吸血沼のヒルゲリラ(『仮面ライダー』第48話)

あらすじ

沼でザリガニ釣りに興じる子供達が、改造人間ヒルゲリラに襲われた。ヒルゲリラは子供達の血を吸い出し仮死状態にしてアジトへと運び込む。

この事件は失踪事件として新聞で報じられた。被害者には隼人の先輩・山崎の息子もいた。山崎は、失踪した息子を探して、息子が最後に遊んでいた沼の周辺を探し回るが、そこはショッカーのアジトとなっていた。

山崎はヒルゲリラによって子供達と同様に連れ去られて、さらには特殊な薬液を注入され、意思を持たない「奴隷人間」とされてしまった。

立花レーシングクラブを訪れた山崎の妻は、夫が三日も帰らないことを隼人に伝え、山崎が現場に落としていたというカメラを手渡した。隼人がカメラ内のフィルムを現像すると、そこにはショッカーの改造人間とおぼしき化け物が写っていた。

現地へ向かった隼人と滝だが、ヒルゲリラに襲われ、滝は血を座れて気絶。ライダーは意識を失った滝を連れて撤退した。

幸い、滝は藤兵衛からの輸血を受けてなんとか意識を回復した。

ライダーにアジトを嗅ぎつけられた死神博士は一計を案じた。ヒルゲリラにでエミとユリを、さらには山崎の妻も襲わせ、アジトへ拉致。さらには奴隷人間を元に戻す薬液で山崎の意識を回復させ、奴隷人間にした妻と息子の命を盾に、隼人を沼の近くの洞窟に呼び出させた。

しかし、隼人は洞窟へは行かず、アジトの入り口がある沼の近くのお堂に現れた。

「罠にはまらなくて気の毒だったな!俺は前からこの裏が怪しいと睨んでいたんだ!」

隼人は戦闘員を蹴散らし、お堂の裏からアジトに侵入。山崎を救出し、再びヒルゲリラと戦うことに。

一時はヒルゲリラに捕まり血を吸われ、奴隷人間にされる隼人だったが、滝が山崎から受け取った、元に戻す薬液を無理矢理飲ませて隼人を回復させる。

隼人は変身してヒルゲリラと戦い、これを撃破。

捕らわれて奴隷人間とされた山崎の妻と息子、およびユリとエミも、山崎が奪った薬液で無事に回復したのだった。

解説

カメラマン・一文字隼人

今回は一文字隼人の本来の職業であるフリーカメラマンとしての一面が見られます。

カメラマンとしての先輩の山崎がいたり、現場に残されていた山崎のカメラからフィルムを現像してショッカーの関与を突き止めたり…

そういえば、第43話でも、隼人がカメラマンであることを活かして、仕込みを入れたカメラで隼人を陥れようとしたエピソードがありましたが、今回の脚本はその時と同じ鈴木生朗氏ですね。氏の作風なのでしょうか。

しかし、暗室で白黒の写真を現像するというのが時代ですよね…。今ならスマホで一発、面倒な現像も不要ですからね。

フィルムカメラの時代

もしかすると平成世代のライダーファンにはわからないかもしれませんが、当時は今みたいなデジタルカメラなどはありませんでした。感光性のフィルムに焼き付けた映像を印画紙と呼ばれる紙に現像して、初めて撮影した映像を確認できるんですね。

現像は光を遮断した「暗室」と呼ばれる特殊な部屋で行う必要があり、専用の機材や薬液も必要でした。一般人はそんな部屋も設備もないので、フィルムを全て撮影した後、写真屋に持ち込んで現像してもったものです。

現像作業が不要になって、その場で映像を確認できるデジタルカメラの登場は、まさに写真の世界に革命を起こしたのです。

先輩の山崎を助けたと思っても、隼人が捕まって一度は奴隷人間にされたりと、今回のエピソードは展開がダイナミックで最後までハラハラさせてくれます。

脚本:鈴木生朗
監督:内田一作

第47話「死を呼ぶ氷魔人トドギラー」第49話「人喰い怪人イソギンチャック」
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