登場する種類はさほど多くはありません。一番有名で使用頻度も多いのは間違いなくロープアームですが、今回はパワーアームとスイングアームが登場します。ネットアームは前回出てきていますが、劇中に出てくるのは確かこれで全部だったはずです。

今回はもう一人、サイタンクという強烈な奴がいます。とにもかくにも、圧倒的に強い。V3に何もさせないレベルで強い。V3の歴代怪人の中では間違いなく最強クラスでしょう。V3パンチも平然と跳ね返し、各種キックも強引に捌いてしまう。防御力だけじゃなく攻撃力もピカイチで、その圧倒的な突進力は、体当たりを食らったV3が壁を突き破って吹っ飛ぶほどで、とにかくすさまじい。

単体でもV3を圧倒する戦闘力を持つサイタンクと、搦め手を使った闘いを得意とするライダーマンが組んでV3を追い詰める。ライダー同士のガチの戦いというのは昭和シリーズでは極めて貴重な画であり、当時の視聴者である子供達はヤキモキしていて見ていたでしょうが、大人のファン目線ではたまらないシーンです。そんな貴重な連係攻撃にV3が追い詰められるシーンで、次回へと続きます。

脚本:鈴木生朗
監督:折田至

第44話「V3対ライダーマン」第46話「ライダーマンよ どこへゆく?」
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