あらすじ
藤兵衛らは新たに、少年仮面ライダー隊を発足させた。それは、各地の少年少女の隊員間で伝書鳩を使った情報網を巡らし、ショッカーの動きをいち早く捕捉するための、滝を隊長とする組織である。
一方で、地獄大使は改造人間手術のための血液不足から、怪人シラキュラスを使って各地の血液銀行を襲い、血液を積極的に集めていたが、改造手術のためにはより新鮮な、できれば子供の血が欲しい。
シラキュラスは血液を吸い取った人間を自分の意のままに操ることができる。その能力を使い、既に下僕化した人間を使って、お菓子をエサに子供を公園で集め、戦闘員に一網打尽にさせて血液を吸い取っていった。シラキュラスは血を吸い取った子供達を使ってさらに子供達を集めようとするが、ターゲットとなった少年ライダー隊員・タツオが、拘束される前に放った伝書鳩がライダー隊本部に到着する。
異変を察知した猛と滝がタツオの住む団地へ向かうと、そこは既にショッカーに制圧されていた。タツオは既に父親共々下僕化し、猛につかみかかる。当て身を入れて二人を気絶させた猛の前にシラキュラスが現れる。猛は団地の外へ誘導し、ライダーに変身て応戦。しかし、下僕化した人間に噛み付かれ、意識を失っている滝を見付け、彼を連れてその場を離脱した。
下僕化した人々を元に戻すには解毒剤を入手するしかない。少年ライダー隊が総出でショッカーの血液収集車を捜索し、ついにその姿を捕らえた。本部への通報を受け、猛は仮面ライダーとして現地へと向かう。収集車の天井に密かに張り付いてアジトへと潜入したライダー。研究室でショッカードクターと解毒剤の奪い合いになったところにシラキュラスも再び乱入。
解毒剤を持って逃げるショッカードクターをライダーが追い、そのライダーをシラキュラスが妨害する展開に。激しい奪い合いの末、どうにか解毒剤の強奪に成功したライダーは、奪い返しに来るシラキュラスに「ライダードロップキック」を浴びせて、撃破した。
少年仮面ライダー隊と仮面ライダーの連携がショッカーの悪事を打ち破ったのだった。
解説
少年仮面ライダー隊が今回から発足します。ストーリー的に何の前振りも無くいきなり発足式から始まるので、正直「何があった!?」感は拭えませんが、番組展開のアイデアとしては面白い試みだなと思います。ライダーと一緒になってショッカーと戦う少年少女達の活躍に、自分を重ねて応援していた子供達もいたことでしょう。伝書鳩という通信手段も、牧歌的というか、子供達の組織らしさがあるというか、なんかいいですよね。今回はそのデビュー戦と言うこともあって、見せ場も満載です。
血液銀行と言う言葉が出てきますが、これは現在で言うところの血液センターですね。今のような献血制度が整っていなかった昔は「売血」が主流で、民間の組織が血液を買い取って保存・管理しており、その施設を血液銀行と言っていたようです。ただ、1964年に献血制度が整備され、血液銀行も無くなったとされています。『仮面ライダー』の放映開始は1971年ですから、既に献血制度が発足した後のはずなのですが、まだこの時期は血液銀行が一部残っていたんですかね。
さて、今回の怪人シラキュラス。はて、こいつは一体何モチーフの怪人かと思って調べてみると…どうやらシラミらしいです。シラミというとちっぽけな印象を受けますが、コイツは人間の血を吸い取って下僕化したり、左腕の針でコンクリートを刺し貫いたり、さらには壁を溶かす溶解液を口から吐いたりと、なかなか芸達者な怪人です。
そのシラキュラス、ライダーの「ライダードロップキック」なる新技を食らって倒れますが、プロレスマニアとしては、「違う!それは断じてドロップキックじゃない!!」と声を大にして言いたいところではあります…
脚本:伊上勝
監督:塚田正煕