あらすじ
オートレースに優勝した本郷猛は、花束を手渡しに来たプレゼントガールに突然襲われる。猛は軽くあしらうも、彼女はそのまま倒れて死んでしまう。その異様な死に方にショッカーの影を感じた猛は、彼女が住んでいたマンションを訪れるが、すでにマンションは、ショッカーによる新型ビールスの人体実験場と化していた。
マンションの住人達に襲撃されるも、蝙蝠男に操られているだけの住人達に手を出せない猛。気絶した住人達から採取した血液を調べると、そこにいたのは頭脳を持ち、音波に反応して人間を操るという、現代科学では信じられないようなビールスだった。対抗する血清を作ることもままならない。マンションの住人達はこのままショッカーに支配されたままなのか。
一方、猛を父親を殺した犯人と疑う緑川ルリ子は、猛を尾行しマンションに潜入し、逆に蝙蝠男の奸計にハマってビールスに感染させられてしまう。
ルリ子を人質とし、ショッカーに従えと猛に迫る蝙蝠男。それに対する猛の決断は?
解説
「ビールス」という言い方が昭和チックですね。現代なら「ウィルス」でしょう。
「蝙蝠」。難しい漢字ですが、「コウモリ」と読みます。前話のクモと並んで、仮面ライダーシリーズの怪人としては繰り返し起用されるモチーフですね。
コウモリの怪人と言うこともあって、今回は夜のシーンが多めです。仮面ライダーと蝙蝠男の戦いの撮影も夜に行われており、全体的にダークグリーンが基調のライダーの姿は夜の闇に溶けて非常に見づらい。このあたりの反省が、2号編になったときのデザインの大幅変更につながったとも言われています。
冒頭の、モデルが蝙蝠男に襲われるシーンは、ホラービデオかと言わんばかりの緊張感のある演出。今となっては映像の古さが逆に怖さを増幅させている感さえあります。
ユルユルなツメ
今回もナレーションで本郷猛という人物の説明が行われていますが、所属が「城南大学」と紹介されています。おいおい、前回は「城北大学」って言ってたよね?
あと、蝙蝠男に操られたモデルが本郷を襲って返り討ちにされるシーン。結局そのモデルは死んだことが明らかになりますが、あの状況だと猛は間違いなくモデル殺害の最有力容疑者になるはずです。しかし、その後も割と自由に行動しています。警察の影も形もありません。
もうひとつ。ルリ子を人質にとって猛にショッカーへの服従を要求する蝙蝠男に対し、ルリ子が元に戻れることを確認したら要求に従うと取引する猛。蝙蝠男は別の住人を使って、自分の体内に血清があることを猛に証明するのですが、それを見た猛は「そうか…血清はお前の中に!」と不敵に笑って蝙蝠男に襲いかかります。ちょっと待て、人質のルリ子の立場は?
昭和仮面ライダーシリーズ、とくに平山亨プロデューサーによる第二期までの作品は、こういう細かいところのツメがかなりユルユルだったりするので、そのあたりは「そんなものだ」と受け流す昭和的なおおらかさが求められます。
もっとも、本サイトではそういうツメの甘さに容赦なくツッコミを入れていくつもりですけどねw。
脚本:伊上勝
監督:折田至