あらすじ
GODの戦闘工作員をバイクで追撃する敬介。その敬介を物陰から狙撃したのは、涼子だった。敬介は後を追うも、小屋の前で見失ってしまう。その小屋で敬介は、GOD総司令の通信による指示を聞く。
「羽田空港13時」
その羽田空港には、アラブ王国から来日したGODの連絡員の男が13時に到着していた。彼をGOD機関の一員と睨むインターポールの捜査官が尾行するも、改造人間ヘラクレスの正体を現した男に逆襲され、ヘラクレスの操る毒グモで殺害される。しかし、その現場を少女クミが目撃してしまう。クミを始末しようとするが、そこに現れた敬介が救出する。
GODの目的は、アラブ王国から来日しているキバラ特使を拘束し、日本への石油輸出を停止させることにあった。病院でクミからその事実を聞かされた敬介は、キバラ大使が滞在する新日本ホテルへと急ぐが、その道中をヘラクレスに襲われる。Xライダーにセットアップして戦うも、怪力を駆使するヘラクレスに苦戦を強いられ、しかもクミ親子を人質に取られてしまい、ほぼ無抵抗のまま橋の下へとたたき落とされてしまった。
ヘラクレスは人間体の状態で、新日本ホテルのホテルマンからキバラ特使の居場所を聞き出し、戦闘工作員とともにキバラ特使を誘拐する。実は、このキバラ特使は敬介が変装した偽物だったが、ヘラクレスはそれを見抜いており、戦闘工作員を使って本物の特使も拘束していた。
船上での戦いで再び敬介を圧倒し、海中へとたたき落とすヘラクレス。満身創痍の状態で地上に戻った敬介は、痛む身体に鞭を打ち、本物のキバラ特使に持たせていた発振器の電波を頼りに移動する。
一方、ヘラクレスは特使を脅迫して日本への石油輸出を止めさせようとする。キバラ特使はこれを拒否するが、ヘラクレスは特使の目の前でクミ親子の死刑を執行することで要求を呑ませようとする。悲鳴を上げて助けを求める親子。耐えかねた特使が要求を呑もうとするところに、Xライダーが現れた。Xライダーは親子を救出し、キバラ特使とともにその場から逃がす。
相変わらずヘラクレスの怪力に苦戦するXライダーだが、起死回生のXキック二連発でヘラクレスを破ったのだった。
解説
昭和と平成をまたにかける大悪役
「アラブ王国」なる国は実在しません。サウジアラビアか、アラブ首長国連邦あたりをイメージして適当に作った国名でしょうね。
で、そのアラブ王国の特使を狙って来日したGODの怪人ヘラクレス。その人間体に、なんか見覚えがあるなと思ったら、やはり浜田晃だったようです。オープニングにもちゃんとクレジットされてますね。
浜田晃と言えば、昭和仮面ライダーシリーズのファンにとっては、なんと言っても『仮面ライダーストロンガー』に登場するブラックサタンの大幹部タイタン役として有名でしょう。ただ、彼は最近の平成シリーズ作品『仮面ライダービルド』でも悪役としてレギュラー出演していたらしいですね。残念ながら私は観ていないのですが。昭和平成にまたがって、『仮面ライダー』シリーズでレギュラーの悪役として活躍している俳優なんて彼くらいだと思います。凄い話ですよ。ちなみに、『仮面ライダーオーズ』にもスポット出演しているそうです。私はオーズは観ていたはずなんですが、全く気づきませんでした。昭和シリーズのファンとして、一生の不覚です。
セキュリティガバガバ
さて、そのキバラ特使、アラブ人のはずなんですが、見た目はどう見ても日本人です(笑)。しかも、滞在する新日本ホテルのホテルマンは、ヘラクレス人間体に尋ねられるままに、あっさりと特使の居場所を喋ってしまいます。現代だったら重大セキュリティインシデントですよ。当時だって、一応外国の要人なのですから、一介のホテルマンが素性も知らない相手にその居場所をペラペラ喋るなど、あり得ないはずです。
キバラ特使に要求を呑ませるために、クミ親子をスクラップ機に放り込むシーン。助けを求める親子の演技が結構迫真です。昭和ライダーシリーズではこういうシーンだと、だいたい子役の演技が未熟で、あまりにもわざとらしい演技を前にどうしても緊張感がなくなるのですが、今回は結構ガチでハラハラさせられました。「まだか、敬介早く来いよ!」 とか念じながら観ている自分がいました(笑)。
意味のわからないトリック解説
最後、ヘラクレスが1発目のXキックを食らった直後、姿を消すトリックを使います。それはすぐに見破られ、2発目のXキックを食らってしまうのですが、Xライダーによるトリックを見破った理屈の説明が意味不明です。
「物体はクルマに溶け込む道理がない。クルマに身体を預け、その反動で逆方向に飛ぶ。目の錯覚は私には通じないのだ!」
意味わかります?コレ…
あと、エピソードタイトルにある毒ぐもですが、結局冒頭にインターポールの捜査官を殺害するときに使われただけで、後は一切登場しませんでした…
脚本:伊上勝
監督:内田一作