あらすじ
日本中の人間を樹木に変えるというGODの計画。怪人アルセイデスが山中でハイキングの家族を襲い、実験台とするが、身体は樹に変えられたものの、人間の心が残ったままということで、GOD総司令は実験を失敗と判断。計画の延期を決め、家族の中で唯一実験を逃れたタケシ少年の始末をアルセイデスに命じた。
山中から逃れてきたタケシを偶然保護した敬介は、タケシの証言を元に山中へ。しかし、樹にされたというタケシの家族は無事な姿で現れ、樹にされたはずというタケシの言葉も「夢を見たんだろう」と否定。しかし、現場に落ちていた衣服を見て違和感を覚えた敬介は密かに家族を尾行。結果、アルセイデスと戦闘工作員がタケシを抹殺しようとする現場に遭遇し、乱入した。
Xライダーにセットアップしてアルセイデスと戦う敬介だが、タケシの命を人質に取られ、降伏を強いられることとなった。ロープで縛られ吊り橋から宙づりにされ、アルセイデスがロープに着火して意気揚々と立ち去る。
敬介を始末したとアポロガイストに勝ち誇るアルセイデス。その程度のことで死ぬはずが無いと信じないアポロガイストを連れて吊り橋に戻ると、まさに敬介を支えるロープが焼き切れ、敬介が奈落の底へ落下する瞬間だった。その瞬間を見届け、立ち去るアポロガイストとアルセイデス。
しかし、直前にXライダーにセットアップしていた敬介は死んではいなかった。アルセイデスに殺されようとしていたタケシと藤兵衛を救出し、そのままアルセイデスとの戦いに。アルセイデスの振り回す鞭にと怪力で放つパンチに多少手を焼きつつも、最期はライドル脳天割りを食らわせ、勝利した。
アルセイデスが倒れたことで、樹にされた人々の呪いも消え元の姿に。タケシは無事に家族との再会を果たしたのだった。
解説
「ふるさと」
冒頭の家族のハイキングのシーンでかかる謎の童謡調の明るい歌。どう考えても特撮ヒーロー番組用に作られた曲とも思えなかったので、既存の曲なのだろうかと歌詞を頼りに色々調べてみたところ、大慶太の「ふるさと」という曲のようです。大慶太という人物の詳細について情報は乏しいのですが、当時の写真は見つかりました。今回、タケシ少年役で出演している子でした(笑)。オープニングにもちゃんとクレジットされています。
ただ、今回使われている歌は本人のバージョンではなさそう。どう聴いても少年じゃなくて女性の歌声なんですよね。堀江美都子っぽいような?
怪談シリーズ
今回から、ある意味昭和1期・2期シリーズの「名物」とも言える「怪談シリーズ」です。夏期になると、怪談風のシナリオを盛り込んだエピソードが放映されるという恒例行事。元々は、『仮面ライダー』の第88話あたりから始まったと聞きます。
で、今回の怪人アルセイデス。私はギリシャ神話にはまったく詳しくありません。その知識レベルはいいところ日本人の平均レベルだと思いますが、その知識の中にはまったく引っかからない名前。で、調べてみると、ホメロスの叙事詩に登場する、森の精霊(ニュンペー)達を示す一般名詞らしいです。つまり、特定の人物を指す固有名詞ではない。森の精霊というところから、人間を樹に変えるという能力に繋がったのでしょう。で、Wikipediaによると、ギリシャ神話におけるニュンペーとは、下級女神であり、若くて美しい女性の姿をしていると…
…若くて美しい女性の姿? あれが? おい、ちょっとスタッフ連れてこいや(怒)
今週の再生アポロガイスト「コレジャナイ」
アポロガイスト…今回も微妙に「コレジャナイ」感を出してきます。
神敬介を始末したとドヤ顔のアルセイデスに「そのようなことで死ぬXライダーではない!Xライダーを倒せるのはこの俺しかいない!」とイキるアポロガイスト。なんというか、秘密警察第一室長としての任務よりもXライダーを倒すことに固執している感のあるその姿、再生前のアポロガイストとはちょっとベクトルが変わっちゃってますよね。
挙げ句、生きていたXライダーに激怒してアルセイデスをどつき倒すアポロガイスト。いや、あんたもXライダーが吊り橋から落ちるところ見届けて、その場を立ち去ってたよね? 最期を見届け損なったのはあんたも同罪なのに何逆ギレしてんの? 再生前のアポロガイストは怪人の失敗には厳しいが自分の失敗を他人に転嫁するような輩ではなかった(と思ってた)のに…
挙げ句アルセイデスとXライダーを取り合ったりとかもうね…。人間態でXライダーとやり合うシーンはカッコ良かったのに…
…とまあ、どうも再生後のアポロガイストはキャラがブレまくってるというか何というか…脚本家に持て余されている感すら漂います…。だってさ、今回敬介が着ている衣装って白一色なんですぜ? アポロガイストと思いっきり被ってるやん。アポロガイスト霞むじゃん。実際、その敬介がバイクに乗って走ってるシーンとか、一瞬アポロガイストと見間違えましたよ。敬介役の速水亮のやらかしなのか、スタッフのやらかしなのかはわかりませんけど、ちょっとは気を配りましょうよ…
脚本:村山庄三
監督:山田稔